シンガー・ソングライター“上田桃夏”がオーガナイザーとして作り上げた〈Ueda Presents『Peach Summer 2026』〉が、9月19日に愛知・LIVE HOUSE CIRCUS、22日に東京・月見ル君想フで開催されました。
上田が夏の恒例ライヴとして続けてきたソロ・ワンマン〈Peach Summer Live〉。2026年に自主レーベル「TSUKIYORI Records」を立ち上げたことを機に、今年からは上田自身が主催者となり、自らがリスペクトするアーティストを招くセルフプロデュースライヴ〈Ueda Presents『Peach Summer』〉へと形を変えました。
その初年度に迎えられたのは、
井上苑子のトーク・ライヴをきっかけに上田と親交を深めたシンガー・ソングライター“mibuki”。
そして名古屋公演には元
SKE48の野島樺乃、東京公演にはデビュー10周年を迎えた
Leolaがスペシャルゲストとして参加しました。
さらにDJにはトラックメーカーの
MaLを迎え、異なるバックグラウンドを持つ女性アーティストたちの歌声とDJサウンドが交差する、これまでの〈Peach Summer〉とは全く違ったステージが繰り広げられました。
[ライヴ・レポート] 2026年9月22日。
「東京・月見ル君想フ」公演は、開演前からすでに始まっていた。
DJブースに立ったMaLが出演者たちの楽曲を次々とつなぎ、フロアを徐々にライブ本編へと導いていく。従来の「Peach Summer」とは異なる幕開けに、観客がステージの行方を見守る中、上田の代表曲「僕の彼女が宇宙人にさらわれまして」のイントロが流れる。
しかし、そのまま同曲はそのまま音が収束。すると上田桃夏が姿を現し、この日のために書き下ろした新曲「Peach Summer(仮)」を歌い始める。アップテンポなサウンドと、心地良いメロディー。意表を突くオープニングで一気に空気を変え、新しい「Peach Summer」の幕を開けた。
ここからライブは、上田とmibukiが交互にステージへ登場する独特のスタイルで進んでいく。
mibukiが「baby you」でフロアを盛り上げれば、上田は「カフェオレ」で柔らかな空気を作る。mibukiが「イマジン」でメッセージを投げかけると、上田は「Endeavor」でじっくりと歌を聴かせた。さらに、ステージに浮かぶ桃色の月を背にmibukiが「Strawberry Moon」を芯のある柔らかな歌声で弾き語れば、上田はバンドサウンドを前面に押し出した新曲を力強く歌唱する。
異なる個性を持つ2人の音楽が、1曲ごとに入れ替わりながら押し寄せてくる。そこにMaLのDJサウンドやエフェクトが切れ目なく入り込み、普通の対バンとも、これまでの上田のワンマンとも異なる新しいライブが形作られていった。
中盤には東京公演のスペシャルゲスト・Leolaが登場。透明感と力強さを併せ持つ歌声をリズミカルなギターに乗せ、上田やmibukiとは異なるアプローチで会場を引き込んでいく。
Leolaと上田の接点は、上田が出演するFMラジオ番組。ゲストとしてLeolaを迎えた際、その音楽と人柄に惹かれた上田が「いつか共演したい」と考えたことから、今回の出演へとつながったと話した。
名古屋公演には野島樺乃、東京公演にはLeola。キャリアも音楽性も異なるアーティストたちが同じステージに集った背景には、上田自身が「一緒にステージに絶対立ちたい!」と願う相手に声をかけて作り上げた「Peach Summer」ならではのキャスティングルールがあった。
ライブ後半には、上田とmibukiによるサプライズコラボも。上田の「らしさ」、mibukiの「ねこでよければ」を2人で歌唱し、それぞれが普段1人で届けている楽曲にもう1つの歌声を重ねる。この日、この組み合わせだからこそ生まれるアンサンブルを観客に届けた。
そして本編ラストには、ライブの中心に立つ上田自身が、終盤に冒頭の「僕の彼女が宇宙人にさらわれまして」をはじめとする代表曲を一気の畳み掛けていく。
DJサウンドや自らが大事にしている弾き語りを取り入れ、楽曲によってステージの表情を次々と変化させていく。伸びやかな歌声を会場いっぱいに響かせる一方、出演者のステージではホストとして彼女たちの個性を引き出した。
上田が「Peach Summer 2026」に迎えたのは、自身が一目置くアーティスト、今気になっているアーティスト、そして心からリスペクトするアーティストたち。単に複数の出演者を並べるのではなく、それぞれの音楽性を生かし、組み合わせることで何が生まれるのか。
今回のステージでは、その答えがライブそのものとして提示されていた。これまで「Peach Summer」のステージで歌ってきた上田が、今年は出演者を選び、DJを迎え、ライブ全体を構成する側まで担った。
シンガーソングライターから、アーティストと音楽をつなぐオーガナイザーへ。これまで積み重ねてきた夏の記憶を受け継ぎながら、新しい音楽、新しい出逢い、新しいライブの形が交わる為の小さな一歩。
「Peach Summer 2026」は、上田桃夏が自らの手で“夏の恒例ライブ”のその先を作り始めた。
Photo: さいちょー