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映画『チャック・ベリー ブラウン・アイド・ハンサム・マン』、高橋健太郎と朝日順子によるトーク・イベント開催
チャック・ベリー
2026/01/19 14:05掲載
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“ロックの父”の異名を持つ
チャック・ベリー
の2026年生誕100周年を記念して、ドキュメンタリー映画『チャック・ベリー ブラウン・アイド・ハンサム・マン』が1月16日(金)より角川シネマ有楽町、UPLINK吉祥寺、新宿K’s cinema(1月17日[土])他にて全国公開されました。
1月17日(土)に初日を迎えた新宿K’scinemaでは、高橋健太郎(音楽評論家 / 音楽制作者)と朝日順子(音楽ライター / 翻訳家)によるトークショーが開催。70年代にチャック・ベリーの家が通学路にあったという朝日順子のチャック・ベリー秘話や、日本でチャック・ベリーがどのように浸透していたかなどを、実体験から高橋健太郎が語った当日のレポートが到着しています。
[イベント・レポート]
1月17日(土)本日初日を迎えた新宿K’s cinemaでは、音楽評論家・音楽制作者の高橋健太郎さん、音楽ライター・翻訳家の朝日順子さんによるトークショーが行われました。チャック・ベリーは1926年生まれ、今年がちょうど生誕100年にあたります。
「初めて高橋さんがチャック・ベリーを知ったのはいつ頃ですか?」との朝日さんの質問に、高橋さんは「僕は1956年生まれ。どうしてチャック・べリーを知ったかというと、中学校ぐらいの時に日本の黎明期のような時期にぶつかり、日比谷の野音とか、たくさんバンドが出る今のフェスのようなものがあって、必ず最後に全員で『ジョニー・B・グット』をやるんです、1970年代初頭かな。それで『ジョニー・B・グッド』という曲を知ったんじゃないかと思っています。それがチャック・ベリーの曲だと認識されていたか否かわからないけれど、フェスの最後はこの曲、という時代で、全員がソロを回すという感じでしたね。なぜこれをやるのか、その時は疑問でした。音楽的に注目したのは、ビーチ・ボーイズのギターの元がチャック・ベリーじゃないか?と知ったのが高校生ぐらいじゃないかな。1970年代の頭。『アメリカン・グラフィティ』という映画があって、オールディーズを聞かなきゃとなって、その一つとしてチャック・ベリーも知りました。更に存在を意識したのはもっと後で、チャック・ベリーのギターを意識したのは、たとえば鮎川誠さんを見たり、こういうギターの元はチャック・ベリーだなと判ったのは1970年代後半になってからかもしれないです」と話し、「そういう時にチャック・ベリーのレコードを買おうと思ったら、日本では買えたんですか?」という問いには、「2枚組のピンク色のベスト版っぽいものを買いました。自分でもコピーしました。これが弾けないと恥ずかしいというのがあって。ようやく皆なぜ『ジョニー・B・グッド』をやっていたのかというのが、10年ぐらい経って判ったんです」と回答。
また、「70年代には基礎として皆さん触れていたのが、その後日本におけるチャック・ベリーというのは、どう変わるんですか?」との問いには、「チャック・ベリーという人は変な人で、日本にも来るけれど日本のミュージシャンを集めてやっているし。特別な存在過ぎて、系譜の中に入れられないまま来ているような気がするんです。今回パンフレットに「チャック・ベリーのどこがすごいか」という文章を書かせて頂いています。ソングライターとして、ギタリストとして、書いたんですが、、、今日、朝日さんとお話できるということで、逆にもっとお話を聞きたくて。セントルイス出身で、セントルイスに住んでいらっしゃった、家が近くだったと聞いてます」と、今度は朝日さんに振る高橋さん。
朝日さんが「小学校の通学路にチャック・ベリーの家がありました。チャック・ベリーって、成功した後は郊外に大きな家を持つんですが、ずっとわりとダウンタウンから外れた市内に転々としていて。私の通学路にあったのは、まだ貧しかった頃の新婚時代のチャック・ベリーが叔父さんの家を間借りしていて、それが通学路にありました」と話すと、
高橋さんは「実はセントルイスという町にとても興味があって。アメリカ音楽の重要な都市ってたくさんあって、たとえばニューオリンズとかメンフィスとかニューヨーク、ロサンゼルスとか。セントルイスは小さい町の割に実はすごく重要な場所で、アフロアメリカの音楽で一番最初にポピュラーになったのは『ラグタイム』と呼ばれるスコット・ジョプリンなんかの、あれはセントルイス発祥なんですよね。ニューオリンズよりセントルイスの方が早いんですよ。チャック・ベリーもセントルイス、マイルス・デイヴィスもほとんどセントルイス、ちょっと北のオーランド出身。マイルス・デイヴィスも1926年で生誕100年。チャック・ベリーとマイルス・デイヴィスがとても近いところから出ているのも、なんか不思議なんです。大きな音楽ムーブメントがある町ではないのに、すごい重要人物が出ています」と、同地への興味をコメント。
朝日さんは「黒人の人たちが南部から上がってきて、大きなミシシッピー河があり、鉄道の拠点もあるので、シカゴ、ニューヨーク、カリフォルニアに行くにはルート66があるので、拠点の町で、文化がすごく栄えました。ただ私の住んでいた70年代もそうなんですが、黒人と白人が完全に分かれていた土地で、ジム・クロウ法が無くなる前に、黒人は黒人同志のビジネスが成り立っていて、黒人が黒人を雇うっていうことで、お金持ちの黒人がセントルイスのエリアに住んでいて、そこでチャック・ベリーも生まれ育っています。ティナ・ターナーも南部出身ですが、お母さんを頼ってセントルイスに引っ越してきて、チャック・ベリーもティナ・ターナーも同じ高校だったのです。全然時代は違いますが」と当時を振り返りました。
高橋さんが「それは裕福な方だったんですよね?」と問うと、朝日さんは「そうです。黒人のための名門校に2人とも通っていました。ミーズリ州のセントルイスと、イリノイ州のイーストセントルイスというのがあって、ミシシッピー河をはさんで対岸にあるんですが、アイク・ターナーはイーストセントルイスにクラブを持っていて、そこで成功していて、河を挟んで、チャック・ベリー対アイク・ターナーというしのぎを削っている時に、ティナ・ターナーが加わって。2人ともセントルイスで人種の壁を打ち破ったというか、白人の人たちが見に来たりしていました。中西部なのですが、南部っぽい香りのする町でした。だからカントリーとブルースが混ざるような…」と話し、
高橋さんも「全部が通過しているからですね。だからチャック・ベリーもお姉さんはクラシックのピアノを弾いていて、少し裕福な家なんですよね。チャック自身はすごくカントリーをラジオで一生懸命に聞いていたというか。チェスからデビューしているけど、労働者階級の黒人音楽をやっていた、というのとは違うんですよね」と付け加えます。
朝日さんは「シカゴもルート66を通って近いんですよね、だからチャックもマディ・ウォーターズを頼ってシカゴでデビューできたんですけど。チャック・ベリーって亡くなるまで、ブルーベリー・ヒルというクラブに毎月出演していたんですが、そばに住んでいました。そこがまさに、黒人居留地区と、白人地区の境目にあったんです。デルマーブルバードという、そこにも住んでいました。白人と黒人の境界に住んで、亡くなるまで出演していたのは、すごく象徴的だと思います」と言い、高橋さんが「カントリーソングから学んでいて、白人の子供たちが何を欲しているのかをいち早くつかんだんですよね」と言うと、「そうなんですよ。お父さんの手伝いで白人の住んでいる家庭を訪れていたみたいで、白人が何の音楽をきいているのか知ったみたいです。私がいた時も、白人と黒人と聞いている音楽が全然違いました。そこで生まれるべくして生まれる音楽ってあるんだなと思いました」と考察しました。
高橋さんは「チャック・ベリーはロックンロールの代表みたいな人だけど、意外にコミュニティから浮いちゃってる人で、バンドも持たない。第2のチャック・ベリーみたいな人がいない人だった。マイルス・デイヴィスもセントルイス郊外のちょっと裕福な家で育っていて、そのへんがおもしろいと思います。最後までどこにも属さなかったひとり」と語りました。
また朝日さんが「似たような曲というか、リフが多いじゃないですか?それはどういう理由があるんでしょうか?自分で同じような曲を作り続けるというのは、伝統的な部分から来ているんでしょうか?」と問うと、高橋さんは「チャック・ベリーのは、ブルースシーンといかデルタ・ブルースのシーンとかニューオリンズのシーンとか、どこにも属さない。T・ボーン・ウォーカーに一番影響を受けているのだと思うんだけど、結局は一人で発明したリフが多いんだと思う。そのリフをマネする人はものすごく多い。ビーチ・ボーイズも、ビートルズ、ストーンズ、ジミ・ヘンドリックスも同じチャック・ベリーのリフを弾くんだから。インフルエンサーとしてはすごいインフルエンサー。じゃあチャック・ベリーは(系譜の)どこに置いたらいいの?と聞かれたら、全然わからない。チャック・ベリーの曲は何が好きですか?」と答え、再び朝日さんに振ります。
朝日さんは「『プロミスト・ランド』です。60年代の曲で全盛期を過ぎてるんですが。あれが意外と公民権運動の話とか盛り込んでいますよね。獄中で地図広げて書いた歌詞です。獄中で会計士の資格を取ったりするすごく頭の良い人で。刑務所を出た後を見据えて、地図を広げていた。ご当地ソングとか、アメリカ人は喜ぶので、それで作った曲に、さりげなくわからないように、公民権運動にかかわりのある地名をいくつも入れている。スウィーツ・チャリオットという公民権運動時代に流行った黒人霊歌の曲名を入れたりとかしていて、チャック・ベリーすごいと思ったりしています。高橋さんのお好きな曲は?」と答え、高橋さんの好きな曲を問うと、
高橋さんは「僕は『メンフィス』という曲です。最初はフェイシスか何かで知ったのかな、ロッド・スチュワートが歌っている。ものすごく単純な曲なんです。コードは2つ。でも変な曲で、ブルースのような変形で。スリーコードは1度と4度と5度、で1から始まって、4にいって、1に戻って、5,4,1となるのがロックンロールなんだけど、『メンフィス』は、最初から5で延々5、時々1に入って、延々5。5が最初から続くから1に聞こえる。最後に違ったと思う。12小節の中でコード2つしかないのに、変調したような変な曲なんです。それを最初に聞いたのは高校生の時なんだけど、何なんだろうと思ったけど、それがずっと好きですね。チャック・ベリーしかこんな変なことはやらない、そんな気がする」と解説。「なんだか癖になりますよね」と朝日さんも共感。チャック・ベリーという特別な存在のすごさを感じながら、和やかで興味深いトークは続き、終了しました。
『チャック・ベリー ブラウン・アイド・ハンサム・マン』は、チャック・ベリー本人のインタビューやパフォーマンスと共に、ビートルズ、ローリング・ストーンズ、ジミ・ヘンドリックス、キース・リチャーズ、ポール・マッカートニー、ブルース・スプリングスティーン、トム・ペティ、ジェフ・リンなどのロック・レジェンドたちによる彼の楽曲のカバーで構成され、『カラーパープル』「リーサル・ウェポン」シリーズ等で知られる名優ダニー・グローヴァーがナレーションを担当しています。
©2020 CB, Doc. LLC.
■
『チャック・ベリー ブラウン・アイド・ハンサム・マン』
原題:Chuck Berry BROWN EYED HANDSOME MAN
角川シネマ有楽町、UPLINK吉祥寺、新宿K’s cinema 他にて全国公開中公開
配給: オンリー・ハーツ
onlyhearts.co.jp/source/news.html
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