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サカナクション、SHE’S、Omoinotake、King & Princeなど 9月第1週の注目作

2026/09/02掲載
今週リリースされる作品の中で、チェックしておくべきなのは何ですか?
 8月の最終日から9月が始まったほぼ9月第1週(8月31日[月]~9月6日[日])。本格的な秋の訪れには早いものの、今週は“芸術の季節”に向けてじっくり聴き込みたくなるロック・バンドの新作が揃いました。

 まず、Spotify Japanで配信初日再生回数の歴代記録を更新し、「MUSIC AWARDS JAPAN 2026」で最優秀楽曲賞も獲得するなど、驚異的な勢いで話題を集めたサカナクションの大ヒット曲「怪獣」が、9月2日に両A面シングル「怪獣 / いらない」としてついにCD化されました。バンド再始動後の快進撃を象徴するこの曲は、TVアニメ『チ。 ―地球の運動について―』のOPテーマとして制作されたもの。バンドの活動休止中、山口一郎(vo, g)がうつ病と向き合いながら、2年もの時間をかけて完成させた楽曲です。「地動説」を証明するため命を懸けて挑む者たちを描いたアニメにふさわしく、宇宙の壮大さや人類史の愚かしさ、そこに漂う諦念までをも内包した世界観が印象的。一方で、病とつきあいながら言葉を紡いだ山口自身の苦闘の記録として、歌詞の一つひとつが胸に深く刻まれるナンバーとなっています。

 山口がYouTube配信で自ら語った複雑な曲構成も「怪獣」の魅力。何となくAメロかな?サビかな?と思うようなメロディが、アレンジを変えて配されることにより、どこがサビなのか、各パートがどんな役割を担っているのかが判別しづらい構造となっています。この“心地よい混乱”こそが、何度でも聴き返したくなる理由。聴き手によって心を揺さぶられるポイントが大きく異なるのも、今後さらに多くの人の間で成長していく予感を抱かせます。

 SNSでのミーム化も追い風となり、14年前の名曲「夜の踊り子」が「新宝島」「怪獣」「忘れられないの」に続き、通算4作目の累積再生数1億回突破を達成したニュースも記憶に新しいサカナクション。こうしたストリーミング・ヒットに加え、「目が明く藍色」「ナイトフィッシングイズグッド」など、曲の流れに引き込まれる過去の名曲群も、じっくり深掘りしてほしいところです。


 続いて注目したいのは、今週リリースされる2組のピアノ・バンドによる新作です。SHE'Sの8thアルバム『Who am I?』と、Omoinotakeによる3rdアルバム『Memorabilia』。いずれも“ピアノを大きくフィーチャーしたバンド”として必ず名前が挙がる存在ですが、その音楽性は大きく異なります。

 SHE'Sは、ピアノを中心にギター、ベース、ドラムが囲む4人編成。フォール・アウト・ボーイMaeコールドプレイなどからの影響を公言してきた通り、エモーショナルなロック・サウンドと叙情的なメロディが持ち味です。新作『Who am I?』には、「モンストグランプリ2025 ジャパンチャンピオンシップ」大会テーマ曲「Four」や、ドラマ『ぴーすおぶせーふ』のオープニング曲「Good Life」といった話題曲を収録。さらに、井上竜馬(vo, p)の爽やかな歌声が夏の終わりの風に寄り添う「花雨」、クラシカルな弦楽アレンジが映える詩情豊かなバラード「詩歌」など、これからの季節に聴きたい楽曲も揃っています。

 一方、Omoinotakeはピアノ(キーボード)、ベース、ドラムによるトリオ編成で、ブラック・ミュージックを基盤にした都会的で洗練されたグルーヴが特徴。韓国のボーイズ・グループ、ZEROBASEONEの最新EP『回帰LOVE』への楽曲提供でも注目を浴びているところです。新作は、TVアニメ『花ざかりの君たちへ』第2期の主題歌「FLASHBULB」「花束」、アニメ『薬屋のひとりごと』のEDテーマ「ひとりごと」、藤井怜央(vo, key)もサプライズ出演したドラマ『DOCTOR PRICE』の主題歌「フェイクショー」、森崎ウィン×向井康二Snow Man)主演映画『(LOVE SONG)』の主題歌「Gravity」など、タイアップ曲が半数以上を占める充実の内容。彼らの人気の高さがそのまま反映されたラインナップと言えるでしょう。中でも特に異彩を放つのが、Official髭男dismのギタリスト小笹大輔を迎えた「ペトリコール」。両者のルーツであるというラウドロックやエモが反映されたハードな楽曲で、バンドの新たなアプローチが新鮮です。


 また、韓国勢からはKロックの人気バンドとして、デビュー20周年を2027年に控えるFTISLANDの21枚目のシングル「Lemonade」にも注目です。日本でも10枚のオリジナル・アルバムを発表してきた彼らですが、本作では原点回帰ともいえる骨太なロック・サウンドが炸裂。歯切れの良いドラミングと、ポップパンクを思わせるキャッチーなメロディで一気に駆け抜けながら、歌詞では数々の挑戦と困難を乗り越えてきた彼らの“甘酸っぱいレモネード”のような軌跡が描かれています。ライヴ・アンセム必至の爆発力あるサウンドには、メンバーの覚悟や絆がしっかり刻まれており、聴く者に力を与えてくれると同時に、言葉の一つひとつを噛みしめたくなる一曲です。

 バンド作品が続きましたが、ダンス・ヴォーカル勢では今週、King & PrinceのCDとしては初のEPとなる『So Honey EP』も登場。7枚のアルバムと18枚のシングルを発表してきたキャリアを考えると、意外性のある“1st EP”ですが、内容は“BITTER”と“SWEET”を織り交ぜた6曲のラヴ・ソングで構成されたコンセプチュアルな内容。特に表題曲「So Honey」は、「好き?嫌い?」「苦い?甘い?」といった歌詞が“BITTER or SWEET”というテーマを象徴するナンバー。王道のディスコ・ファンク・サウンドに、メロウでロマンティックなパートを組み合わせた構成が、彼らの“王子様感”と等身大の親しみやすさを絶妙に体現しています。


 最後に、女性アーティストの作品にも目を向けてみましょう。バンド系では、サバシスターの4曲入りEP『働くサバたち。』に注目。ニュース番組『Oha!4 NEWS LIVE』のテーマ・ソング「朝がきて」、シーブリーズのCMソング「君が笑うほど夢中に夏っ!」、Prime Videoのバラエティ『トモダチ100人よべるかな?』のテーマ・ソング「来て」、JR東日本グループ・ユニオン建設のTV-CMソング「レール」、すべて書き下ろしのタイアップ曲で構成された、まさに“お仕事集”といえる一枚です。パンクの名門〈PIZZA OF DEATH〉の紅一点として、バブルガム的な中毒性とスピード感、そして巧みなアレンジを兼ね備えた彼女たちの楽曲は、番組や商品、そしてそれを受け取る人々への目配せもバッチリ。頻繁に耳にするタイアップ曲でありながら、飽きのこないキャッチーさと勢いを保っている点も、サバシスターならではの魅力と言えるでしょう。

[紹介した作品]
9月2日(水)リリース
サカナクション / シングル「怪獣 / いらない」
SHE'S / アルバム『Who am I?』
Omoinotake / アルバム『Memorabilia』
FTISLAND / シングル「Lemonade」
King & Prince / EP『So Honey EP』
サバシスター / EP『働くサバたち。』


(※写真は、サカナクション「怪獣/いらない」のジャケット)
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