2026年4月19日より開催されている、
DREAMS COME TRUEオリジナル・ニュー・アルバム『
THE BLACK ◯ ALBUM』発売記念「まーちゃんと一緒に試聴会!」。この度、残すところ2公演を前に試聴会のレポートが到着しました。
『THE BLACK ○ ALBUM』を携えた全国アリーナ・ツアーと並行して、
中村正人が行っているのが、DREAMS COME TRUE『THE BLACK ◯ ALBUM』発売記念「まーちゃんと一緒に試聴会!」。普段はなかなかツアーでは行けない場所に中村正人が直接訪れ、その街にある映画館の音響設備を通して最新アルバムをファンの皆さんと一緒に聴くという、ツアーとはまた別次元の贅沢さが味わえるイベントとなっています。
2026年4月19日の長崎・ローソン・ユナイテッド・シネマ長崎を皮切りに、9月13日(日)秋田・ALVEシアター supported by 109シネマズまで全国15都市を巡るこのイベントは、すでに13会場での試聴会を終え、全会場満員御礼。残すは9月の山形と秋田の2会場のみとなっています。
いったい、どんなことが行われているのか? 7月25日の奈良・ユナイテッド・シネマ橿原でのイベントの模様をレポートします。
[イベント・レポート] 夏休みに入ったばかりとあって、話題の映画がズラリとラインナップされた映画館に、一際目を引く行列が出来ている。一体これは何なのだ?と、普通に映画を楽しみにやって来た人たちは口々に言いながら行列を不思議な面持ちで見ている。各々ドリカムツアーグッズを身につけた人たちの列はもちろん「まーちゃんと一緒に試聴会!」に参加するファンたちだ。
館内の座席が埋まり、まず登場したのは、この日の司会進行を務める高樹リサさん。FM802の看板プログラム『OSAKAN HOT 100』のDJとして関西の人たちにはお馴染みの声の人だ。アルバム発売直前の3月15日(日)のオンエア回では中村がゲストで出演し、二人の息のあったトークで多くのリスナーを楽しませた。
高樹さんの呼び込みで中村正人が登場すると、映画館とは思えない熱烈な拍手と歓声が館内に響く。まずは、奈良のご当地トークを繰り広げると、三輪そうめん、大神(おおみわ)神社など漢字は違うが「みわ」つながりということでドリカムとの縁を感じること、さらに中村個人の「平城宮跡」愛が熱く語られた。
そして話は核心へ突入していく。どうしてこのイヴェントをやっているのか? それはもちろん9年ぶりにリリースされた最新アルバム「THE BLACK ○ ALBUM」をCDで聴いてほしいという純粋な想いに突き動かされたから、ということだ。ドリカムはそのはじまりから自分たちの音楽をアルバムという形態を通して伝えてきたバンドであり、それはサブスクが主流となった今も基本的な姿勢として変わっていない。
むしろ、今の時代だからこそアルバムで音楽を伝えることの意味を分かち合えるのではないか。「THE BLACK ○ ALBUM」は収録された全14曲でまさにそうした“むき出しの音楽愛”を体現している作品なのだ。
ではなぜ映画館での開催となったのか。
「映画館って、音がめちゃめちゃいいんですよ。マルチチャンネル音響システムですから」
なんと、この映画館での試聴会のため5.1ch用にニューヨークのスタジオで新たなマスタリングを施したのだそうだ。
「こういう環境で聴くからこそ体感できる低音の美しさや音の広がりが、皆さんが普段CDで聴いている音よりも、より鮮明に感じていただけます。私の華麗なるアレンジがいかに素晴らしいか、どうぞご堪能ください(笑)」
さらに、CDに収録された楽曲そのものへのこんな想いが語られた。
「よく言われるんですよ。やっぱりドリカムはライヴがいいですねって。もちろんうれしいんですよ。ライヴもアレンジや演出含めて限界までこだわってやっていますから。でも、ライヴって繰り返し練習した結果なんです。一方でCDに収録された楽曲って宇宙で初めて吉田美和が音にした瞬間、その痕跡なんですよね。今までなかったメロディ、今までなかった詩、今までなかった歌い方――それらを初めて記録したものなんです。だからCDって尊いんです。しかもそれは皆さんのものですから。配信データは、言ってしまえば借り物ですからね」
いよいよ、ここからは約52分の音の旅へ。普段音楽を聴く環境で、なかなか52分弱という時間をそれだけに集中できることはほぼないのではないだろうか。通勤中に聴いたり、家事をしながら聴いたり、自然と何かをしながら音楽を聴いていることが当たり前となっている。だからおそらく、ただただ音楽を、しかも最高の環境で聴くことだけに集中できる人生で唯一の機会になると言っても過言ではないだろう。
曲間の余韻や曲間の無音を、あえて集中して「聴いて」ほしい、という中村正人のガイドがしっかりと心に残った状態で極上の音響機器を通して、しかも大勢の人たちとひとつの空間を共有しているというその同時性も加わって、ここでしか味わえない体験となった。
1曲目の「GARGANTUA - OPENING THEME OF TBA -」では、本当にブラックホールに吸い込まれていくような感覚になり、「Kaiju - TBA Version -」では雨の降る原生林が目の前に現れ、「東京 magic hour」では過去と今が音のなかで交錯し、「BEACON - TBA Version -」では吉田美和の声をより近くで感じられた。そして何より驚かされたのは、それら一つひとつの世界が大きな物語として色鮮やかに、密接に描かれていることが、その物語の渦中で感じられたことだ。聴いている自分もこの音楽のなかに含まれているのだという体験は、ライヴでのそれとはまた一味も二味も違うもので、それが中村の言う収録作品だからこその奇跡につながるのだと思えた。何も映っていないはずの大きなスクリーンに曲ごとの物語が展開されていく――映画館で聴くドリのアルバムは、まさに「絵のない映画」だった。
「吉田美和の詩を映像化できることを目指して音楽をつくっている」
試聴が終わった最後に改めてスクリーンの前に登場し、中村がこう言った。ツアーとは別軸でアルバムという形態にこだわり抜いてつくられた「THE BLACK ○ ALBUM」を映画館で聴く――その理由と愛が詰まりまくった極上のイヴェントだった。Text: 谷岡正浩