夏の暑さが少しずつ和らぎ、朝晩の風に秋の気配を感じ始める9月。楽しかった夏の余韻が残る一方で、日が暮れるのが早くなったり、街に秋の装いが増えたりと、季節の移り変わりを実感する時期でもあります。
そんな9月になると、なぜか聴きたくなる曲はありませんか?今回は、タイトルから9月を感じる楽曲をはじめ、夏の終わりを思わせる曲、青春の記憶を呼び起こす曲、そして秋の香りを感じさせる曲まで、今の時期にぴったりな名曲をピックアップ。まだ少し夏を引きずりながら、少しずつ秋へ向かっていく――。そんな季節に聴きたい音楽をお届けします。
■
RADWIMPS「セプテンバーさん」 9月になると、まずこの曲を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
RADWIMPS の「セプテンバーさん」は、2006年2月にリリースされた3rdアルバム『
RADWIMPS 3~無人島に持っていき忘れた一枚~ 』(写真)に収録された楽曲。「セプテンバーさん」というタイトルには、RADWIMPSにとって特別な意味が。初のワンマン・ライヴ開催&メジャー・デビューを発表した2005年9月3日に歌詞がまだ未完成ながらも初めて披露され、バンドにとって大切な日である“9月3日”をもとにつけられたとのこと。どこか寂しさを帯びながらも、温かく優しいメロディが印象的な本楽曲。夏の余韻がまだ残る9月の空気と、少しずつ秋へ向かっていく季節の変化に寄り添ってくれます。また2016年には、先日第1子誕生を報告した
Aimer がカヴァー。
野田洋次郎 (RADWIMPS)楽曲提供&プロデュースによるシングル「
蝶々結び 」に収録されました。RADWIMPSとはまた異なる、Aimerならではの繊細で幻想的な歌声で楽曲の魅力を引き出しています。
VIDEO
VIDEO
■
AKB48「言い訳Maybe」 2009年8月26日にリリースされた
AKB48 の13thシングル「
言い訳Maybe 」。本楽曲が9月にぴったりなのは、なんといっても歌詞に描かれた季節感。夏休みが終わり、久しぶりに学校で好きな人と顔を合わせる――そんな青春の一場面が描かれており、〈9月のそよ風〉や〈2学期〉といった言葉が登場します。夏休みの間に会えなかったことで、ただの友達だと思っていた相手が気になり始める。けれど、なかなか素直に気持ちを伝えられない。そんなもどかしい片思いを、爽やかで疾走感のあるサウンドに乗せて歌っています。まだ夏の暑さが残る9月、青空の下を自転車で走るような眩しさと、夏休み明けの少しだけ大人びた教室の空気。その両方を感じさせてくれる、まさに“夏と秋のあいだ”に聴きたい青春ソングです。
VIDEO
■
乃木坂46「バンドエイド剥がすような別れ方」 夏の終わりに訪れる、少しずつ距離が離れていくような切なさ。
乃木坂46 の「バンドエイド剥がすような別れ方」は、そんな季節の変わり目と淡い恋心を重ねた5期生楽曲。2022年8月31日に発売された30thシングル「
好きというのはロックだぜ! 」の初回仕様限定盤Type-Cに収録され、センターは現在グループのキャプテンを務める
菅原咲月 が務めています。タイトルにもなっている「バンドエイドを剥がす」という行為になぞらえ、好きな人との関係を終わらせようとしながらも、なかなか気持ちを断ち切れない心情を描いた本楽曲。思い切って一気に終わらせるのではなく、少しずつ距離を置きながら、いつの間にか会わなくなっていく――。そんな恋の終わり方には、夏がゆっくりと過ぎ去っていくような儚さがあります。ミュージック・ビデオでは、勉強に厳しい進学校に通う高校生が、クラスメイト同士徐々に仲良くなっていく姿を描いています。夏休みが終わり、新学期が始まる9月。楽しかった夏を振り返りながら聴くと、どこか懐かしく、少しだけ胸が締め付けられるような一曲です。
VIDEO
■
オレンジスパイニクラブ「キンモクセイ」 夏の暑さが少しずつ落ち着き、街を歩いているとどこからともなく金木犀の香りが漂ってくる――。そんな秋の入り口に聴きたくなるのが、
オレンジスパイニクラブ の「キンモクセイ」です。2020年1月にリリースされ、ストリーミングやTikTokを中心に人気を博し、バンドの代表曲のひとつとなりました。屈託のない歌詞と軽快でキャッチーなリズムが印象的な一方で、そこに描かれているのは、初恋の相手への想いと、夏の終わりの情景をめぐる物語です。楽曲の中で印象的なのが、タイトルにもなっている金木犀の存在。秋になると街に漂うその香りが、過ぎ去った時間や誰かとの記憶を呼び起こすように、曲の中でも季節の情景と恋愛感情が重なります。2023年にはYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」にも登場し、「キンモクセイ」を披露。ライヴとはまた異なる一発撮りならではの緊張感の中で、楽曲が持つ切なさや生々しい感情をより近くに感じることができます。
VIDEO
■
アイナ・ジ・エンド「金木犀」 同じく、秋の訪れを告げる花・金木犀が出てくる楽曲より、“密やかでいじらしい香り”をモチーフに、自分自身や何気ない日常の情景を描いたのが、
アイナ・ジ・エンド の「金木犀」。2021年2月にリリースされた1stソロ・アルバム『
THE END 』の冒頭を飾る楽曲で、編曲を
亀田誠治 が担当しています。「長所のない私」という自己認識から始まる歌詞は、自分に対する少し自信のない眼差しを覗かせます。しかし、金木犀の香りにふと引き込まれるように、視線は次第に自分の内側から周囲の景色へ。香り、光、街の空気といった感覚的な描写を通して、何気なく過ぎていく日常の美しさが浮かび上がります。夏の終わりを越え、街の空気が少しずつ秋へと変わっていく9月。ふと漂ってくる金木犀の香りに足を止めるように、この曲もまた、いつもの日常にある小さな変化や、自分自身の存在に目を向けるきっかけを与えてくれる一曲になるかもしれません。
VIDEO
■
山下達郎「さよなら夏の日」 夏の終わりを象徴する名曲として、長く愛され続けている
山下達郎 の「
さよなら夏の日 」。1991年に発表された楽曲で、夏が終わり、少年少女が少しずつ大人へと向かっていく姿を描いた、どこか切なくも温かな一曲です。楽曲のもとになったのは、山下達郎自身の高校時代の思い出。ガールフレンドと遊園地のプールへ遊びに行った際、突然夕立に遭ったという実体験から生まれたといいます。楽しかった夏の一場面を思い出すような情景が、やがて過ぎ去ってしまう時間への感傷へとつながっていきます。そんな楽曲の世界をより鮮やかに映し出したのが、2021年に初めて制作されたMV。イラストレーター・藍にいなが手がけた全編アニメーション作品で、ひと夏の思い出と少年少女の心の揺れを瑞々しく描いています。過ぎてしまった夏を惜しみながら、これから訪れる季節や未来にも思いを馳せる――。そんな9月にこそ聴きたくなる、時代を超えて色褪せない夏の名曲です。
VIDEO
■
竹内まりや「September」 9月を代表する楽曲として最後に紹介したいのが、
竹内まりや の「September」。1979年にリリースされた竹内まりやの3枚目シングルで、タイトル通り、夏から秋へと季節が移り変わる9月を舞台に、ひとつの恋の終わりを描いています。歌詞で描かれるのは、夏の終わりとともに恋人との別れを迎えた女性の姿。まだ相手への想いが残っているにもかかわらず、恋の終わりを受け入れなければならない――。そんな寂しさや未練を抱えながら、新しい季節へと歩き出そうとする心情が綴られています。軽やかでポップなメロディも相まって、失恋を歌った曲でありながら、重く沈みすぎないのも本楽曲の魅力。“夏と秋の境目”ならではの切なさを、明るさの中にそっと閉じ込めたような一曲です。9月という月が持つ寂しさと、新しい季節への期待。その両方を感じさせてくれる「September」は、今回のテーマを締めくくるのにぴったりの名曲です。
VIDEO
9月になると、少しずつ変わっていく空気や街の景色に、夏の終わりを実感する人も多いのではないでしょうか。今年は、夏の暑さが落ち着いたと思えば、雨の日が続いたり、どこか気分まで沈みがちになったり。そんな不安定な天気の中で迎える9月だからこそ、音楽にそっと寄り添ってもらいたくなることもあるかもしれません。楽しかった夏を思い返したり、過ぎ去った青春に思いを馳せたり、ふと漂う金木犀の香りに秋の訪れを感じたり――。同じ「9月」という季節でも、聴く人によって思い浮かぶ景色や記憶はきっとさまざまです。雨音を聞きながら少し物思いにふける日も、晴れ間に夏の名残を感じる日も、今回紹介した楽曲が、その日の気分にそっと寄り添ってくれるかもしれません。