室町時代中期の臨済宗の僧侶・一休宗純は、仏教の戒律で禁じられていた肉食や飲酒、女性との性的関係や男色など、通常の僧侶とは一見変わった、堅苦しい戒律にとらわれない奇抜かつ破天荒な言動で知られるところとなりました。その人間味あふれる姿や生き方がいつしか共感をもたらし、江戸時代以降、「屏風の虎退治」や「このはし渡るべからず」など数々の“とんちばなし”のエピソードで有名な“一休さん”のモデルにもなりました。
そのとんちで有名な“一休さん”にちなんで、1月9日は“いっ(1)きゅう(9)”の語呂合わせから、「クイズの日」「とんちの日」に制定されています。なお、一休さんのとんちばなしは、ほとんどが一休宗純の死後、江戸時代の創作だと言われています。
日本では1950年代半ば(昭和30年代)に、アメリカで始まった言葉のパズル「ボナンザグラム」(ヒントから伏せ字部分をあてはめて、文を完成させるクロスワードパズルのようなもの)が流行し、“クイズ旋風”が巻き起こりました。新聞や雑誌の懸賞付きクイズやクロスワードパズルが人気となり、いたるところにクイズを解く人たちが見受けられました。東京・中央郵便局ではクイズ応募用の臨時窓口を設置するほどの過熱ぶりでした。
さて、“一休さん”といえば、まず思い出されるのがアニメ『一休さん』でしょう。1975年10月から1982年6月まで放映された本作は、安国寺を舞台に、一休が身の回りで起こるさまざまな問題や事件をとんちを駆使して解決していくユーモアにあふれる描写で人気を博しました。一休の声を務めたのは、のちに『がんばれ元気』の堀口元気役や『CAT'S EYE』の来生泪役、『キテレツ大百科』のキテレツ役などで知られる
藤田淑子。藤田はエンディング・テーマの「ははうえさま」の歌唱も担当しました。相内恵とヤング・フレッシュが歌うオープニング・テーマ「とんちんかんちん一休さん」のレコードはミリオンセラーとなり、CMに入る前の「慌てない、慌てない。一休み、一休み」といったアイキャッチも話題となりました。
“すきすきすき……”のフレーズが耳に残る「とんちんかんちん一休さん」は、カヴァーや替え歌も多く、CMなどにもよく使われています。2007年に当時グラビアアイドルとして活躍していた
南明奈が同曲の
カヴァーでシングル・デビューを果たしています。アイドル・グループの
でんぱ組.incも2015年のシングル「
あした地球がこなごなになっても」のカップリングにて同曲をカヴァーしています。日本でも人気が高いフランス人歌手
クレモンティーヌは、アルバム『
アニメンティーヌ〜ボッサ・ドゥ・アニメ〜』にて「とんちんかんちん一休さん」をボッサ・カヴァー。同曲はワイモバイルTV-CMソングにもなりました。
大塚愛は2022年の19周年アニヴァーサリーライヴにて「とんちんかんちん一休さん」のカヴァーを披露。同カヴァーはアルバム『
LOVE IS BORN 〜19th Anniversary 2022〜』で聴くことができます。
清水ミチコは「戦場のメリークリスマス」のメロディと「ははうえさま」がいつのまにかフュージョンしてしまうという「メリークリスマス・ミスター一休さん」(アルバム『
飴と鞭』などに収録)という楽曲を発表しています。
フジテレビ系スペシャルドラマでは、『一休さん』の実写版をオンエア。
富田靖子や
浅香唯、
鈴木福などが主演を務めています。2016年にはNHK Eテレにて『オトナの一休さん』なるアニメ番組も放映。その音楽を集めたCD『
「オトナの一休さん」オリジナルサウンドトラック』(写真)では、『あまちゃん』楽曲でおなじみの
大友良英も参加しています。
そのほか、“一休”をタイトルに持つ楽曲としては、
レキシ「一休さんに相談だ」(2016年発表のアルバム『
Vキシ』に収録)、
水曜日のカンパネラ「一休さん」(2017年発表のアルバム『
SUPERMAN』に収録)などがあります。