ニュース

〈奇想天外映画祭 2026〉、ピーター・ジャクソンの異色作『ミート・ザ・フィーブルズ』ほか11本がラインナップ

2026/08/28 18:05掲載
〈奇想天外映画祭 2026〉、ピーター・ジャクソンの異色作『ミート・ザ・フィーブルズ』ほか11本がラインナップ
 2019年より開催されて以来、この世の映画好事家を驚かせる作品を次々と上映してきた〈奇想天外映画祭〉が、東京・新宿 K’s cinemaにて9月12日(土)~10月16日(金)の5週間開催されます。

 今年のメイン作品は2本。まずは、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズでも知られるピーター・ジャクソン監督が、デビュー作『バッド・テイスト』(1987)に続いて撮った異色の問題作『ミート・ザ・フィーブルズ』。ぬいぐるみのようなマペット人形による奇想天外なブラック・コメディが満を持しての上映となります。

 続けて、『ショック療法』(1973)などで知られるアラン・ジェシュア監督が実写にコミックを融合し、現実と幻想を交錯させて描いた異色作『コミック・ストリップ・ヒーロー』(1967年カンヌ国際映画祭 最優秀脚本賞)。コミックの原画は1960年代に「ポップアートのバンド・デシネ(漫画)」と呼ばれたギィ・ペラートが担当。当時、ゴダールゲンズブールも虜にしたというギィ・ペラートのポップ感覚にあふれた世界は見ものです。

 ほか、ヘルマン・ヘッセが1927年に発表した同名小説の映画化『ステッペンウルフ/荒野の狼』(1974)、フランスの作家 / 詩人で『日々の泡』、『北京の秋』など前衛的な作風の小説で知られるボリス・ヴィアンの1946年に発表した小説の映画化『墓にツバをかけろ』(1959)、伝説にもなった衝撃のラスト・シーンが語り継がれるZ級ホラー怪作『サマーキャンプ・インフェルノ』(1983)、フランスの貴族で作家、哲学者として知られるマルキ・ド・サドを巡る風刺コメディー『マルキ』(1989)。『マルキ』は、人物はすべて着ぐるみの動物キャラで演じられ、全編がエロスあふれるシュールな異色のカルト映画です。

 また、1949年の『三人の妻への手紙』と1950年の『イヴの総て』で、2年連続アカデミー監督賞・脚色賞を受賞した名匠ジョーゼフ・マンキーウィッツ監督の遺作『探偵スルース』(1972)、原作は17世紀のトマス・ミドルトンの同名戯曲にして、イギリス的な階級制度を背景にした荒んだ暴力的な近未来世界を舞台に描かれるアレックス・コックスの2002年の監督作『リベンジャーズ・トラジディ』、アメリカ時代末期のフリッツ・ラング監督による珍しいコスチューム・プレイの冒険アクション映画『ムーンフリート』(1955)。

 さらに、昨年の奇想天外映画祭でも好評を博した作品が2本もアンコール上映も実施。1本目は中平康監督『闇の中の魑魅魍魎』(1971)。本作で麿赤兒が演じた幕末土佐の天才絵師“絵金”は本年が生誕150年というタイミングです。続けて、アンコール上映の声が多かったケン・ラッセル監督の狂乱のカルト映画『肉体の悪魔』(1971)も再上映が決まっています。

[上映作品]
『ミート・ザ・フィーブルズ』
監督・脚本:ピーター・ジャクソン 1989│ニュージーランド│カラー│97分

ぬいぐるみのようなマペット人形による奇想天外なブラック・コメディー。動物一座のフィーブルズは TV 界進出を狙うミュージカル・ショーの稽古の真っ最中。華やかな表舞台の裏側では、看板女優のカバのハイジ、その愛人で一座のオーナーであるセイウチのブレッジ、新入りで純真なハリネズミのロバート、スターでセックス狂いのウサギのハリー、ベトナム帰りでヤク中のカエルのウィンヤード、舞台裏をかぎ回るパパラッチのハエのフライなど、それぞれが怪しげな欲望に駆り立てられ、てんやわんやの大騒ぎになる。果たしてショーはうまくいくのだろうか。ニュージーランド出身のピーター・ジャクソン監督がデビュー作『バッド・テイスト』(1987)に続いて撮った異色の問題作であり、特殊撮影のリチャード・テイラーとの出会いとなった。この一連の初期作品がカルト映画として評価され、後の『ロード・オブ・ザ・リング』(2001~03)などメジャー作品につながる。

『コミック・ストリップ・ヒーロー』
監督・脚本:アラン・ジェシュア 1967│フランス│カラー│96分

パリでイラストレーターの妻ジャクリーヌとコンビで連載コミックを執筆するピエール。ある日、お金持ちの息子で妄想癖のあるボブが訪れ、2人をスイスのヌシャテルの湖畔にある別荘に招待する。別荘にはボブの振る舞いを心配する母親ジュヌヴィエーヴがいるが、ピエールは夢想に耽るボブの生活をモデルに「ヌシャテルの殺人者」という新作コミックに取りかかる。ところが、新作コミックに関心を抱いたボブはピエールの原稿を盗み見して主人公と同じ行動に走り、挙げ句の果てにジャクリーヌに恋して誘拐する。『ショック療法』(1973)などで知られるアラン・ジェシュア監督が実写にコミックを融合し、現実と幻想を交錯させて描いた異色作。コミックの原画は1960年代に「ポップアートのバンド・デシネ(漫画)」と呼ばれたギィ・ペラートが担当、当時のポップ感覚に溢れた世界が見ものだ。1967 年カンヌ国際映画祭で最優秀脚本賞を受賞。公開時の邦題は『殺人ゲーム』。

『ステッペンウルフ/荒野の狼』
監督・脚本:フレッド・ハインズ 1974│アメリカ/スイス│カラー│107分

20世紀初めのドイツのある都市で世間と交わらずに厭世的な孤独な生活を送る中年男のハリー・ハラー。ある夜、レストランでヘルミーネという謎めいた女性と出会い、やがて彼女の友人のパブロやマリアと親しくなり、享楽の世界に触れていく。そしてカーニバルの夜、「狂人のみ入場可」の魔術劇場に誘われ、幻想的な迷宮の世界に入り込む。原作はヘルマン・ヘッセが1927年に発表した同名小説。第1次大戦後に精神的な危機にあったヘッセが自らの精神世界を考察した小説といわれ、主人公ハリーの姿に当時のヘッセの心情がうかがい知れるだろう。

『サマーキャンプ・インフェルノ』
監督・脚本・製作総指揮:ロバート・ヒルチック 1983│アメリカ│カラー│84分│BD

モーターボート事故で双子の弟と父親を亡くしたアンジェラは叔母に引き取られ育てられる。8年後、叔母の養女なったアンジェラは従兄弟のリッキーとサマーキャンプに行く。だが、事故の影響か、内気な性格になったアンジェラはさまざまな、イジメに遭ってしまう。やがて、ある事件が発生、そこは次第に地獄キャンプ場に変貌していく…。伝説にもなった衝撃のラスト・シーンが語り継がれるZ級ホラー怪作。

『墓にツバをかけろ』
監督:ミシェル・ガスト|原作・脚本:ボリス・ヴィアン 1959│フランス│モノクロ│109分

メンフィスで暮らすジョー・グラントは、出自は黒人だが容姿は白人そっくり。弟が白人のリンチで殺されたことで白人への復讐を胸にトレントンの町の本屋で働くが、この町を仕切るスタンとその仲間がジョーに関心を寄せる。そんな中、ジョーはスタンの婚約者エリザベスと恋仲になるが、やがてジョーの出自が知れる。フランスの作家ボリス・ヴィアンが黒人脱走兵と称するヴァーノン・サリヴァン名義で 1946 年に発表した同名小説の映画化。B・ヴィアンが本作の試写の最中に亡くなったことは有名。「褐色のブルース」のハーモニカの調べが切なく響きわたる。

『マルキ』
監督:アンリ・グズヌー|脚本:ローラン・トポール 1989│ベルギー│カラー│84分

フランスの貴族で作家、哲学者として知られるマルキ・ド・サド。そのマルキ(侯爵)がフランス革命直前に些細な罪で投獄されたバスティーユ牢獄の日々を描いた風刺コメディー。当時の世相を背景に、マルキをめぐる牢獄司令官、神父、牢番、またジェスティーヌやジュリエットなどを交えたエピソード、あるいは獄中のマルキから盗んだ原稿を「サド」の名で出版される顛末なども知れる。人物はすべて着ぐるみの動物キャラで演じられ、マルキがコランと呼ぶ自分の勃起した性器と絶えず会話するように、全編がエロス溢れるシュールな異色のカルト映画だ。

『探偵スルース』
監督:ジョーゼフ・L・マンキーウィッツ|原作・脚本:アンソニー・シェーファー 1972│アメリカ/イギリス│カラー│138分

推理小説家として有名なアンドルー・ワイクは、妻の愛人マイロを豪邸に招き、自分の宝石を盗み出して妻と一緒になるように提案。ところが、それはアンドルーの策略であり、マイロは銃で撃たれる。そのマイロの行方を探して刑事がアンドルーを訪ねてくるが、刑事は死んだはずのマイロの変装した姿だった。イギリスの劇作家アンソニー・シェーファーの同名舞台劇の映画化。名優ローレンス・オリビエとマイケル・ケインの2人芝居によるどんでん返しの騙し合いが機械仕掛けの人形の居並ぶ豪邸で展開される。ジョーゼフ・マンキーウィッツ監督の遺作となった。

『リベンジャーズ・トラジディ』
監督・脚本:アレックス・コックス|脚本:フランク・コットレル・ボイス 2002│イギリス│カラー│110分

近未来の 2011 年、イギリスのリヴァプール。彗星群の衝突で荒廃した町はデュークと5人の息子たちの支配下にあったが、そんな街に 10 年前にデュークに婚約者を殺されたヴィンディチが復讐に戻ってくる。ヴィンディチはデュークの手下となった兄やナイフ投げの妹の協力でデュークの長男ルスリオーソに近づき、兄弟争いをそそのかした末にデュークに血の復讐を遂げる。原作は17世紀のトマス・ミドルトンの同名戯曲。イギリス的な階級制度を背景にした荒んだ暴力的な近未来世界を舞台に、登場人物が喋る17世紀の演劇的な台詞まわしが見ものだ。

『ムーンフリート』
監督:フリッツ・ラング|脚本:ジャン・ラスティグ、マーガレット・フィッツ 1955│アメリカ│カラー│86分

18世紀半ば、イギリス南部の海沿いにあるムーンフリート村。その村で密輸を営むジェレミー・フォックスを頼って孤児のジョン少年が訪れる。ジョンはこの村でかつて栄えたモフーン家の血統をひき、ジェレミーは少年の亡き母親の元恋人だった。そんなジョンをジェレミーは疎ましく思うが、モフーン家の隠し財産のダイヤを知り、ジョンに接するうちに、やがて父親のような感情が芽生えてくる。アメリカ時代末期のフリッツ・ラング監督による珍しいコスチューム・プレイの冒険アクション映画だが、監督最初のカラー・シネスコ作品として味わい深い。

[絵金生誕150年記念アンコール上映]
『闇の中の魑魅魍魎』
製作・監督:中平康 脚本:新藤兼人 1971│日本│カラー│110分│DCP

幕末土佐に活き、権力に抗しながら自己を貫いた異端の天才絵師金蔵(絵金)の半生を描いた問題“快作”。初公開から 54 年、デジタルリマスターで甦った圧巻の映像美と絵金役の麿赤兒の怪演がひときわ胸を打つ。(提供:ディレクターズシステム)

[特別アンコール上映]
『肉体の悪魔』
監督・脚本:ケン・ラッセル 1971│イギリス│カラー│113分│BD

17世紀フランスで起きた史上名高い“ルーダンの悪魔憑き事件”を鬼才ケン・ラッセルが正面から切り込んで作り上げた衝撃作。宗教的抑圧がもたらす狂気、腐敗した国家と教会、そして人間の内に潜む悪魔をあぶり出していく。狂乱と淫行の中で発生する“悪魔憑き”…映画史に深く刻まれた狂乱のカルト映画。

〈奇想天外映画祭〉
日時:2026年9月12日(土)~10月16日(金)
場所:新宿K’s cinema
ks-cinema.com
配給:アダンソニア
宣伝・配給協力:ブライトホース・フィルム
最新ニュース
※ 掲載情報に間違い、不足がございますか?
└ 間違い、不足等がございましたら、こちらからお知らせください。
※ 当サイトに掲載している記事や情報はご提供可能です。
└ ニュースやレビュー等の記事、あるいはCD・DVD等のカタログ情報、いずれもご提供可能です。
   詳しくはこちらをご覧ください。