■スワーリーズ「Two Girls Kissing」 90年代UKでシューゲイザーが盛り上がる中、アメリカではその回答ともいえる存在として1990年にボストンでスワーリーズが誕生しました。粗野で凶暴なギターノイズはUSシューゲイザーならではで、1st『Blonder Tongue Audio Baton』はグライド・ギターが炸裂しています。さらに、不協和音や実験的エレクトロニクスを取り入れた2nd『They Spent Their Wild Youthful Days In The Glittering World Of The Salons』は、彼らの個性がより明確に表れたマスターピース。収録曲「Two Girls Kissing」では、中盤に登場するヘヴィメタル的な低音リフがトレモロ・アームで大きく揺らされ、圧倒的なサウンド体験を味わうことができます。
■メディシン「'Til I Die」 エレクトロニカ作品も手掛けたブラッド・レナーを中心に91年米ロサンゼルスで結成。シークレット・サーキットが初期に在籍していたことでも知られます。当時のシューゲイザーの中でも特に耳に刺さる激しいノイズが特徴で、同時にビーチ・ボーイズの影響を感じるメロディも魅力。1stアルバムと2ndアルバムが名盤として語られる一方、3rdアルバム『Her Highness』収録の「'Til I Die」はビーチ・ボーイズ『サーフズ・アップ』収録曲のカヴァーで、トレモロ・アームの使用は断定できませんが、陰鬱な歌詞の痛みを和らげるように、ギターが優しく波打っています。
■アストロブライト「Lollipop」 2000年以降のネオ・シューゲイザー・ムーヴメントの旗頭であるスコット・コルテスのユニット、アストロブライトが2002年に発表したアルバム『ピンクシャイニーウルトラブラスト』の収録曲。ジャケットを体現した、ピンクとパープルに輝くようなギター・ノイズが揺れ続けるサウンドはまさに至福で、2025年配信のライヴ版ではさらに分厚い音像を楽しめます。なお、本アルバムは、交流の深いCOALTAR OF THE DEEPERSのNARASAKIがマスタリングを担当しています。
■リンゴ・デススター「DEAR FUTURE」 2009年に初来日したリンゴ・デススターは、2000年代以降のシューゲイザーを代表する存在として日本でも親しまれています。TVアニメ『輪るピングドラム』EDテーマのカヴァーは、COALTAR OF THE DEEPERSによる原曲をさらにノイジーに歪ませた幻惑的なサウンドが魅力で、作品の謎めいた世界観にもよく合っています。2011年のCOALTAR OF THE DEEPERSのシングルに収録されていますが、同年リンゴ・デススターが発表したミニ・アルバム『シャドウ』ではアレックス・ゲーリングが日本語詞でキュートに歌うヴァージョンも楽しめます。
■セレーナ・マニーシュ「I Just Want To See Your Face」 ノルウェーのシューゲイザー・バンドが4AD移籍後に発表した『NO 2: ABYSS IN B MINOR』収録曲です。グライド奏法ではありませんが、ワウペダルを駆使した揺れが曲のアグレッシブさと緊張感を一層高めています。
■フリーティング・ジョイズ「Kiss a Girl In Black」 揺らめく轟音と甘美なメロディで“マイブラの正統後継者”と称されるのが、米カリフォルニアのジョン&ロリカ夫妻によるデュオです。2006年のデビュー作『デスポンデント・トランスポンダ』は少数プレスながら“マイブラよりマイブラ”と話題を呼びました。2019年、約10年ぶりの新作『スピーディング・アウェイ・トゥ・サムデイ』の収録曲「キス・ア・ガール・イン・ブラック」ではグライド奏法が炸裂。激しく上下するピッチの揺らぎが酩酊感を生み、轟音と溶け合うロリカのウィスパー・ヴォイスが至福の世界へ誘います。昨年ロリカの訃報が伝えられましたが、彼女が遺した名曲と神聖さすら宿る歌声は、これからも色褪せることはありません。