S-KEN、
いとうせいこう、
町田康、
小林大吾、岡本学志、
GOMESS、向坂くじら、CuT SUIKA with OBATA JIN and SHOJI WATARUらが出演する、スポークンワードをテーマにしたイベント〈TOKYO SPOKEN WORD 2026〉が、11月15日(日)に東京・池尻のGOOD TEMPOで開催。東京のパンク、日本語ラップ、文学、ポエトリーリーディングと、それぞれの場所で「言葉と音楽」を更新してきた表現者が一堂に会します。
詩を読むこと、ラップすること、物語を語ること、音楽に言葉を乗せること。スポークンワードは一つのジャンルというより、パンクやヒップホップ、詩や文学、語り芸といったさまざまな文脈が入り混じったところにある表現。本イベントは、その文脈を一つずつ解きながら、音楽、文学、ストリートカルチャーそれぞれの歴史を、いまその場で生まれる声と言葉でつなぎ直す試みです。
当日は、出演者それぞれのライヴパフォーマンスに加え、トークショーなども予定。主催のCuT SUIKA with OBATA JIN and SHOJI WATARUが奏でるビートとピアノに、出演者たちの言葉がその場で重なるセッションも組まれます。
2000年代初頭、新宿で〈新宿スポークンワーズスラム(SSWS)〉というイベントが開かれていました。声と言葉による表現であれば、詩でもラップでもスタイルは問わない本イベントは、別々のシーンにいた詩人とラッパーが同じステージで言葉を競い合う場。小林大吾、
不可思議/wonderboy、
MOROHA、
メテオ、
環ROY、
KEN THE 390、
なのるなもない、
漢ら、のちにそれぞれの場所で活躍する表現者たちがこのステージに立っています。
この“SSWS”で出会ったATOMと
totoは、
タカツキ、
タケウチカズタケ、
高橋結子とともにヒップホップ・バンド“SUIKA”を結成。その後は“CuT SUIKA”として歩みを続け、現在はビートメイカー / シンガー・ソングライターの小畑仁、ピアニストの庄子渉を迎えた“CuT SUIKA with OBATA JIN and SHOJI WATARU”として活動中。彼らがS-KENと相談を重ねて実現した今回のイベントは、SSWSから始まった20余年の流れを、もう一度ひとつの場所に集めるものとなります。
そして今回集まるのは、世代も出自も異なる表現者たち。その足跡をたどると、東京で言葉と音楽が交わってきた歴史が浮かび上がります。
東京オルタナティヴの現場からは、1970年代のニューヨークでパンクが生まれる現場に立ち会い、帰国後は「東京ロッカーズ」「TOKYO SOY SOURCE」、いとうせいこうと立ち上げた「TOKYO NEW SOURCE」と、時代ごとに東京のストリートの場をつくってきたS-KENが出演。東京ロッカーズを描いた映画『ストリート・キングダム』(2026年公開)で、その歩みもあらためて注目されているところです。
また、日本語ラップとSSWSの系譜からは、日本語ラップの黎明期から言葉とビートの関係を切り拓いてきた、いとうせいこう。SSWSのステージから歩み始めた小林大吾。高校生ラップ選手権で頭角を現し、ラップと朗読を行き来するGOMESS。
文学と詩からは、パンクから小説へと領域を越え、独自のリズムで日本語を鳴らしてきた町田康。詩集やエッセイを書く一方、エレキギターとのユニットで詩を声にしてきた向坂くじら。
そして即興と現場からは、人前に滅多に現れない楽器職人 / 音楽家の岡本学志。ビート、言葉、ピアノ、歌、即興を行き来するCuT SUIKA with OBATA JIN and SHOJI WATARU。音楽好きも、文学好きも、ラップ好きも、どこかに自分の入口を見つけられる顔ぶれとなっています。
2022年にはグラミー賞に「最優秀スポークンワード・ポエトリー・アルバム(Best Spoken Word Poetry Album)」部門が新設され、詩と音楽が交わる表現としてあらためて評価されているスポークンワード。一方、日本では、“SSWS”の後は、「スポークンワード」を正面から掲げる場は多くはありませんでした。歌詞と詩と語りの境目が溶け、一人ひとりが自分のリズムで言葉を発する表現が増えたいまだからこそ、まだ名前のついていない次の表現へ。20年以上にわたって東京で育まれてきた「言葉と音楽」の流れを、2026年の東京からもう一度ひらこうとする本イベントに注目です。