2022年に逝去した鬼才・
石井隆が遺した幻の脚本を、『
悪い夏』『名無し』の
城定秀夫監督が今の時代に映画化した『雨のエトランゼ』が、12月4日(金)より東京・テアトル新宿他にて劇場公開することが決定しました。愛と孤独、エロスとタナトスが交錯する中、一人の女とそれに魅入られた二人の男の切愛を描く衝撃のエロティック・ノワールが令和の今、誕生。この度、本作の2種のティザー・ヴィジュアルと特報映像を公開。あわせて、メインキャストの井筒しま、
東出昌大、
毎熊克哉、監督の城定秀夫のコメントも到着しました。
『
死んでもいい』『
ヌードの夜』『
GONIN』から遺作となった『
GONINサーガ』まで19本の監督作品を遺し、2022年にこの世を去った鬼才・石井隆。しかし、遺したものは他にもありました。生前、撮る機会をうかがいながら書き溜めていた何本もの脚本。そのうちの一作が、劇画家として名を馳せていた70年代に発表した劇画を、自ら脚本化し、晩年、病床でも繰り返し手を入れていたという『雨のエトランゼ』。そんな79年に生み落とされた物語が、今、令和の時代に蘇ります。
石井隆の長年にわたる執念と遺志を継いで映画化を果たしたのは、今年に入って『名無し』『藁にもすがる獣たち』と、すでに2本の監督作を世に送り出している監督・城定秀夫。城定の愛と孤独、石井のエロスとタナトス、さらにバイオレンス描写までもが響き合う中、男と女の愛の切なさ、わからなさ、そして怖さまでをも滲ませた本作は、劇中、常に雨が登場人物たちを濡らしていたように、その衝撃と共に観客の心も濡らさずにはいないでしょう。
突然だった。見知らぬ女が雨に濡れて立っていた―。雨が絶え間なく降るその日にどこからともなくやってきた、「土屋名美」と名乗る女。過去の愛に傷つき彷徨い、さらに何度も傷つき壊れゆく名美。そんな彼女にどうしようもなく惹かれ、やがてそれぞれの形で運命を狂わされていく、編集長の村木とカメラマンの川島。彼らにとって天使とも悪魔とも、あるいは無自覚な地獄への案内人ともいえる名美を演じたのは、本作が初の主演作となる井筒しま。ハードなシーンにも果敢に挑みつつ、見る者を射抜くような大きな瞳を印象に残し“運命の女”を見事に体現しています。また、名美に翻弄されていく2人の男は、各々石井隆と城定秀夫に縁のある者をキャスティング。村木は『GONINサーガ』に主演し石井隆の最後の現場を知る東出昌大、川島は城定秀夫監督作品常連の毎熊克哉が演じ、“名美のわからなさ”に翻弄されながらも囚われ続けていく姿を、それぞれの形で痛切に表現しています。さらには、石井隆が劇画、映画を通して描き続けてきた、男女のすれ違いの切愛の形である“名美と村木”を井筒と東出がどう作り上げたのかも、石井隆ファン納得必至の大きな見所となっています。
降りしきる雨、雨に滲むネオン管のビビッドな色彩の他、城定監督による石井隆へのオマージュも散見される本作は、ストーリーも、原作・脚本が石井隆だけに古典的なメロドラマと言えなくはありません。だが、令和の時代に蘇ったこの物語を目撃した者は、それらが決して懐古的なものではなく、普遍性に満ちていることに気づくでしょう。男たちに虐げられた女の傷とはいかに修復が困難なものなのか。そして、それを必死で愛し救おうとしても結局その手からすり抜けていく女を見送る他ないという、男が抱える孤独と諦念――。石井隆が常に描いてきたこの男と女のサガに時代は関係ありません。いやむしろ、この時代にこそ見て、感じるべき物語なのです。しかも劇場で!そう伝えているのが、城定秀夫監督によって今、世に放たれた『雨のエトランゼ』だといえます。
この度、本作の2種のティザー・ヴィジュアルが公開。ティザー・ヴィジュアルAは、降りしきる雨の中、ひとり踊る名美が映し出され、刹那の美しさと危うさをまとった印象的なヴィジュアルに仕上がっています。儚くも妖艶なその姿が、石井隆が描き続けた“名美”という存在を令和に蘇らせます。そして、ティザー・ヴィジュアルBは、名美、村木、川島――3人が初めて出会う夜の編集部でのワンシーンが切り取られています。静かな空間に張り詰める緊張感が、この後に待ち受ける、抗えない数奇な運命を予感させるヴィジュアルとなっています。
監督: 城定秀夫×原作・脚本: 石井隆で贈る、愛と孤独、エロスとタナトスが交錯する中一人の女とそれに魅入られた二人の男の切愛を描く、衝撃のエロティック・ノワール『雨のエトランゼ』にぜひご期待ください。
[コメント]「生きていて良かった」と毎日思っていました。
名美と向き合う時間はとにかく生きること自体に精一杯で、いつもギリギリを生きている感覚でした。
周りの人は当たり前のように真っ直ぐ歩いていくのに、自分はどれだけ必死になっても真っ直ぐには歩けない。一歩ずつ、歪にしか進んでいけない。名美を生きるのはそんな感覚でした。
彼女を通して、私自身の中にある弱さや汚さにも沢山気付いてしまった。
けど、このために生きてきたんだと思うくらいずっと幸せでした。
チーム全員で作品に向かっていく力強さと誠実さの中でお芝居ができて、とにかく嬉しかった。
信頼できたから飛び込めた瞬間が何度もありました。
この作品と、関わるすべての方に心から感謝しています。――井筒しま/名美 役「石井隆作品の主人公『名美』はファムファタルであらねばならない」
私も参加したスタッフ会議で一同そう話し合い、主役オーディションを開催する運びとなった。
オーディションには素敵な女優さんが数多く参加して下さり、素敵なお芝居の瞬間も沢山あった。
だが、井筒しまは特質だった。彼女が演技を始めると、なんて事ない会議室が映画世界になった。
愛しい人を見つめる横顔、本音を隠したまま微笑んだ時間、相手の心を掻き乱す言葉、
全てが切実で妖艶で、名美だった。
彼女を主演に迎えて突き進んだ今作、関係者一同が彼女で良かったと今も考えています。
令和の名美を、お楽しみになさって下さい。――東出昌大/村木 役石井隆さんの世界を城定秀夫監督が撮る。こんな面白い企画に声をかけていただき、喜んで参加させていただきました。これまで何度も映画をご一緒させていただいている城定監督のもとで、"石井さんならどう撮ったのかな?"と想像しながらシーンを重ねていくのも楽しかったです。雨や人間から発せられる湿度の高さと、どこか寂しげな空虚が映画的な魅力を放っている、そんな作品になっているかと思います。是非スクリーンでご覧ください。――毎熊克哉/川島 役「今の時代に本作を作る理由は何か?」そんなことを聞かれました。恐らくはこれからも聞かれると思います。
でも、僕にとっては時代もなにも関係ありません。「石井隆の漫画と映画が昔から好きだから」理由はそれだけです。
渡された脚本は極めて石井隆的であると同時に自分には極めて難しいもので、「これ、石井監督が撮ったやつでみたかったな……」などとも思ったのですが、迷うことなく引き受けました。
断る道理がありません。石井隆ですから。
とはいえ、映画は愛だけでは作れません。解釈を問おうとしても作者は雲の上です。
苦難は多く、石井監督に叱られるようなことをしでかしてしまっているかもしれませんが、僕なりに精一杯、死力を尽くし戦ったつもりです。
みてください。――監督:城定秀夫©2026「雨のエトランゼ」製作委員会