Hi-Fi CAMP 連載「RIDE AWAY〜僕らの住む街から〜」 - Chapter 02 Single「夢の向こうへ」インタビュー
掲載日:2010年9月29日
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 閉塞感が漂い、誰もが夢を描きづらくなっている今の時代。そんな風潮の中「大げさな夢でいい 本気で立ち向かえばいい」と真っ直ぐに聴き手を勇気付けるメッセージを放つのが、Hi-Fi CAMPの新曲「夢の向こうへ」だ。
 シングルとしては久々にヴォーカル・KIMが手掛けたこの楽曲は、温かなメロディを活かしたミドル・チューン。カップリングの「HOME」も含め、歌詞の内容は地元の友達と語った内容をきっかけに出来上がったという。アルバム『2nd BEST』のリリースも控えた彼らに、この曲の持っている意味合い、そして4人が今も暮らす仙台という街について、語ってもらった。
 KIM 「地元の友達と飲んだりすると、就職先が見つからないとか、頑張ってるけど何をしていいかわからない、というような悩みを聞いたりして。働いていても、これでいいのかなって思っているような人もいて。みんな、何かしら悩みを抱えている。そういう人たちに直接届けたいと思って作ったのがこの曲なんです」
――こういう夢について真っ直ぐなメッセージを歌うような曲は、今の時代のムードからすると難しいことでもありますよね。
 KIM 「そうですね。ちょっと間違えると押し付けになってしまう。そうしたくなかったというのはありました。みんなと一緒に僕も悩んでいるということは伝えたいと考えていて。それで、思い出したのがアマチュア時代のこと、最初は友達に“俺、音楽でプロを目指してるんだ”って言えなかったんですよね。“なんでやってるの?”みたいに言われるのが怖かった時期があったんですけど。でも、たとえ笑われても自分で突き進むと決めて腹を括れたときには人の目は関係なくなる。そういう経緯も曲に落とし込みたいなと思ったんです」
――今KIMさんが言ったような、アマチュア時代に「周りに音楽をやってると言えない」みたいな感覚ってみなさん持ってたんですか?
 SOYA 「俺は周囲の全員にプロになるって言ってました。俺は絶対ミュージシャンになる、なれなかったら海賊になるって(笑)。そういうくらい腹を括ってました」
 TOSHIRO 「メジャーになるまでは、クラブでDJやってて、その時は不安はなかったですね。毎日現場に行ってDJやって、その周りの友達と話して。刺激し合いながら切磋琢磨してがむしゃらに頑張ってた時代だったんで」
――この曲には、夢というのは一つのゴールではなく、その後にずっと続いていくというメッセージもありますよね。
 KIM 「夢をゴールにするんじゃなくて、ガソリンのように自分を突き動かすものにしてほしいという思いはありますね。この曲には2つの思いがあるんです。夢にむかって突き進む人へのエールと、もしそれが叶わなくても、君の頑張りは知っているよというメッセージと。僕の友達にそれを直接伝えるとしたらどういう風に書こうかという表現で考えてたので」
 AIBA 「僕たちは“デビューしたい”という意味では夢は一つ叶えたと思うんですけど。その先にある新しい目標、さらなる夢にも繋がっていく曲だと思うんです。常に夢を描いて、輝いて生きていこうという」
――カップリングの「HOME」についても訊きたいんですけれども。これも「夢の向こうへ」と繋がるテーマを持っていますよね。
 KIM 「曲を作るにあたってのスタート地点が同じだったんです。友達とか実家とか、そういうことを思って作った曲だったので。帰る家というのは、すなわち待っていてくれる人ということ。待っている人がいるから、みんな、遠くまでいけると思うんです。無理をしなくていい、疲れたら帰ってきてもいい、ということを伝えたくて曲にしました」
――ちなみに、Hi-Fi CAMPというバンドにとっての「帰るべき場所」はどこだと思いますか?
 SOYA 「やっぱり仙台ですね。出会った場所だし、育った場所だし」
――4人とも今も仙台に拠点を置いて活動し続けているわけですけれども。東京に出てくるのではなく、地元で続けている理由というのは?
 SOYA 「たくさん理由がありますね。事務所がそこにあるというのもあるけど、最大の理由は、東京に移り住んじゃうとできないことがあるからなんです。僕らは仙台に生まれ育ったから、友達が東京や大阪や名古屋に行っても、仙台にいる限り、僕らは帰りを待っている側の人間でいられる。だから待っている側の音楽を作ることができる。それは一番の違いだと思います」
――「HOME」のような曲に説得力が生まれると。
 KIM 「東京から帰ってきた連中と話すと、そういう話になりますからね」
 SOYA 「そう考えると、シングルの構成もうまくできてるよね。<夢の向こうへ>で“頑張ってるじゃん”って言って。<HOME>で“帰ってこいよ”って言って、最後は<SENDAISTA>で、“また会おうぜ”っていう」
 KIM 「そうそう、年末の忘年会での会話ってことでしょ!?(笑)」
取材・文/柴 那典(2010年9月)

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