「Fiction」では、グリーンのライティングの中、ベースを置いてハンドマイクで歌うオリヴァー。そのままギル・スコット・ヘロンの楽曲をジェイミーがリワークした「I'll Take Care of U」へ。ベースを再び手にしたオリヴァーを交え、3人は円を描くように向き合う。そして続く「Shelter」はダンサブルなリミックス・バージョン。天井のX字型照明リグが3人のもとまで降下し、ステージを赤く染め上げる。曲の終わりには3人が中央で向き合い、ロミーとオリヴァーが抱き合う。
ビバリー・グレン・コープランドの「La Vita」を導入にロミーのソロ曲「Enjoy Your Life」へ。ロミーはギターを置き、伸びやかな歌声を響かせる。そのままジェイミーの「Wanna」で一旦静けさを与えたのち、一転してバンガー「Treat Each Other Right」が続き、フロアは爆発的な盛り上がりを見せる。この曲は再始動当初のセットには入っておらず、ツアーを重ねる中で新たに加えられた一曲だ。3人それぞれのソロ活動を経た現在、ジェイミーの最新アルバム『In Waves』から2曲が組み込まれたことは、The xxがいま立っている地点を示すものだった。それぞれの経験を経た3人の表現力の広がりと深まりが、この一連の流れに凝縮されていた。
そして一旦ステージを離れていたオリヴァーが突如PAブース付近から客席前方エリアへ登場。オーディエンスと踊りながらソロ作から「GMT」を歌い出すというサプライズが巻き起こる。そこからDJミックスさながらに「On Hold Remix」へとつながれ、ステージへ戻り、しなやかに身体を揺らすオリヴァーの存在感には目を見張るものがあった。ここ数年、それぞれがソロ活動で培ってきたものが、The xxというバンドのダイナミズムの中で見事に結実した瞬間だった。
ふたたびバンド・セットへ戻ると、「On Hold」のロミーの歌い出しとともに大合唱が巻き起こる。『I See You』で獲得した開放感あふれるサウンドは、かつての内省的なThe xxとはまた異なる表情を見せる。この夜、GREEN STAGEの広大なフィールドに響き渡ったのは、復活を待ち望んだファンたち自身の声でもあった。続く「I Dare You」ではさらに感情が解き放たれ、ロミーとオリヴァーの歌声が会場全体を包み込み、たまらないカタルシスが満ち溢れる。最後のシンガロングまで、その熱量は途切れることがなかった。