2025年に開催された第19回ショパン国際ピアノ・コンクールでコンチェルト最優秀演奏賞を受賞した中国出身のピアニスト、リュー・テンヤオ(Tianyao Lyu)が、英国の名門レーベル「Decca Classics」と複数作品にわたる専属レコーディング契約を締結しました。Decca Classicsでの最初のレコーディングはショパンの作品を中心に予定されており、詳細は後日発表されます。また、Decca Classicsからのデビュー・シングル「ショパン:ノクターン第20番〈遺作〉」が配信されています。
ショパンコンクールで当時16歳の最年少ファイナリストとして注目されたリューは、第4位入賞に加え、最終審査での協奏曲の演奏が評価されコンチェルト最優秀演奏賞を受賞。自然体の音楽性、舞台上での喜びに満ちた演奏によって、世界中の聴衆を魅了し、音楽界からも賞賛されました。
音楽はコミュニケーションだと言うリューは、ショパン・コンクールについて「私は競技の場ではなく、自分自身のコンサートだと考えていました」と語っています。また、協奏曲演奏についても、「協奏曲はピアノの独白ではなく対話です」とコメントしています。
父がピアニスト、母がヴァイオリニストという音楽一家に育ったリューは、北京で学んだ後、現在はポーランドに拠点を移し、ショパン国際ピアノ・コンクール元審査委員長のカタジーナ・ポポヴァ=ズィドロンに師事しています。ポーランドでの生活は、彼女とショパンの結びつきをさらに深め、現地のファンからも支持されました。
現在17歳のリューは、
ショパンのみならず、
バッハや
モーツァルトの主要作品にも卓越した成熟度と個性を発揮しており、ショパン作品との深い結びつきについて、「ショパンの音楽には人間そのものが映し出されています」「真の理解に到達したとき、自分自身の声は自然にその中から現れる」と語っています。
彼女にとって音楽が特別な意味を持つようになったのは、祖母との死別を経験した8歳の頃。
ベートーヴェン、
ラフマニノフ、ショパンの音楽が闘病中の祖母を支える様子を目の当たりにし、「音楽は単なる芸術ではありません。人生を支える力になり得るものです」と振り返っています。
リュー自身は今回のDecca Classicsとの契約について、「音楽への情熱を共有できる素晴らしいチームと友人たちに出会えたことを嬉しく思います。録音とは音楽を再発見し続けるプロセスです。それは私の人生の節目を記録として残しながら、自分なりの音楽への理解を皆さんと共有する機会にもなります。この新たな旅をショパンの音楽とともに始められることを、とりわけ嬉しく思っています。彼の音楽は時代を超えて人間の深い感情に語りかけ、私たち自身や人と人とのつながりを感じさせてくれます」とコメントしています。
©Maximilian Koenig