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[MY AUDIO LIFE 2020 playback]JBLハークネスが聴かせる開放感 東京・宮崎恭一さん

2023/06/30 14:04掲載
[MY AUDIO LIFE 2020 playback]JBLハークネスが聴かせる開放感 東京・宮崎恭一さん
 MY AUDIO LIFE 2020 playbackでは、今夏発売予定のCDジャーナルムック『マイオーディオライフ2023』発売までの間、2020年に発売された『マイオーディオライフ2020』に掲載された記事の一部を抜粋し、掲載していきます。

 第3回にあたる今回は、東京都調布市(取材当時のご住所)・宮崎恭一さんのご自宅の様子と使用機器を紹介します。

[MY AUDIO LIFE 2020 playback]
 正直に書くと、初めて宮崎恭一さん宅の写真を見たとき「こりゃどうかな?」と思った。だって、食卓って感じだし、あまりに普通だった(失礼)。京王線つつじヶ丘駅で下車して甲州街道を渡り、徒歩10分もかからずに宮崎さんがお住まいの低層マンションの敷地に到着した。だが、そこからがちょっとわかりにくくて、編集長のS氏と二人で「あっちかな」「いや、こっちですね」「あれれ、結局あそこの入口から入れば良かったのか」みたいな感じでたどり着いた。

――普通とは言えない普通の音

 宮崎さんがお使いのスピーカーはJBLのD34001、通称「縦型ハークネス」と呼ばれているものだが、国産の箱に入っているのでレプリカということか。きかせていただいたのはLPによるジャズがほとんどで、1枚目のレコード、ビル・エヴァンス『ワルツ・フォー・デビイ』ではよくわからなかったが、2枚目のグレイト・ジャズ・トリオ『モンクス・ムーズ』で「おっ!こいつはミラクルだ」と思った。こういう瞬間があるから訪問取材は楽しい。レコード2枚で訪問前の「こりゃどうかな」が「こりゃすごい」になるという、そんな夏の日の午後だった。

 オーディオ機器を組み合わせて心地よい音を出すには才能が必要だ。排気量によるクラス分けもなければ、予算何十万円までも関係ない、「部屋から作る」も自由だし機器を選ぶのはオーナーの好みというか、要するにセンスだ。

 宮崎さんはセンスの良い方だと思う。このお部屋は専用のリスニングルームではなくリビングルーム、そして賃貸物件だそうだ。訪問する前にメールで送っていただいた写真を見て訪問を躊躇した理由は「引きがなくて写真が撮りにくそうだなあ」と思ったこともあったのだが、実際取材の時もギリギリまで後ろに下がっての撮影を余儀なくされた。だが、写真を撮りつつ「我ながら幸運だ」と思っていた。

 もう少し何が良いのかを書いてみよう。宮崎さんの音は爆音ではないが小音量というわけでもない。集合住宅での昼間の音楽再生として多分近隣から苦情が出ないものであること、その中で伸びやかで、開放感があり、同時に密度のある点がすごい。つまりコントラストがあるのにしなやかさもあるという絶妙なバランスを成り立たせていることに並々ならぬものを感じた。普通とは言えない普通の音なのだ。


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※通称縦型ハークネス、国産の箱だがとてもきれいな作りだ。

――シンプルな小出力アンプで上品で好ましい音を出す

 この部屋はいわゆるルームチューン的なことがなされていない普通のLDKに、ちょっと大きめのスピーカーが置いてある純粋な生活空間なのだ。そして、とてもシンプルな構成でレコードとCDを鳴らしている。ここからはご家族との円満な関係が想像されるのだが、オーディオと家庭の両立は意外に難しい。私の友人で「女子供はオーディオの敵」とのたまった人はなかなかの恐妻家だったが、逆に言えば「オーディオ好きは家族の敵」ということにもなるわけで、そこそこのオーディオ装置を買って家族みんなでレコードをかけて音楽を楽しむなんていうのは、1960年代のホームドラマの中にしか存在しないのかも知れない。生活を邪魔しないオーディオというのは、大きなテーマだ。

 一見なにもせず置いて鳴らしているだけ、みたいに見える自然さがとても好ましいのだが、お父様の代からのオーディオマニアという宮崎さんのキャリアは長く、実はよく考えられているし、小細工なしのストレートなアプローチが成功している。レコードプレーヤーはリンのLP12とトーレンスのTD126、トーンアームはどちらもSME、アンプはJBLの美しいプリメインアンプSA600だ。宮崎さんは予備としてSA660もお持ちだが、SA600とSA660を比較した場合「パワーという点ではSA660の方が上位機種ということになっていますが、音が良いのは断然SA600の方です」と語る。「比べるとSA600の方が上品な音ですから」とのことだった。まあ、そのあたりはお使いのスピーカーとの相性という面もあろうかと思うが、シンプルで小出力なアンプの方が好ましい音が出るケースというのは確かにあって、大出力タイプでは大味になってしまったりもする。特に小出力アンプで十分に鳴る古いスピーカーだと、ハイパワーが逆効果という場合もあるから、そのあたりがオーディオの妙だ。


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※スピーカーの上には山本音響工芸製のスタンド(キャビネット)に入れられた075が乗り、内部配線はご自身の手で一部をのぞきベルデンに変更されている。


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※この日野皓正も参加しているグレイト・ジャズ・トリオのレコードに一発でやられました。


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※静電気除去機を使って、レコードをかける宮崎さん。静電気をなくすと確実にS / Nが向上する


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※さすがに古いので状態を保つのには苦労しているというJBLのプリメインアンプSA600、粋なアンプです。


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※こちらの黒い方がSA600の予備として持っているというSA660。

――現代だから実現できる 時代を超えた名機同士の出会い

 私たちはこれらのスピーカーやアンプが新品で売られていた時のことを思い、「あの時代にこれらを新品で手に入れた人がうらやましい」などと思ったりするのだが、私はそんなこともないと思う。宮崎さんは、秋葉原ダイナミックオーディオの厚木さんに「LP12の出物があったら買うから」と頼んでおいて、入荷したLP12を取りに行ったら、このハークネスが置いてあり、見初めて購入したそうだ。当時はサンスイのアンプだったが、ハークネスとリンのLP12になったので、次にマッキントッシュのプリメインアンプを買って使っていた。しばらくしてマッキントッシュのランプが切れたため、ランプ交換の修理に出したところ、厚木さんが「SA660を貸してくれた」(やるなあ)そうで、まんまとはまってめでたく物々交換の運びとなったとか。あの時代の人は多分マッキントッシュのプリメインアンプとJBLのSA660を物々交換なんて出来なかったし、LP12もなかったわけだから、現代のオーディオマニアは恵まれている。このスピーカーがやってきて5年ほどだそうで、素晴らしくよく鳴っているし、還暦を過ぎて年齢相応の余裕もあるとなれば、これから大いに好きなジャズを楽しめることだろう。

 この訪問は2019年の8月で、ちょうどラグビーのワールドカップ日本大会が始まる前だった。ラグビー門外漢の私は、前回の大会で日本が南アフリカに勝利した瞬間に現地で立ち会い、今回もワールドカップの主要な試合のチケットを購入したという宮崎さんを知り「そんな熱烈なファンもいるのか」と思った。その後、TVでラグビーの試合を見て「ラグビーは何と清々しいスポーツなのだろう」と感動し、私は正真正銘典型的「にわかラグビーファン」の1人となり、より美しい映像で見るために決勝リーグ前にTVチューナーを買い換え、友人たちと集まって大画面で世界最高の試合を堪能した。そしてあれ以来、ラグビーの話題やニュースに接する度に宮崎さん宅の音が頭の中に響いてくるようになった。


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※島津製作所製のイオナイザ(除電器)STABLO APをお使いで、静電気を取るのに効果があるそうだ。


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※ラグビー経験者でもある宮崎さんは、熱烈なラグビーファン。ワールドカップ日本大会には力が入っていた。横浜スタジアムの予選全試合と味スタの準々決勝、横浜の準決勝、決勝のチケット。

[宮崎恭一さんの主な使用機器]
スピーカー: JBL D34001(通称縦型HARKNESS)
ユニット: 130A、175DLH、075(16Ω)
ネットワーク: N1200、N8000
プリメインアンプ: JBL SA600、JBL SA660(予備)
アナログプレーヤー: リン Sondek LP12
カートリッジ: SME 3009?シェル一体型、シュアー V15type?
針: JICO VN35E(楕円針)
ターンテーブルマット: 自家製
アナログプレーヤー: トーレンス TD126
カートリッジ: SME 3009R、オルトフォン SPU GE
昇圧トランス: オルトフォン T-30
CDプレーヤー: デノンDCD SX-1
静電気除去機: 島津製作所 STABLO AP
(※レコード再生は本来の使用目的外のため自己責任で使用)

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