5月12日は、クリミア戦争下の野戦病院で献身的な看護に従事し、医療や看護をはじめ、近代看護の創始者として大きな功績を遺したフローレンス・ナイチンゲールの誕生日。看護婦を“白衣の天使”と呼ぶ由来となった“クリミアの天使”や“ランプの貴婦人”とも称されたナイチンゲールをたたえ、赤十字社が「ナイチンゲールデー」に制定しています。

　その「ナイチンゲールデー」にちなんで、曲名や歌詞に“ナイチンゲール”が登場する楽曲をいくつか紹介。曲名にナイチンゲールを冠したものには、分島花音「ナイチンゲール」、竹内まりや「真夜中のナイチンゲール」、『あんさんぶるスターズ!!』のユニット“Valkyrie”（ヴァルキュリー）の「麗しのナイチンゲール」などのほか、海外でもキャロル・キングやイーグルス、ノラ・ジョーンズなどが「ナイチンゲール」という名の楽曲を発表していますが、これらは“白衣の天使”の方ではなく、日本ではサヨナキドリ（小夜啼鳥）やヨナキウグイス（夜鳴鶯）とも呼ばれ、ヨーロッパでは春の鳥として知られる美しい鳴き声を発するナイチンゲール（Nightingale）。“白衣の〜”ナイチンゲールにちなんだ曲としては、80年代後半からアイドルとして活躍した田村英里子が歌ったアニメ『少年アシベ』のエンディング・テーマ曲「愛のナイチンゲール」や、セクシー・アイドル・ユニットの恵比寿マスカッツから希志あいの＆かすみ果穂によるユニット“ナイチンゲール”がコミカルに歌った「ナイチンゲール」などがあります。

　歌詞にも“鳥”をはじめ、さまざまな意味での“ナイチンゲール”が登場。佐野元春の1981年の2ndアルバム『Heart Beat』に収録された「ハートビート（小さなカサノバと街のナイチンゲールのバラッド）」や、日本レコード大賞優秀アルバム賞を受賞し、ゴールドディスクも獲得した8thアルバム『Sweet16』に収められた「廃虚の街」のほか、甲斐バンドの「一世紀前のセックス・シンボル」ではソフィア・ローレンやラクエル・ウェルチといった女優の名とともに登場。おニャン子クラブは「恋はくえすちょん」で恋の謎解きを聞いてみたいと歌い、サザンオールスターズのアルバム『さくら』の冒頭曲「NO-NO-YEAH / GO-GO-YEAH」や、ゲスの極み乙女の2013年のミニ・アルバム『踊れないなら、ゲスになってしまえよ』に収録の「餅ガール」では、それぞれユニークな詞世界のなかに“ナイチンゲール”が出てきます。

　ロック・バンドのTHE 抱きしめるズは、“ガッキー”への脳内妄想を爆発させた「俺たちのガッキー」にて「ガッキーはまるでナイチンゲールだ」、クロちゃん（安田大サーカス）がアドバイザーを務めるアイドル・グループの豆柴の大群は、「恋のフルスイング」で恋への自信のなさを「ナイチンゲールでも治せない」と歌い、シンガー・ソングライターの清竜人は、2ndシングル「ヘルプミーヘルプミーヘルプミー」にてマザー・テレサとともにその名を口ずさんでいます。

　そのほか、モーニング娘。は「Help me!!」で「本音が言えない 言えナイチンゲール」とダジャレをかましたり、キュウソネコカミは「ヤブ医者」で「Da Da Da Da ナイチンゲール!!」とシャウトするなど、時代やジャンルを問わず、バラエティに富んだ“ナイチンゲール”ソングがあるようです。

　ちなみに、青森には“青森ナイチンゲール”という青森を中心に活動するアイドル・グループもいますが、こちらは“鳥”の方の“ナイチンゲール”がグループ名の由来のようです。

（写真は、2021年6月リリースの田村英里子のベスト・アルバム『『ゴールデン☆ベスト』）