APPLEのホリデー・シーズン恒例のCM「Fuzzy Feelings」が11月22日より公式YouTubeチャンネルにて公開されています。

　今年は、約4分にも及ぶ短編映画仕立てで、物語は、雪の街を歩く冴えない中年男性の人形のストップ・モーション・アニメーションで幕開け。この中年男性は、投げ銭の入った缶に足をひっかけ倒したあげく、そこからコインをくすねていくような嫌な奴。しかし、突風にズボンを飛ばされたり、除雪車が寄せてきた雪に巻き込まれたりとさまざまな不運に遭遇してしまいます。このアニメは、MacBookで制作され、作っているのはオフィスで働く女性会社員。彼女はいじわるな男性上司に嫌な気持ちを抱いており、その上司を模した中年男性の人形にアニメの中でさまざまな不幸をお見舞いしては鬱憤をはらしていたのです。しかし、ある日、女性も含む社員たちにクリスマス・プレゼントを配ったり、レストランで一人食事をする寂しい一面もあったりと、上司の意外な姿を目撃した女性は、もっと彼を理解しようと決意。上司にもらった靴下を少しほぐして犬の人形を作り中年男性にプレゼントするなど、アニメの中の“男性上司”を明るく表現していきます。

　このハートウォーミングな物語を彩る音楽は、『コンサート・フォー・ジョージ』の日本劇場初公開や、ビートルズの最後の新曲「ナウ・アンド・ゼン」の発表など、今年再び大きな注目を浴びているジョージ・ハリスンが1970年に発表した「Isn’t It a Pity」です。優しい音色のギターにのせて「お互いに傷つけあうなんて、残念じゃない？」と語りかける、行き詰った人間関係についての歌。ビートルズ在籍時からメンバーに聴かせていたものの、ビートルズのアルバムには収録されることのなかった同曲は、ジョージの最高傑作と名高い3rdソロ・アルバム『All Things Must Pass』（写真）に収録されています。シンプルなギター伴奏から、厳かな鈴の音が加わり、最終的に壮大なオーケストレーションで締めくくられる年末らしいナンバーで、不仲だった女子会社員と男性上司の仲が徐々にほどけていくCMの物語にも寄り添う楽曲と言えます。