カーペンターズ(Carpenters)が、17年ぶりの“新作”アルバム『
カーペンターズ・ウィズ・ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団』(UICY-15801 2,500円 + 税)を12月7日に発売。12月12日に東京・銀座 山野楽器銀座本店で本作の発売記念イベントが開催されました。
イベントには、9年ぶりの来日となる
リチャード・カーペンター(Richard Carpenter)が登場し、「リチャードです。今日はお越しいただいてありがとうございます」と挨拶。司会者が今回の新作アルバムについて聞くと、「最初に思っていた以上の作品になり、非常に満足しています。妹のカレンと2人で作った作品が新たに生き返ったと思います」とコメントしました。
本作で日本のファンにアピールしたい部分について問われると、「カーペンターズの曲を新たにアレンジして、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団が演奏しただけのアルバムではありません。新しい技術の力を借りて、カレンのヴォーカルをより際立たせる工夫をしたり、結果的にあらゆる面で以前のオリジナルの作品より良いものになったと思っています。選曲についてですが、単なるベスト・アルバムにはしたくなかったんです。もちろんヒット曲は入っていますが、当時シングルにはならなかった曲とか、メロディや歌詞の面で僕やカレンが大好きだった曲も収録しています。それは〈マスカレード(THIS MASQUERADE)〉であったり、〈想い出にさよなら(I JUST FALL IN LOVE AGAIN)〉であったり、〈ベイビー・イッツ・ユー BABY IT’S YOU〉であったり。66分間あるアルバムをぜひ最初から最後まで通して聞いてほしいです」と語りました。
[オフィシャル・レポート]
「来年でカーペンターズ結成50周年を迎えることを振り返ってどうですか?」という質問に対しては、「カレンと僕がA&Mと契約したのが1969年4月で、来年で50年となります。世間では年をとると時間がすぎるのが早くなるといいますが、実際にどんどん時が早く過ぎていくなかで、僕がカレンと一緒に音楽を作れた時期は短いんですが、その間に作った音楽が世界中の人にインパクトを与えていることに感謝の気持ち、そして誇りにも思っています。僕ら2人はお互いを輝かせる力を持っていたことがとても嬉しいことだと思います」と回答。
日本での一番の思い出については「カレンも同感だと思うので彼女のぶんも話すと、たくさんいい思い出があるのでひとつじゃなくて2つ選ばせてください。ひとつは1970年の秋に来日した時で、〈遙かなる影(THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU〉がアメリカでヒットした数ヵ月後で、まさか日本で僕たちのことを知られているとは思わなかったんです。来てみたらまったくの新世界で、空港から東京までの間の道路の標識とか、東京の中心地はタイムズスクエアのような都会で、異文化にノックアウトされたのを記憶しています。滞在中には日本ならではの習慣にたくさん触れました。1974年の来日の時は空港にたくさんのファンの方が来てくれて、そのときのファンや泊まった東京ヒルトンの様子とか、武道館公演のことはたくさん覚えています。強いていうならこの2つです」とコメント。
会場からの「作曲で大切なことは?」という質問に対しては、「作曲では記憶に残るメロディを書くことが大切で、それを常に追求しています。メロディを書くのは誰でもできますが、人々の記憶に残るメロディとなるとそこで才能が問われるんです。それができるかできないかは、一つには生まれもった才能、そして子供の頃からどんな音楽を聞いてきたのかが大切だと思います。いいメロディを書くのは人から教えてもらってできることではありません。僕が曲を書く時もつねにそこを目指していますが、いつもできるわけじゃなくて、時には途中で諦めることもあります。そうかと思うと曲のほうから書いてくれ、って言っているようにスラスラと自然にかける時もあるんです。そういう曲のほうが得てして良い曲になったりしますね」と、続いての「今回の作品のパート2を期待してもいいですか?」という質問には「わたしもそう願っています、パート1の結果によりますが(笑)」と回答し、会場が拍手に包まれました。
そしてリチャードはステージに用意されたグランドピアノで「愛のプレリュード(We’ve Only Just Begun)」「青春の輝き(I Need To Be In Love)」「イエスタデイ・ワンス・モア(Yesterday Once More)」の3曲のスペシャル・メドレーを披露。イベントの最後には「今日はお越しいただきありがとうございます。長いあいだ支えてくださったこと、僕らを信じてくださったことに御礼申し上げます。カレンも僕も楽しんで音楽を作って、日本に行くことも楽しんでいました。皆さんはいつも暖かく迎えてくださいました。1969年の始めのころから、来年で50年になりますが、ずっと支えていただいてありがたく思っています。そして近いうちにお目にかかりたいと思っています」と挨拶。万雷の拍手のなか、イベントが幕を閉じました。©Ryota Mori