映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』を題材に日本のパンク / ニューウェーブの黎明期を再検証するトーク・ライヴ〈あのころってどんなんだっけ? 映画『ストリートキングダム』を題材に日本のパンクをいまこそ斬る!〉が、7月15日(水)に東京・新宿 LOFT/PLUES ONEにて開催されます。
日本で初めてパンクロックを自分たちの手で生み出した若者たちによるムーブメント“東京ロッカーズ”の姿を、その渦中でカメラマン兼マネージャーを務めた写真家・地引雄一の著作『ストリート・キングダム』を原作に描いた映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』(
田口トモロヲ監督作品)が今春公開され、日本のパンク / ニューウェーヴの黎明期がふたたび注目を浴びているところ。オリジネーターや関係者、当時の新宿ロフトや渋谷屋根裏へ通い詰めた人たちは、映画をどう観たのか。当時を知らない若い世代には先人たちのエナジーとDIY精神を追体験できる良質なフィクション作品として歓迎されましたが、“東京ロッカーズ”のリアルな空気感を知る当事者たちは本当のところ、どう感じているのでしょうか。
今年3月に『PUNK! 反逆の向こう側で ザ・スターリンたちはなにを歌ったのか?』を出版した
ザ・スターリンの
イヌイジュンと、美術批評・マルチメディア研究家の野々村文宏が企画・主催する本イベントでは、あの頃の空気感を覚えている当事者や目撃者たちを迎え、日本のパンク / ニューウェーブ胎動期とはどんなものだったのかが存分に語られます。
登壇者は、当時は
ゲルニカの一員として脚光を浴びた
戸川純、テクノポップ黎明期から活躍を続ける
ヒカシューの
巻上公一、
ガセネタ、TACOのヴォーカルとして異彩を発揮した
山崎春美、パンクロックの歴史や伝説的なアーティストのドキュメンタリー映画を数多く手掛ける映像作家の赤羽貞明、『ストリート・キングダム』の原作者である地引雄一(予定)、高校時代に
リザードの熱烈なファンだったというエッセイストの青木るえか、
氷室京介を起用した自主映画『裸の24時間』のプロデュースで知られ、現在はYouTube番組『Radio JAG』のパーソナリティとして活躍する浅野典子(予定)。そして司会進行を、プロインタビュアー・プロ書評家の
吉田豪が務め、貴重な証言が飛び交う刺激的な一夜を展開します。
なお、トーク終了後にはミニライブ“Back to 80s”も行なわれる予定。曲目は以下の通りです。
[ライヴ曲目(予定)]嘔吐中枢は世界の源 / 山崎春美
ないしょのエンペラーマジック / 山崎春美
パイク / 巻上公一
20世紀の終わりに/巻上公一
ロマンチスト / 戸川純
解剖室 / 戸川純
好き好き大好き / 戸川純
パンク蝋化の女 / 戸川純
森田潤、山盛愛彦、山崎怠雅、イヌイジュン チケットは会場観覧と配信視聴の2種が用意され、会場観覧チケットはイープラスで6月13日(土)正午より発売されます。
[企画・主催 / イヌイジュンのコメント]当時、例えば、本映画の主人公となったリザードのモモヨは1981年、筑波アクアクにおいて、オレもメンバーの一人だったザ・スターリンに対し刃物を出し、本当に刺すか刺されるかの状況にまで発展した。そこには笑いも涙もなかった。リザードもザ・スターリンも、いや、もっと言えば当時の多くのバンドの表現は自己への憎悪に満ち、ストレートに表現せず、すなわち曲がりくねって真逆の表現にも堕ちた。その結果の死闘劇。両義的だったのだ。そして決して「熱く」はなかった。むしろ、将来に絶望し冷めきっていたのだった。
一方、映画は監督である田口トモロヲ氏自らも「最終的にまた青春映画になってしまったな」と思い至ったと語った通り、激しいシーンも垣間見えるものの、愛あり笑いあり涙ありのストレートなドラマ仕立てとなった。
原作の『ストリートキングダム』は1986年に初版された地引雄一によるノンフィクション。地引の思想、感情を織り交ぜながらリアルタイムで当時のシーンを詳細に綴っている優れたドキュメンタリーだ。それから40年を経て制作された映画『ストリートキングダム』は当時を懐古することになる。しかも映画はフィクションのカタチを採っている。だから原作に示される現実と乖離したところでなんら問題はない。しかし、現実との境界は曖昧のまま称賛を浴びている。そのことによって万一、歴史が書き換えられるのは意図するところではないだろう。
この映画を通じて日本のパンクロックとは一体なんだったのかについてもう一度、語り合いたいと思う。