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Snow Man・STU48・岡林信康など 10月第2週の注目作

2026/10/06掲載
今週リリースされる作品の中で、チェックしておくべきなのは何ですか?
 9月の終わりから10月が始まった先週は、30日にMrs. GREEN APPLEの通算6作目のオリジナル・フル・アルバム『POPS』がリリースされ、初日売上57.8万枚を記録。CD不況と言われる今もなお、フィジカル作品への支持の強さを感じるとともに、“音楽鑑賞”にまつわるさまざま魅力・喜びについても考えさせられた一週間でした。

 そんな中、10月第2週(10月2日[月]~10月11日[日])も、“音楽鑑賞”がリスニングを越えた体験になるような作品が登場しました。10月7日にリリースされるSnow Manの6枚目のアルバム『AMENITY』は、架空のホテル「HOTEL ALL SUITE」を舞台に、Snow Manのメンバーが案内人=ホテルマンとなり、楽曲をお届けするというコンセプト。晴れた日に街を歩くだけで幸せにぶつかりそうなハッピーソング「グッタイム」では“手ぶらでおいで”と誘い、パンキッシュなディスコ・ソング「ALL SUITE」は“きらめき過剰な夜”を約束、「70年代ディスコ調の「オドロウゼ!」、スタイリッシュなホーンで爆走する「BANG!!」でブチあげつつ、大人のダウン・テンポ「マドラー」で日常の緊張を解きほぐし、フィナーレ「show time...」では、リッチなホーン・アレンジとともに、一時の夢の時間の甘美さと儚さを紡ぐ……まるで1作を通して、少し贅沢な小旅行に出かけたような体験ができる行楽の秋にもピッタリの内容です。

 中でも「show time...」のMVでは、海辺に建つ「HOTEL ALL SUITE」のエントランスからレッドカーペットが敷かれたゴージャスなシアターまで誘われ、そこでは真っ白なタキシード姿のメンバーが華麗なパフォーマンスを披露。まるでホテルで特別なひとときを過ごしているかのような気分を味わわせてくれます。本作は、目黒蓮がドラマ『SHOGUN 将軍』の撮影のため一時的に活動を離れていたことから、「オドロウゼ!」と「BANG!!」のみへの参加となってしまいましたが、通常盤には向井康二・阿部亮平・佐久間大介による「あいがとう。」、岩本照・ラウール・宮舘涼太による「夜明けのララバイ」、深澤辰哉・渡辺翔太による「Be mine」の3組によるユニット曲が収録され、ファンの聴きどころのひとつとなっています。10月からスタートする5大ドーム・ツアーでは、9人全員がそろったパフォーマンスにも期待が高まるところ。アルバムの世界観をそのままライヴで体現するような、特別な“音楽の旅”を届けてくれそうです。


 一方、女性グループでは、同日リリースされる、STU48の14thシングル「冬服に着替えたら」に注目。マレーシア・クアラルンプールを拠点とするKLP48での活動を終え、今年3月にグループに復帰した甲斐心愛が初めてシングル表題曲のセンターを務めるこの楽曲は、その名の通り、日ごとに肌寒さが増していき、秋の深まりを感じる季節にぴったりのナンバー。出だしの甲斐心愛の透き通った歌声と、清冽なストリングスの音色は、ひんやりとした風が街を包み込む様子が感じられます。歌詞で描かれるのは、楽しかった夏の日々を振り返りながら、以前のように自然には話せなくなった“君”への淡い想い。季節の移ろいとともに髪を下ろし、ふと大人びて見えた同級生を意識してしまう繊細な心情が、みずみずしく表現されています。爽やかさと切なさが同居する青春ソングに仕上がっており、STU48の真骨頂の一曲と言えるでしょう。


 また、ベテラン勢からも、深まる秋にじっくり聴きたい作品がリリース。まずご紹介するのは、作・編曲家 / プロデューサーとして日本の音楽シーンを70年代より先駆者として支えてきた矢野誠と、谷川俊太郎ら現代詩を歌い続けてきたひらたよーことのユニット“やのこにょら”のアルバム『BONJOUR』です。ひらたよーこの、柔らかくもはっきりと“ことば”を伝える歌唱と、矢野誠の独特のピアノ・アレンジのみで、さまざまな詩世界が脳内に広がる本作。オリジナル曲はもちろん、友部正人、谷川俊太郎、工藤直子らの詩をシンプルかつ独創的なサウンドとともに味わうことができます。

 そして、1968年に「山谷ブルース」でデビュー、60年代には“フォークの神様”とまで言われた岡林信康が80歳を迎えリリースする全曲書き下ろしのアルバム『生命(いのち)の深き力に』もこの機会に是非耳を傾けて欲しいところです。老いだけでなく「迫りくる死」という深いテーマに挑みながらも、笑えて泣けるという本作には、タイトルからして気になる「金は道具か神様か!?」「ストーカー・ブルース」など、まさに、悲しみと可笑しみが入り混じった等身大の岡林の金言の数々が詰まっています。「友よ」「私たちの望むものは」など、社会問題や若者の思いを率直な言葉で歌ってきた岡林の集大成ともいえる本作を、滋味深いギターの音色とともに堪能してみてください。

 ベテラン勢ならではのユーモアが光る作品として、“大人のイタズラ”を掲げて各地でライヴ活動を展開するアサエマことASA-CHANG、エマーソン北村によるデュオの3作目のEP『こぶし』にも触れておきましょう。東京スカパラダイスオーケストラの創設メンバーで、その後ASA-CHANG&巡礼を結成したASA-CHANGと、JAGATARAやMUTE BEATの活動で知られるエマーソン北村が、打楽器やトランペット、キーボードを中心に、どこか肩の力が抜けた味わい深い音楽を聴かせてくれます。カヴァ―曲を中心に演奏するユニットでもあり、前作『エロス』に収録された「千の風になって」のスカ・アレンジは、脱力感と熱唱のギャップがたまりませんでした。本作ではASA-CHANGの泣きのトランペットが沁みる“キリンジ「エイリアンズ」”や女優の小林聡美をゲストに迎えた“西田佐知子「涙のかわくまで」”が聴きどころです。


 最後に、CDならではの魅力を存分に味わえる一枚をご紹介します。クラリネット奏者の山本太郎とジャズギタリストの宮之上貴昭によるデュオ作品『トリアエズ ナマオト デ』です。本作は、原音再生にこだわったDSD1bit録音を採用し、クラリネットとギターの音色を“無加工”の生音で収録。収録曲の一つであるジャズ・スタンダード「I've Got The World On A String」の演奏動画は山本太郎のYouTubeチャンネルでも視聴できますが、CDではさらにリアルで立体感のあるサウンドを楽しめるでしょう。超絶技巧を随所に織り交ぜながらも、音色は奥深く耳なじみがよく、優しく響きます。ギターやクラリネットを習う人の学びにも役立つかも。勿論ストリーミング配信は今のところ発表されていません。ジャケットには、琥珀色の液体の中にギターとクラリネットが閉じ込められたビールジョッキで乾杯する印象的な写真を採用。上質でありながら肩ひじを張らない、まるで2人が会話を交わしているかのような演奏に、ゆったりと身をゆだねてみてはいかがでしょうか。

[紹介した作品]
10月7日(水)リリース
Snow Man / アルバム『AMENITY』
STU48 / シングル「冬服に着替えたら」
やのこにょら / アルバム『BONJOUR』
岡林信康 / アルバム『生命(いのち)の深き力に』
ASA-CHANG エマーソン北村 / EP『こぶし』
山本太郎&宮之上貴昭デュオ / アルバム『トリアエズ ナマオト デ』


(※写真は、Snow Man『AMENITY』のジャケット)
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