ニューヨークの伝説的なライヴ・ハウス「CBGB」が、パンク / ニューウェイヴの震源地へと変貌していく過程を描いた映画『CBGB ニューヨーク、PUNKが生まれた場所』が10月23日(金)よりシネマート新宿ほか全国公開。これに先駆け、10月15日、シネマート新宿にて音楽評論家の鳥井賀句をスペシャルゲストに迎え、
ランドール・ミラー監督、脚本のジョディ・サヴィンが登壇する先行上映会が実施されました。
この度、
ランドール・ミラー監督とジョディ・サヴィンによる制作秘話と、鳥井賀句による当時の証言も交えたトークの模様を伝えるレポートが到着しています。
本作は、CBGBの創設者、ヒリー・クリスタルの物語を映画化したもの。相次ぐ店の失敗と離婚で人生のどん底にいたヒリーがロウアー・イーストサイドに開いた小さなバー“CBGB”に、
テレヴィジョン、
トーキング・ヘッズ、
パティ・スミス、
ラモーンズ、
ブロンディ、
デッド・ボーイズら後にロック史を塗り替える面々が、店のルール「オリジナル曲のみ」のもとでステージに立ち、パンク・ムーヴメントの震源地となっていく過程が、当時のリアルな様子を思わせる再現度の高いセットとともに描かれます。
また、10月20日(火)には、ランドール・ミラー監督、ジョディ・サヴィン、鳥井賀句、高木完、東瀬戸悟(forever records)ほか(予定)が登場するDOMMUNEの配信が決定。さらに、10月23日(金)にはシネマート新宿にて、ランドール・ミラー監督、ジョディ・サヴィン、写真家でラモーンズ ・ファンクラブ・ジャパン会長の畔柳ユキが登壇する初日舞台挨拶も実施されることが発表。チケットの販売は10月16日(金)18:00 より劇場オンラインにて開始されます。
[オフィシャル・レポート] CBGB閉店記念日である本日(10月15日)、シネマート新宿にて70年代から日本のロック・シーンを縦横無尽に駆け抜けてきた音楽評論家の鳥井賀句さんをスペシャルゲストに迎え、ランドール・ミラー監督、脚本のジョディ・サヴィンが登壇する先行上映会を実施。会場にはCBGBが生んだ伝説とニューヨーク・パンクの歴史に魅了されたファンが集まった。
ランドール監督は、「観てくださりありがとうございます。私も脚本のジョディも日本は初めてなので、楽しくてしょうがないです!」とはじめ、鳥井は「俺がCBGBに最初に行ったのは1977年でね。やっと50年経って映画が公開されて、過去の話だけど感無量で、昔の思い出が蘇るよ」とした。
本作には、ハリー・ポッターシリーズで有名なアラン・リックマンなど素晴らしい俳優が揃っているが、似た人をキャスティングするにあたって苦労したことや、再現度の高いセットや小道具についてランドール監督は「CBGBのセットでラッキーだったのは、オリジナルのバーやジュークボックス、レジなどを保管していた人たちがいて、その人たちから借りられたこと。バンドとかキャスティングで大変だったのはそっくりな人を探すことだね。そこに俳優として演技の技量がないといけないし、歌えないといけない。本当に大変でした」と答えた。キャスティングで満足している役者については、「アラン・リックマンとは過去2本仕事をしているのでやりやすかったです。この作品も彼ありきで描きました。ブロンディ役のマリンさんは乗り気でやってくれたし、ルパード・グリントも出てくれている。特にスティング役をやってくれたキーン・マクレーはハマり役でした」と絶賛した。
鳥井は、ヒリーについて「パティ・スミスが首の怪我から復帰するって聞いて、何も考えずに友達3人でアメリカに飛んだんだ。ニューヨークについたら、チケットは10分でソールドアウトしたってあしらわれたよ。諦めきれなくて、ひとりでCBGBに行って、なんとかヒリーに会えることになって、お願いしたけど無理だって言われて。負けじとプリーズ!って何度も言ったら、お金を払う代わりにチケットをくれたんだよ。凄くイイ人だよな。人情のある人間だった。その夜、コンサートに行ったら、パティ・スミスの目の前の席だったんだよ。涙が出たね。彼が原石をプッシュして行ったおかげで、色んなバンドが開花して行った」と秘話を明かした。
その話から、日本に鳥井のような熱狂的なパンクファンがいたことを知っていたかと聞かれ、ランドール監督は「知らなかったです。でも、いるっていうことは想像できます。なぜなら、音楽が持つストーリーはどの世代にも広がるし、世界各地離れたところでも通じ合いますよね」と答えた。また「ヒリーの功績は、当時のアメリカの若者たちが声を上げられる場所を作ったということ。それを知ってもらうためにベストを尽くしたいという思いと、ファンやアーティストへの尊敬は忘れたくないという意思があった。アーティストは誰かにとってのヒーローなのでね。撮影中は、MC5のメンバーがスタジオに来て、ディレクションをしてくれたり、積極的に協力してくれたよ」とした。
最後に、“あなたにとってCBGBとは”という問いにランドール監督は、「表現の自由だったり、個人としての自由を提供する場所」、ジョディは「コミュニティですね」、鳥井は「ニューヨーク・パンクの一つの歴史というか、そういうシーンをみんなで作った場所。ただ音を出して騒いでいるパンクとは違くて、文化としての音楽を作ったと思う」とそれぞれ評価した。
CBGBが刻んだニューヨーク・パンクの歴史と、音楽が持つ時代や国境を超える力が語られた本イベント。監督・脚本家と日本のロック・シーンを見つめてきた鳥井賀句の熱い言葉が交差し、伝説のライブハウスへの尽きない愛と敬意に包まれた、感動的な先行上映会となった。
