リサーチ

食べるか語らうか 仲間とのディナーを盛り上げる楽曲選

2025/12/24掲載
はてなブックマークに追加
年末年始のディナー・パーティーにお薦めのBGMはありますか?
食べるか語らうか 仲間とのディナーを盛り上げる楽曲選
 クリスマスや忘年会など、家族や友人たちとテーブルを囲む機会が増える年末。外は寒くても、暖房の効いた室内で頂く温かい食事は、身も心もポカポカになります。

 また、ホームパーティーだったらBGMに凝る人も多いのではないでしょうか?

 今回は、そんな気の置けない人達と過ごすディナーにぴったりの音楽を、数ある食べ物ソングからリサーチ。食事や会話が進む楽曲たちをご紹介します。

高岡早紀「パーティーはパニック」
 晩餐の始まり、食欲にエンジンを入れる食前酒としてジン・トニックはポピュラーな選択。しかし、高岡早紀の1990年のヒット曲「パーティーはパニック」では、主人公をへべれけにしてしまう“悪魔のジン・トニック!”としてポップに描かれます。90年代特有のサウンドエフェクトが鳴らされる中、浮遊感たっぷりに歌う高岡早紀の声はほろ酔い気分にもぴったり。森雪之丞が作詞、加藤和彦が作曲を手掛けた同曲は、1990年のアルバム『楽園の雫』に収録されています。



Natsudaidai「Tasting!」
 シンガーのヨウとトラックメーカーのNanaeによるユニット、Natsudaidaiが今年3月に発表したシングル(写真)で、食べ物の甘い誘惑に釣られる様子を描いたアッパーなジャズ・ファンク・チューン。人間関係のメタファーともとれるリリックながら、熱い食べ物を冷ます「Hu Hah-Ah Hu Hah-Ah」のコーラスがリアルで、食前に聴くとお腹がすいてきます。食欲をそそる前菜のようなナンバー。



おとぼけビ〜バ〜「サラダ取り分けませんことよ」
 批判を恐れない覚悟と潔さに痺れる女性4人組が、タイトルの主張を連呼する攻めのサラダ・ソング。「気遣い無用・好きに飲もう」というムードを求めるホストの方にお薦めです。ハイスピードのハードコア・サウンドにのせて、一言一句剥き出しのアティチュード“サラダを取り分けることは断固断る”を貫くのは痛快。議論上等の集いに。アルバム『SUPER CHAMPON』に収録。



吉田美奈子「チャイニーズ・スープ」
 彼のためにスープを作りながら、莢えんどうの莢を自分に、中の豆を過去の男たちに例え、煮込んでしまえば分からないと今の彼に振る舞おうとする実は怖い女性の歌。毒を含んだ歌詞が秀逸な初期ユーミンの名曲ですが、吉田美奈子もカヴァーして自身のアルバム『MINAKO』に収録しています。吉田版はスウィンギーなジャズ・アレンジでよりゴージャスに。和やかな会話にスパイスを効かせ、出席者の暴露話も引き出せるかもしれない大人なディナー・ソングです。

細野晴臣「北京ダック」
 火事の中華街を舞台に、北京ダックにされそうなアヒルの逃亡を描いたおとぎ話のような楽曲。中華メロディをブラジルのリズム“バイヨン”にのせた不思議な無国籍サウンドは、ネオン彩る原色の夜の街を思わせ、色とりどりのカクテルが並ぶ晩餐にも合いそうです。70年代中期、カリブ、中南米、沖縄、中華などを取り入れ、細野流エキゾチカを打ち出したトロピカル3部作の第1弾『トロピカル・ダンディー』(1975)に収録。



七尾旅人「ソウルフードを君と」
 フライドチキンに代表されるアメリカ南部の伝統料理“ソウルフード”をテーマに、植民地主義時代のアメリカ大陸到達から奴隷制まで、アメリカの負の歴史を“語り”と“歌”で描いた楽曲。陽気な食卓には不似合いですが、虐げられてきた人々の喜怒哀楽を力強いフレーバーに昇華したリリックは決して食欲を損ないません。過酷な状況下でも生きるために料理をし、「喜びに火を注いで」「悲しみに塩をふり」出来上がったソウルフードの描写に、強かに生きるためのパワーが宿っています。ともに生きる仲間たちと食卓を囲むときに耳を傾けてほしいナンバーです。アルバム『Long Voyage』に収録。



デイヴ・バーソロミュー「シュリンプ&ガンボ」
 たっぷりの野菜とエビをトマトベースでスパイシーに煮込んだルイジアナの郷土料理“シュリンプガンボ”を、マンボのリズムにのせてひたすら繰り返す楽しいナンバー。ニューオリンズのリズム&ブルースを創ったと言われる巨人音楽家、デイヴ・バーソロミューの作品で、打ち鳴らされるカウベルとクラベスは、日本のお囃子にも似た高揚感があります。デイヴ・バーソロミューの編集盤『ジャンプ・チルドレン! インペリアル・シングルス・アンド・モア 1950-1962』や、ソウルフードや米・南部の郷土料理にちなんだ音楽を集めた『ようこそ、レストラン・オールデイズへ〜アメリカ・ソウルフード編』などで聴くことができます。



シコ・ブアルキ「フェイジョアーダ・コンプレタ」
 ブラジルMPB界のトップスターが、仲間と集まる時のブラジルの定番料理を題材に歌ったサンバ・チューン。ホイッスルの軽快な響きにのせて多彩な具材が次々と並ぶお料理ソングであり、皿を床において皆で囲もうと語りかける、気取らず皆でワイワイ食べる楽しさをシンプルに伝えてくれます。アルバム『シコ・ブアルキ』やベスト盤『オ・サンビスタ』などに収録。

ピーピング・トム「カイピリーニャ feat. ベベウ・ジルベルト」
 ラムと、ライム&ミントを砂糖とクラッシュ・アイスでシェイクしたブラジルのさっぱりカクテル。口直しにもぴったりのお酒ですが、アルコール度数は結構高め。メタルに、ヒップホップやエレクトロをミックスした異色プロジェクトが、ヴォーカルにベベウ・ジルベルトを迎え、冬にビーチを想う気持ちをサイケデリックに表現した同曲は、酔いが回ってきた頭にも調和するでしょう。アルバム『ピーピング・トム』に収録。



The B-52's「ロック・ロブスター」
 パーティー映えNo.1のメインディッシュ、伊勢海老を題材にしたThe B-52'sのデビュー曲。フロントの女性、ケイト・ピアソン&シンディ・ウィルソンによる奇声コーラスをはさみ、伊勢海老たちがビーチ・パーティーに浮かれる男女をカオスに巻き込むブッ飛んだニューウェイヴロック。宴もたけなわな時にぴったりです。彼女たちの独特の歌唱が、ジョン・レノンに衝撃を与えた逸話も有名。デビュー・アルバム『警告!The B-52'S来襲』やベスト盤『ベスト・オブ・THE B-52'S』に収録。



ビートルズ「サボイ・トラッフル」
 ホワイト・アルバム』に収録されているジョージ・ハリスンの作品。ホーンやエレピがリズミカルに彩るサウンドにのせて、実在したチョコレートの詰め合わせに入っているフレーバーが、次々に登場する聴くだけで甘い味が口に広がるナンバーです。モデルは、歯があるのに甘いものが止められない友人・エリック・クラプトン。後半は「歯を全部抜くことになる」と虫歯の恐怖で畳みかける、愛に満ちた“お叱りソング”でもあります。

 以上、食前酒・サラダ・スープ・メイン・デザートと揃えてみました。仲間とのディナーがさらに楽しい時間になる音楽は世界中にたくさん。是非スタイルに合う一曲を探してみてください。
※ 掲載情報に間違い、不足がございますか?
└ 間違い、不足等がございましたら、こちらからお知らせください。
※ 当サイトに掲載している記事や情報はご提供可能です。
└ ニュースやレビュー等の記事、あるいはCD・DVD等のカタログ情報、いずれもご提供可能です。
   詳しくはこちらをご覧ください。
[インタビュー] 佐藤理とゴンドウトモヒコの新ユニットが、聴覚と視覚を刺激するアルバムを発表 LIG[インタビュー] デビュー20周年 再始動を告げる新作EP 音速ライン
[インタビュー] 私は私にできることを歌にしていく ゆっきゅんのニューEP[インタビュー] 来日公演を目前に控え、孤高のソウル・シンガーが発表する17年ぶりの新作『PRAYER』 リアム・オ・メンリィ
[インタビュー] 今春のカルテットでのツアーを録音した『FRAGMENTS - CONCERT HALL LIVE 2025』を発表 松井秀太郎[インタビュー] 友成空の大ヒット曲「鬼ノ宴」が湖池屋とコラポレーション クセになる辛さの「ピュアポテト 鬼ノ宴」誕生
[インタビュー] オーケストラとともに過去・現在・未来を紡ぐ活動40周年記念アルバム『RE-BORN』 千住明[インタビュー] 自らの本名を冠したセカンド・アルバム完成! 今作に込めた想いとは― 粗品
[インタビュー] 千花音×みやけん 豊かな才能の交錯が生みだしたもの[インタビュー] 広分野で活躍するヴァイオリニストが、みずからのレーベルから第一弾アルバムを発表 廣津留すみれ
[インタビュー] 田中彩子 クラシックや映画音楽などでファンタジーの世界を描き出すリサイタル・ツアーを開催[インタビュー] 大好きな街、小田原への愛を込めた「O・DA・WA・LOVE」配信リリース emily hashimoto
https://www.cdjournal.com/main/cdjpush/tamagawa-daifuku/2000000812
https://www.cdjournal.com/main/special/showa_shonen/798/f
e-onkyo musicではじめる ハイカラ ハイレゾ生活
Kaede 深夜のつぶやき
弊社サイトでは、CD、DVD、楽曲ダウンロード、グッズの販売は行っておりません。
JASRAC許諾番号:9009376005Y31015