スクエアプッシャー (Squarepusher)こと鬼才トム・ジェンキンソンが、新作アルバム『Kammerkonzert』を4月10日(金)にリリースすることを発表。あわせて、最新シングル「K2 Central」をミュージック・ビデオとともに公開しています。
唯一無二のハードコア・レイヴ / エレクトロニック・プロデューサーであり、実験的ミュージシャン、そして未来的フュージョンの開拓者であるスクエアプッシャー。衝撃のデビュー・アルバム『
Feed Me Weird Things 』(1996年)、異次元のコンクレート・ジャズを提示した『
Ultravisitor 』(2004年)、超絶技巧のベースプレイが堪能できる『
Solo Electric Bass 1 』(2009年)、さらには『
Music for Robots 』(2014年)まで、現代音楽においてこれほど広範な領域を確かな足取りで横断してきたアーティストは稀有。
その彼から新たに届けられた最新作のタイトルは、ドイツ語で“室内協奏曲”を意味し、ほぼ全パートを自らが演奏。黒曜石のように硬質で超高速のベースプレイ、凶暴なオーケストラ・サウンド、そしてプログレッシヴ、アンビエント、エレクトロニック、実験音楽を縦横無尽に横断する急旋回の連続――その名の通り“室内協奏曲”を掲げながら、音楽構造そのものの限界へと踏み込む野心作となっています。
目まぐるしく展開する構成は、
マグマ (1曲目「K1 Advance」)、
ウェザー・リポート の『
Body Electric 』期の流れるようなフュージョン(2曲目「K2 Central」)、
エンニオ・モリコーネ が手がけた映画のサウンドトラックを想起させる瞬間も(7曲目「K7 Museum」)。さらにUKジャズ・シーンとのクロスオーヴァーも感じさせる(3曲目「K3 Diligence」)、
シュトックハウゼン の大作『Mantra』のリング・モジュレーション・ピアノや、
ブライアン・イーノ が
デヴィッド・ボウイ と作り上げたアンビエントの空気感(11曲目「K11 Tideway」)まで、多層的な影響が交錯。
しかし、それらは決して引用やオマージュに留まることはなく、ジャンルや様式に当てはめられる前に変形し、再構築され、聴き手は歯車やマイクロチップが高速で組み替えられる自己再構築装置の内部を覗き込むかのように、やがて全体像が浮かび上がる瞬間へと導かれていきます。
当初は室内楽団との共演を想定していたものの、度重なる出来事を経て、結果的に自身が全パートを演奏する形へと昇華した本作。“オーケストラ作品”という言葉が喚起する成熟や格式とは無縁で、生ドラム、エレクトリック・ベース、ギター、そして複雑なサウンドライブラリが共存し、伝統的な記譜法では捉えきれないリズムと質感を実現しています。
VIDEO
Photo by Donald Milne