なお、〈KIKKAWA KOJI LIVE 2026 Higher and Higher Tour〉の追加公演と振替公演が12月22日(火)に熊本・市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)、12月24日(木)に福岡サンパレス ホテル&ホールにて開催されます。詳細は、吉川晃司のオフィシャル・サイトをご確認ください。
吉川晃司のツアー・ファイナル公演が10月16日(金)、17日(土)に東京・国立代々木競技場第一体育館で開催された。『KIKKAWA KOJI LIVE 2026 Higher and Higher Tour』というタイトルのもと、ツアーがスタートしたのは6月。全国26公演で7万人を動員し、代々木2daysには2万人の観客が集結。振替公演の福岡と熊本(12月開催)は残っているが、完成度の高さと完全燃焼の熱さを両立させたステージを展開し、ツアーを見事に締めくくった。
場内がピンク色の光に包まれて、「にくまれそうなNEWフェイス」が始まると、悲鳴のような歓声が起こった。“Higher and Higher”というツアータイトルどおり、観客をさらなる高みへと誘う代表曲や人気曲が並ぶセットリスト。希望の見えづらい時代だからこそ、“この瞬間だけは笑顔になってもらいたい”という吉川の思いが伝わってくるようだ。80年代の曲が演奏されても、懐かしさよりも鮮度の高さが上回って伝わってきたのは、今の吉川の歌声で表現されているから、そして屈強なバンドが演奏しているからだろう。バンドメンバーは、藤井一彦(G)、フジイケンジ(G)、ウエノコウジ(B)、湊雅史(Dr)、ホッピー神山(Key)。吉川が絶大な信頼を寄せるメンバーが揃った。ギター2人が兄弟、さらに吉川、ウエノ、藤井、フジイと、広島出身が4人というところも大きな特徴だ。
せつなさ、懐かしさ、いとしさ、郷愁など、さまざまな感情のにじむエモーショナルな歌声に胸を揺さぶられたのは、フジイのスライドギターで始まった「Dance with Memories」だ。過去の思い出がモチーフとなったノスタルジックなラブソングだが、この日の吉川の歌声には浄化作用のようなものが備わっていると感じた。かけがえのない思い出を糧として、今を生きていこうとする強い意思も伝わってきたからだ。歌に寄り添うようなコーラスと演奏が優しく響いてきた。
吉川が衣装替えでステージから下がり、バンドによるインスト演奏が繰り広げられた。時の流れの中をたゆたうようなシュールでスペイシーな演奏から、シームレスにOoochie Koochieの「GOLD」へと移行していく展開が鮮やかだ。キャノン砲から発射された三色のメタリックテープが舞い、ミラーボール風の細かなライトが会場内を照らし、令和の体育館が80年代初頭のディスコのダンスフロアへと丸ごとワープしたかのようだった。吉川が軽やかにステップを踏みながら、奥田民生パートを歌う姿が新鮮だ。観客もハンドクラップしながらダンス。さらに「A-LA-BA・LA-M-BA」へと流れ込んでいくと、雄叫びが起こり、会場内がさらにヒートアップした。ダイナミックな歌声と疾走感と躍動感あふれる演奏に乗って、観客も熱烈なシンガロングとハンドクラップ。フジイから藤井へ、さらにホッピーへとソロ回しの演奏も交えてのスリリングな展開が気持ちいい。「愛してるぜ!」と吉川が叫ぶと、歓喜の声。さらに、ステージの上手から下手までを駆けながらの「GIVE ME A BREAK」、本能も衝動も解き放っていくようなワイルドなビートが全開となった「The Gundogs」と、ノンストップでたたみかけていく怒濤の展開に、観客も歌声とこぶしとで応えて、濃密な一体感が漂った。