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〈ap bank fes ‘23〉終幕 櫻井「こんなにあったかいフェスは、オーディエンスは、他にはない」

2023/07/18 14:18掲載
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〈ap bank fes ‘23〉終幕 櫻井「こんなにあったかいフェスは、オーディエンスは、他にはない」
 2023年7月15日(土)、16日(日)、17日(月・祝)の3日間、5年振りに静岡県掛川市つま恋にて〈ap bank fes ‘23 〜社会と音楽と〜〉が開催。Bank Bandをはじめ、小田和正Salyu真心ブラザーズ宮本浩次、そしてMr.Childrenらミュージシャン全16組が参加し、3日間で約9万人を動員。自然あふれる会場にて、猛暑のなか熱いステージが繰り広げられました。

 一昨年のオンライン開催も含めると、今回で13回目の開催となる〈ap bank fes〉。2005年に静岡県・つま恋で初開催され、音楽を気持ちの良い自然あふれる会場で楽しみながら、環境問題をより身近に、より前向きに考えることができる場として、また、さまざまな取り組みの実践の場として始まりました。今回の収益は、全てap bankの活動資金となり、社会や暮らしをとりまく環境に対して問題意識を持って取り組むプロジェクトの資金に充てられます。具体的な活動内容については、後日オフィシャル・サイトにて報告されるとのこと。

 また、3日間の模様がU-NEXTにて9月に独占で収録ライヴ配信されることも決定。こちらの詳細は、後日発表されるとのことです。

[オフィシャル・レポート]
 5年ぶりにつま恋に『ap bank fes』が帰ってきた。つま恋は『ap bank fes』のホームグラウンドとも言える場所だ。コロナによるパンデミックを挟んで、この5年、世界を取り巻く様々な情勢はより緊迫したものとなっている。そもそも同フェスは環境保全や自然エネルギーの促進など、我々により身近な問題を、音楽を通して実感し考えることをテーマに掲げている。その意味で「社会と暮らしと音楽と」というサブタイトルを新たに付記し、それが自然と受け入れられている状況は、ap bankの発足から20年、フェスも含めたその活動の重要性が増している証拠だと言える。

 小林武史(key)、櫻井和寿(vo&g)を中心としたBank Bandが登場し、『ap bank fes‘23』がスタートした。オープニングは「よく来たね」。〈今年もいっぱい遊ぼう 笑顔をいっぱいつくろう〉の歌詞が早くも会場を幸福感で満たす。このフェスの特徴は、独自のテーマを持っていることもそうだが、日本を代表するミュージシャンによるスーパーバンドであるBank Bandがホストを務めるパートがあるということが挙げられる。

 Salyu(15日)、真心ブラザーズ(15日)、ハナレグミ(16日)、KREVA(17日)といった『ap bank fes』ではお馴染みのアーティストたちから、アイナ・ジ・エンド(16日)、長屋晴子/緑黄色社会(17日)といった初出場の若手アーティスト、そして宮本浩次(15日)、小田和正(16日)まで、豪華ラインナップでのセッションが今回も実現した。

 宮本浩次が最後に披露した「東京協奏曲」では「会うたびにポジティブにしてくれる男」と櫻井を呼び込み、リスペクトが感じられる最高純度の“歌い合い”を目撃できた。「ap bank fes」への愛あふれる装いで登場した小田和正は、「たしかなこと」での櫻井とのハーモニーがとにかく美しく、シンプルに歌の力が伝わってくるパフォーマンスだった。「生まれ来る子供たちのために」はオフコース楽曲のセルフカバーでもあり、Bank Bandがカバーしたこともある名曲だ。最後の一節〈その力を与え給え 勇気を与え給え〉というフレーズが一筋の光のように会場に降り注いだ。

 また、アイナ・ジ・エンドは10月に公開となる主演映画『キリエのうた』の主題歌「キリエ・憐れみの讃歌」を披露した。同映画の音楽を担当した小林武史との初ライブで見せたパフォーマンスは特筆に値するほど衝撃的だった。

 今回から加わったのは1日1組の[Individual Act]。Anly、チャラン・ポ・ランタン、MOROHAといった、オンリーワンなパフォーマンスを展開するアーティストが会場を沸かせた。また、転換中にも新しい試みが行われた。ビジョンにはap bank発足のきっかけを作った坂本龍一や文化人類学者の辻信一など様々な識者や著名人の言葉が次々に映し出されていく。深く納得させられたり、新たな気づきを得たり、音楽を楽しみながらも考えることの大切さを実感させられる「言葉のリレー」だった。

 back numberは2日目と3日目にBand Actで登場した。音楽とこのフェスへのリスペクトに溢れるステージは、見ている者の心を鷲掴みにするものだった。エモーショナルとセンチメンタルを程よくブレンドしたメロディが夕空になったつま恋に溶けていく様は、まるで一編の映像作品のようだった。「どうしても自分と向き合わなきゃいけない時にあるのが音楽なんだ」と清水依与吏が語った後に披した「水平線」は、MCでの言葉とも合わさって多くの人の心の大切な部分にすとんと収まっていった。

 Bank Bandとともに3日間通して出演したのはMr.Children。「CROSS ROAD」のイントロだけで会場を沸かせる存在感は別格だ。今回はBank Bandのメンバーともコラボレーションしながら特別なステージをつくりあげた。1日目は「横断歩道を渡る人たち」「幻聴」、2日目は死生観や永遠性を色濃く反映させた「pieces」「ゆりかごのある丘から」「花の匂い」など選曲ひとつひとつが『ap bank fes』に来てくれたオーディエンスのために考え抜かれているように感じられ、音楽の深い部分を感じとることのできるパフォーマンスだった。3日目の後半に入るMCで桜井がこんな舞台裏を明かしてくれた。「本当に暑い中会場まで足を運んでくれたみんなに何かできないかなって思ってたら、鈴木くん(Dr)がこう言ったんです。『今日暑いから曲変えない?』って。みんなが喜ぶやつ、みんなで一緒に歌えるやつ行くよ!」。「HANABI」「名もなき詩」の大合唱がつま恋にこだました。

 『ap bank fes‘23』のラストを飾るのは、櫻井和寿、小林武史の2人だけによるシンプルなステージだ。小林の鍵盤で櫻井が「HERO」を歌唱し、続いてSalyuを呼び込んで披露したのは、アンセムとも言えるこの曲、「to U」だ。「つくづく思うのは、皆さんがこのフェスを作ってくれてるってこと。こんなにあったかいフェスは、オーディエンスは、他にはないと思っています。僕らの誇りです」(櫻井)。


[ap bank fes '23 会場レポート]
 ライブエリア以外にも、piha(ピハ)、koti(コティ)、puu(プー)、koti market(コティマーケット)エリアでは、ap bankの理念に共鳴してくれた飲食店38店舗や雑貨&ワークショップ30店舗、その他にもたくさんの出展ブースなどがサステナブルへの想いをこめて暑い会場に彩りを加えてくれました。

 また、camp area(キャンプエリア)では星空の下でのスペシャルライブや自然の中で楽しむ朝食も素敵な夏の思い出になりました。
ap bank fes会場内では、食べることや買うことに加えて、来場者自身にごみを分別していただいたり、一部のエリアの電力を太陽光発電で賄うなど、エネルギーのこと、ゴミのことなど、私たちの暮らしとそれを取りまく環境と繋がりを実感できる、さまざまな取り組みを実践しました。

 楽しみながら、サステナブルな未来について考えるきっかけになってくれることを願っています。

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文: 谷岡正浩
写真: 山川哲矢 / 藤井拓 / 後藤壮太郎 / 高田梓


〈ap bank fes ‘23 〜社会と音楽と〜〉
fes23.apbank.jp
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