9月の終わりから10月が始まった先週は、30日にMrs. GREEN APPLEの通算6作目のオリジナル・フル・アルバム『POPS』がリリースされ、初日売上57.8万枚を記録。CD不況と言われる今もなお、フィジカル作品への支持の強さを感じるとともに、“音楽鑑賞”にまつわるさまざま魅力・喜びについても考えさせられた一週間でした。
そんな中、10月第2週(10月2日[月]~10月11日[日])も、“音楽鑑賞”がリスニングを越えた体験になるような作品が登場しました。10月7日にリリースされるSnow Manの6枚目のアルバム『AMENITY』は、架空のホテル「HOTEL ALL SUITE」を舞台に、Snow Manのメンバーが案内人=ホテルマンとなり、楽曲をお届けするというコンセプト。晴れた日に街を歩くだけで幸せにぶつかりそうなハッピーソング「グッタイム」では“手ぶらでおいで”と誘い、パンキッシュなディスコ・ソング「ALL SUITE」は“きらめき過剰な夜”を約束、「70年代ディスコ調の「オドロウゼ!」、スタイリッシュなホーンで爆走する「BANG!!」でブチあげつつ、大人のダウン・テンポ「マドラー」で日常の緊張を解きほぐし、フィナーレ「show time...」では、リッチなホーン・アレンジとともに、一時の夢の時間の甘美さと儚さを紡ぐ……まるで1作を通して、少し贅沢な小旅行に出かけたような体験ができる行楽の秋にもピッタリの内容です。
中でも「show time...」のMVでは、海辺に建つ「HOTEL ALL SUITE」のエントランスからレッドカーペットが敷かれたゴージャスなシアターまで誘われ、そこでは真っ白なタキシード姿のメンバーが華麗なパフォーマンスを披露。まるでホテルで特別なひとときを過ごしているかのような気分を味わわせてくれます。本作は、目黒蓮がドラマ『SHOGUN 将軍』の撮影のため一時的に活動を離れていたことから、「オドロウゼ!」と「BANG!!」のみへの参加となってしまいましたが、通常盤には向井康二・阿部亮平・佐久間大介による「あいがとう。」、岩本照・ラウール・宮舘涼太による「夜明けのララバイ」、深澤辰哉・渡辺翔太による「Be mine」の3組によるユニット曲が収録され、ファンの聴きどころのひとつとなっています。10月からスタートする5大ドーム・ツアーでは、9人全員がそろったパフォーマンスにも期待が高まるところ。アルバムの世界観をそのままライヴで体現するような、特別な“音楽の旅”を届けてくれそうです。
最後に、CDならではの魅力を存分に味わえる一枚をご紹介します。クラリネット奏者の山本太郎とジャズギタリストの宮之上貴昭によるデュオ作品『トリアエズ ナマオト デ』です。本作は、原音再生にこだわったDSD1bit録音を採用し、クラリネットとギターの音色を“無加工”の生音で収録。収録曲の一つであるジャズ・スタンダード「I've Got The World On A String」の演奏動画は山本太郎のYouTubeチャンネルでも視聴できますが、CDではさらにリアルで立体感のあるサウンドを楽しめるでしょう。超絶技巧を随所に織り交ぜながらも、音色は奥深く耳なじみがよく、優しく響きます。ギターやクラリネットを習う人の学びにも役立つかも。勿論ストリーミング配信は今のところ発表されていません。ジャケットには、琥珀色の液体の中にギターとクラリネットが閉じ込められたビールジョッキで乾杯する印象的な写真を採用。上質でありながら肩ひじを張らない、まるで2人が会話を交わしているかのような演奏に、ゆったりと身をゆだねてみてはいかがでしょうか。