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ザ・エックス・エックス、〈FUJI ROCK’26〉のレポート公開 ロミー「本当にマジカルなフェスのひとつ」

ザ・エックス・エックス   2026/07/30 14:08掲載
ザ・エックス・エックス、〈FUJI ROCK’26〉のレポート公開 ロミー「本当にマジカルなフェスのひとつ」
 今年約8年ぶりの再始動がアナウンスされた、ザ・エックス・エックス(The xx)が2017年以来9年ぶりに〈FUJI ROCK FESTIVAL〉に出演し、初日7月24日(金)のヘッドライナーを務めました。

 オープニングを飾る「Crystalised」や「Islands」など、デビュー・アルバム収録の初期の名曲からジェイミー、ロミー、オリヴァーそれぞれのソロ曲まで、The xxならではの徹底した美学が貫かれた圧巻のステージの模様を伝えるレポートが到着しています。

 なお、フジロック会場で完売となった、ザ・エックス・エックスのTシャツの受注生産が開始。受注予約受付は8月2日(日)まで。詳細はBeat Recordsのサイトをご確認ください。

[ライヴ・レポート]
 8年ぶりの本格始動がアナウンスされ、世界中がざわめくなか実現した、2017年以来9年ぶりのフジロック出演。開演が迫るとフィールド全体を静かな緊張感が包んでいく。客電が落ち、3人がステージに現れる。X字型の照明リグが吊り下げられた天井からステージを捉えたカメラ映像がスクリーンに映し出される、アイコニックな幕開けだ。一貫してシンプルでミニマル。それを最大限に拡張していくような演出。グッと削ぎ落とされたThe xxの徹底した美学が貫かれている。

 オープニングを飾るのはデビュー・アルバム収録の「Crystalised」。ステージ中央でタイトに向き合う3人。またこの姿を見られることに胸が熱くなる。フロアではいきなりシンガロングが始まる。ジェイミーがアレッシー・ブラザーズのソフトロック/AOR名曲「Do You Feel It?」をプレイし、そのまま「Say Something Loving」になだれ込む。サンプリング・ソースとなった楽曲をそのままプレイしシームレスにつないでいく手つきは、まるでDJセットのようだ。そこにはDJカルチャーへの深いリスペクトだけでなく、The xxというバンドのルーツがポストパンクと同時に、エレクトロニック・ミュージックやダンスミュージックにも深く根差していることを静かに物語っていた。スモークの膜が広がっていくような幻想的なライティングも、彼らのサウンドを的確に支える。「こんばんは、フジロック!ここに来られて本当に嬉しいです」とロミーが語りかけると、「Islands」でもシンガロングが起こり、会場との一体感がさらに強まる。

 ジェイミーはDJ機材、キーボード、パーカッションを駆使しながら楽曲のプロダクションを構築していく。「Angels」はロミーの歌をじっくり味わわせるようにテンポを落としたアレンジメントだ。静かに紡がれる歌声へ、観客の意識を集中させる。いまやプロデューサーとして確固たる地位を築いたジェイミーだが、この夜のライブでは、こうした静寂や余韻にこそ、彼の才覚が宿っていた。

 続くファースト収録のメランコリックかつダンサブルな「Night Time」、ビートを強めたアレンジの「Sunset」への流れで、初期作品にあった内省的なムードを、ダンサブルなグルーヴの中であらためて提示してみせる。実は再始動直後のセットリストではアンコールに配されていた2曲で、そうした細やかなアップデートに3人のクリエイティビティが投影されている。

 「Fiction」では、グリーンのライティングの中、ベースを置いてハンドマイクで歌うオリヴァー。そのままギル・スコット・ヘロンの楽曲をジェイミーがリワークした「I'll Take Care of U」へ。ベースを再び手にしたオリヴァーを交え、3人は円を描くように向き合う。そして続く「Shelter」はダンサブルなリミックス・バージョン。天井のX字型照明リグが3人のもとまで降下し、ステージを赤く染め上げる。曲の終わりには3人が中央で向き合い、ロミーとオリヴァーが抱き合う。

 「Infinity」では、デヴィッド・リンチ作品を思わせるメランコリックなムードが漂う。この曲もまた、メキシコシティ公演ではアンコールの締めを飾っていたが、この日は本編中盤に組み込まれていた。ゆっくりとX字型照明が上昇し、まばゆい光をまといながら宇宙船のように浮かび上がる。ストイックなモノクロームの美学を貫く無機質な世界に、カラフルな音色のパレットが重なっていく瞬間だ。

 「このライブまで、バンドとして演奏してから8年以上経っていました。戻って来られてうれしい。待っていてくれてありがとう」とオリヴァーが感謝を伝える。「VCR」では、ステージの反対側に立つロミーへ語りかけるように歌うオリヴァー。その姿は、まるで映画のワンシーンのようだ。ジェイミーのソロ作から「Loud Places」。メランコリックなキーボードから〈Higher〉のコーラスへ移ると、一斉にオーディエンスの手が上がる。

 ビバリー・グレン・コープランドの「La Vita」を導入にロミーのソロ曲「Enjoy Your Life」へ。ロミーはギターを置き、伸びやかな歌声を響かせる。そのままジェイミーの「Wanna」で一旦静けさを与えたのち、一転してバンガー「Treat Each Other Right」が続き、フロアは爆発的な盛り上がりを見せる。この曲は再始動当初のセットには入っておらず、ツアーを重ねる中で新たに加えられた一曲だ。3人それぞれのソロ活動を経た現在、ジェイミーの最新アルバム『In Waves』から2曲が組み込まれたことは、The xxがいま立っている地点を示すものだった。それぞれの経験を経た3人の表現力の広がりと深まりが、この一連の流れに凝縮されていた。

 そして一旦ステージを離れていたオリヴァーが突如PAブース付近から客席前方エリアへ登場。オーディエンスと踊りながらソロ作から「GMT」を歌い出すというサプライズが巻き起こる。そこからDJミックスさながらに「On Hold Remix」へとつながれ、ステージへ戻り、しなやかに身体を揺らすオリヴァーの存在感には目を見張るものがあった。ここ数年、それぞれがソロ活動で培ってきたものが、The xxというバンドのダイナミズムの中で見事に結実した瞬間だった。

 ふたたびバンド・セットへ戻ると、「On Hold」のロミーの歌い出しとともに大合唱が巻き起こる。『I See You』で獲得した開放感あふれるサウンドは、かつての内省的なThe xxとはまた異なる表情を見せる。この夜、GREEN STAGEの広大なフィールドに響き渡ったのは、復活を待ち望んだファンたち自身の声でもあった。続く「I Dare You」ではさらに感情が解き放たれ、ロミーとオリヴァーの歌声が会場全体を包み込み、たまらないカタルシスが満ち溢れる。最後のシンガロングまで、その熱量は途切れることがなかった。

 「私たちがプレイした中でも、本当にマジカルなフェスのひとつです」とロミーがフジロックへの愛を語る。「またお会いしましょう!」という言葉に続き、最後の曲「Intro」へ。オリヴァーはロミーの手を取り、ステージ前方へ送り出す。ラストはオリヴァーが鬼気迫る表情でシンバルを打ち鳴らし、強烈な余韻を残してライブは終了。3人は並んで挨拶を交わし、ステージを後にした。デビュー・アルバムの幕開けを飾るミニマルなインストゥルメンタルで締めくくるという構成も象徴的だった。ライブは大きな熱狂を静かに包み込むような余韻を残し、幕を閉じた。

 思えば彼らとフジロックの歩みは、そのままバンドの成長譚でもあった。2010年のRED MARQUEEから2013年のWHITE STAGEヘッドライナー、そして2017年のGREEN STAGEへ。16年かけて一段ずつステージを上がってきた彼らは、2026年、8年ぶりの本格始動を経てフジロックへ帰還した。その帰還は、過去をなぞるためではない。新たなThe xxの物語が、確かに動き始めた夜だった。


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Text by 駒井憲嗣
Photo by 小林一真


The xx Fujirock T-shirts 2026受注生産
beatink.com/products/detail.php?product_id=15907
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