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2月27日は「ドミニカ共和国」の独立記念日 ~ ドミニカ出身の著名アーティスト

2026/02/27掲載
野球などスポーツでドミニカ出身はよく聞くのですが、世界的に有名なドミニカ出身の歌手がいたらおしえてください。
2月27日は「ドミニカ共和国」の独立記念日 ~ ドミニカ出身の著名アーティスト
 ドミニカ共和国は、1844年2月27日にハイチから独立したことにちなみ、2月27日をドミニカ共和国の独立記念日としています。

 カリブ海に浮かぶ西インド諸島(クリストファー・コロンブスがインドに到達したと誤解して名付けられたことでも知られる)のイスパニョーラ島の東側3分の2を統治しているドミニカ共和国(西側3分の1はハイチ)は、日本ではよく“ドミニカ”と呼ぶことも少なくありませんが、実は同じカリブ海に“カリブ海の植物園”と呼ばれるドミニカ国があるので注意が必要。“共和国”を省略せずにドミニカ共和国(英語でドミニカン・リパブリック、スペイン語でレプブリカ・ドミニカーナ)とするのが正式な呼称で、国連など国際的には単にドミニカというとドミニカ国を指すことになります。なお、ドミニカ共和国はカトリックの聖人・聖ドミニコを意味する首都のサントドミンゴにちなんで国名を名付けていますが、ドミニカ国の名はコロンブスが来島した日が日曜日(ドミンゴ)だったことから命名されたドミニカ島に由来しています。

 そのドミニカ共和国出身の有名アーティストを選りすぐって紹介していきましょう。

 ドミニカ共和国の音楽と言えば、アフリカとヨーロッパの要素を融合させ、2拍子のシンプルなリズムを基本としたメレンゲが有名。1840年代に誕生したメレンゲは、1920年代の占領統治時代に発達し、1930年代以降は当時の独裁者ラファエル・トルヒーヨが国民にメレンゲを踊るように推奨。即興がしやすく踊りやすいこともあって、ヒップホップやハウスなどさまざまなジャンルの音楽と合わせて、バチャータなどの派生ジャンルを生み出していきました。

 世界的なスーパースターといえるのが、フアン・ルイス・ゲーラです。メレンゲ、バチャータ、ボレロ、アフロラテン・ポップスなどを融合させたユニークな音楽は、ドミニカ共和国を飛び出し、世界で成功を収めています。レコードは3億枚超のセールスを誇り、ラテングラミー賞、グラミー賞ほか数多くの賞を受賞しています。80年代より自身のバンド“440”(クアトロ・クアレンタ)を率いてメレンゲやバチャータを広め、1989年リリースの「コーヒーの雨が降ったらなあ」(Ojala Que Llueva Cafe)で爆発的な人気を獲得。“メレンゲ&バチャータの帝王”としてその名を馳せています。

 当初は男性が歌う音楽だったメレンゲを女性で初めて歌ったとされるのが、ミリー・ケサダです。70年代半ばから活動し始めたケサダは、1997年に『アスタ・シエンプレ』(Hasta siempre)がヒットすると、翌年にエルビス・クレスポとのデュオ、パラ・ダルテ・ミ・ビダでも成功。2003年にドミニカ共和国の女性アーティストで初めてラテングラミー賞メレンゲ・アルバム・オブ・ザ・イヤーを受賞したのをはじめ、グラミー賞ほか数多くの受賞歴を誇り、“メレンゲの女王”として不動の地位を築き上げました。

 “ドミニカ・メレンゲ界のキング”と称されるのが、ジョニー・ヴェントゥーラです。エルヴィス・プレスリーに憧れたヴェントゥーラはさまざまなダンス・バンドで歌い始め、1964年に自身のグループのエル・コンボ・ショウを結成。爆発的な人気を集めると、アメリカやプエルトリコ、コロンビアなどでも名を広めました。“エル・カバジョ・マジョル”(素晴らしい馬)とも評され、60年代以降のメレンゲ・シーンを牽引するだけでなく、1998年から4年間は首都サント・ドミンゴの市長も務め、音楽に限らず文化的な側面からもドミニカ共和国の国民たちに多大な影響を及ぼしました。

 また、メレンゲ界随一のセールスと人気を博すといわれているトーニョ・ロサリオ、ドミニカ共和国代表として初めてミス・ユニバース世界大会に優勝し、モデルやメレンゲ歌手として活躍しているアメリア・ベガなどがいます。アメリア・ベガは、前述のフアン・ルイス・ゲーラの姪にあたります。

 90年代のジャマイカンレゲエのリズムに影響を受けたのが、ドミニカ共和国発祥のラテン・ダンス・サウンド“デンボウ”(Dembow)。レゲトンにも似ていますが、レゲトンよりもテンポが速く、アグレッシヴで、より踊るために特化したノリの良いサウンドが特色です。ジャマイカのダンスホール・ミュージシャンのシャバ・ランクスの楽曲「デンボウ」のリズムに由来していることから、その名がつけられたようです。

 このジャンルでは、奇抜なルックスと怒涛のフロウで煽りまくり、カーディ・Bバッド・バニーとのコラボレーションでも注目されたエル・アルファ(El Alfa)をはじめ、2017年、ダディ・ヤンキーやオズナとの共演で国際的に成功し、ドミニカ共和国出身の女性ポップスターとして不動の地位を確立したナッティ・ナターシャ(Natti Natasha)、性やジェンダーの既成概念に対する露骨かつ挑発的なリリックとパフォーマンスによるストリート色の強い表現でTikTokを中心に“バズ”を巻き起こした女性ラッパーのトキスチャ(Tokischa)などがいます。特にトキスチャはデンボウにポップな要素を組み合わせて、Z世代を軸に絶大なるインパクトを与え、スペインのロザリアとの「リンダ」の世界的なヒットや、マドンナとの共演で欧米にもその名が知れ渡るなど、現代のドミニカ共和国の圧倒的なアイコンにもなっています。

 そのほか、現代ジャズ界最高峰ピアニストとされ、全米ジャズ・チャート8週連続1位を記録した1988年のアルバム以降、立て続けにヒット・アルバムを放ち、グラミー賞やラテン・グラミー賞も受賞しているミシェル・カミロ、ニューヨーク・ブルックリン在住でピッチフォークなどの音楽メディアから高い支持を得ているツイン・シャドウなどがいます。なお、ミュージカル『アニー』のアニー役でデビューし、舞台やドラマ、映画などで活躍する女優 / 声優の豊原江理佳は、ドミニカ共和国生まれで、父がドミニカ共和国のミュージシャンです。豊原は2023年の実写ミュージカル映画『リトル・マーメイド』の日本語吹き替え版で、ハリー・ベイリーが演じた主人公のアリエルの声と歌唱を担当し、話題となりました。

(写真は、2008年リリースのフアン・ルイス・ゲーラのアルバム『愛のミ・コラソン』)
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