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ジョン・ハッセル、生前最後のライヴ音源を収録した『Music Is Invisible』リリース

2026/08/24 17:36掲載
ジョン・ハッセル、生前最後のライヴ音源を収録した『Music Is Invisible』リリース
 2021年6月26日、84歳で逝去した、コンテンポラリー・ミュージック界の大家にしてトランペット奏者のジョン・ハッセル(Jon Hassell)による生前最後のライヴ音源を再構築した3部作の最終章『Music Is Invisible (Pentimento Volume Three)』が、10月2日(金)にリリース。あわせて、3部作全ての作品を収録した3枚組CD『The Pentimento Trilogy』も同日リリースされます。

 ジョン・ハッセルの『Music Is Invisible』は、「Pentimento Trilogy」を締めくくる第3作であり、彼が生前最後に行なったライヴ・パフォーマンスを収録した特別な作品。2015年5月23日にロンドンのSt John at Hackney教会で行なわれた、リック・コックス、ジョン・フォン・ゼーゲルンとのトリオ演奏を、ジェフ・ロナが緻密な編集・ミックスによって再構築し、単なるライヴ盤の枠を超えた音響作品へと昇華しています。現在アルバムからの先行配信曲として「Blue Ba-Ya (Excerpt)」がビジュアライザーとともに公開中です。

 2018年の『Listening To Pictures』、2020年の『Seeing Through Sound』に続く本作では、両作に登場したテーマ、モチーフ、リフが半即興的な演奏の中に姿を現します。Pentimentoとは、絵画の上から塗り重ねられた過去のイメージや筆跡が浮かび上がる現象を指す言葉。ハッセルはこの概念を音楽に応用し、過去のライヴやリハーサルの録音を素材として新たな演奏を重ねたり、ループや編集によって別の楽曲へと変容させてきました。その手法には、ジャマイカのダブにおける「ヴァージョン」文化や、テオ・マセロによるマイルス・デイヴィスの大胆なテープ編集からの影響も色濃く反映されています。

 『Music Is Invisible』もまた、過去の演奏をサウンドベッドとして活用し、編集、サンプリング、オーバーダビングを施すことで、ライヴとスタジオの境界を曖昧にしています。アルバム・タイトルは、ハッセルが『Seeing Through Sound』制作時に考えていた候補のひとつであり、ライナーノーツには彼自身による「On The Invisibility Of Music」を収録。アートワークには、彼の親友マティ・クラーワインによる1976年の絵画『Leh C'est Beau』が使われています。リック・コックス、ジョン・フォン・ゼーゲルや、長年のエンジニア、アルノー・メルシエらの協力のもと完成された本作は、ハッセルが追求した「見えない音楽」の思想を受け継ぐ、静かで壮大なラスト・ステートメントと言えるでしょう。

 トランペット奏者、作曲家、そして音楽的コンセプトの探求者であったジョン・ハッセルは、20世紀の芸術と音楽における極めて広範な領域を結びつけた、まるで至る所に居合わせるカメレオンのような存在。第二次世界大戦後のテネシー州メンフィスで、ジューク・ジョイントやブルース・パーティーに通いながら育ち、シュトックハウゼンに師事。カンのメンバーとなるホルガー・シューカイイルミン・シュミットと交流を深めたほか、テリー・ライリーと親交を結び、歴史的録音「In C」に参加したことも。ラ・モンテ・ヤングとマリアン・ザジーラによる“Theatre Of Eternal Music”の一員となり、パンディット・プラン・ナートからラーガの指導を受け、最初の作品ではデヴィッド・ローゼンブームナナ・ヴァスコンセロスとも共演。ブライアン・イーノとのコラボレーション、トーキング・ヘッズの『Remain In Light』への参加、マティ・クラレンとの生涯にわたる友情に加え、ファラフィナライ・クーダーレスリー・ウィナー、ファン・アトキンス、モリッツ・フォン・オズワルドピーター・ガブリエルデヴィッド・シルヴィアンビョークなど、数多くのアーティストとの録音、さらに映画音楽、演劇作品、オペラ、児童書まで、その活動範囲は果てしないものです。

 彼の成し遂げた功績の全貌が本格的に評価され始めたのは、実は近年になってから。本作をリリースするレーベル「Ndeya」は、ジョン・ハッセル自身が〈Warp Records〉と共同で、自身の音楽を発表する拠点として設立。Pentimentoシリーズに加え、オリジナル・テープからリマスターされたデビュー・アルバム『Vernal Equinox』の待望の再発や、自身の音楽について書いた文章をまとめた限定版コレクション『Atmospherics』も発表されています。ジョンがこの世を去った後も、「Ndeya」は遺族と協力しながら、彼の音楽的遺産を未来へ残していくため、複数のアーカイブ・プロジェクトを進行しています。

[コメント]
この50年間で最も影響力のある作曲家だ。
――ブライアン・イーノ

私が考える、いわゆる「ディープ・リスニング」の喜びとは、言葉では表現しきれない内面的な音風景へと身を委ねることにある。それは万華鏡やプリズムのように、これまで自分が心を震わせてきたあらゆるものを屈折させ、映し出すような音の世界だ。
――ジョン・ハッセル


Photo by Roman Koval

■2026年10月2日(金)リリース
ジョン・ハッセル
『Music Is Invisible (Pentimento Volume Three)』

beatink.com/products/detail.php?product_id=15957
配信リンク:ndeya.ffm.to/musicisinvisible

■2026年10月2日(金)リリース
ジョン・ハッセル
『The Pentimento Trilogy』
beatink.com/products/detail.php?product_id=15958
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