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クラッシュやダムドも結成50周年 気合を入れるパンク名曲で2026年を開運【男性バンド編】

バズコックス(The Buzzcocks)   2026/01/16掲載
続々と結成50周年を迎えている初期パンク・バンドたちの、年明けにふさわしいパンク名曲について知りたいです。
 2025年はセックス・ピストルズ結成50周年の節目で、〈PUNKSPRING 2025〉での来日やライヴ盤『ライヴ・イン・ザ・U.S.A. 1978』のリリースなど、パンクへの情熱を呼び覚ますような出来事が続きました。そして2026年は、ピストルズと並び“3大パンク”として語られるザ・クラッシュダムド、そして、カート・コバーンをはじめ多くのミュージシャンに愛されるバズコックスが結成50周年を迎えます。

 今回は、そんなパンク草創期のバンドたちの楽曲から、新年のスタートに気合を入れてくれる名曲を紹介し、成人式を迎える新成人にもエールを送ります。

ダムド「スマッシュイットアップ」
 ダムドは、ニック・ロウがプロデュースを手がけたデビュー・シングル「ニュー・ローズ/ヘルプ」(1976)と1stアルバム『地獄に堕ちた野郎ども』(1977)で、ロンドンのパンク・バンドとして最初にレコードを世に送り出した存在。1stアルバムは、荒々しくざらついたギターと突進するようなスピード感で、今もパンクの金字塔とされています。1979年の3rd『マシンガン・エチケット』には、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTのバンド名の由来となったエピソードも。

 この3rdアルバムの収録曲「スマッシュイットアップ」は、哀愁のギターで徐々に盛り上げていくParts 1に続き、アップ・テンポなParts 2では、パンクのエネルギー全開でタイトル通りの“ぶっ壊せ”が繰り返し叫ばれます。既存の価値観を壊し、新しい一歩を踏み出したい人にぴったりの曲です。なお、結成50周年の幕開けとして、1月26日には、昨年亡くなった創設メンバー、ブライアン・ジェイムスに捧げるカヴァー・アルバム『Not Like Everybody Else』もリリースされます。




ザ・クラッシュ「しくじるなよ、ルーディ」
 ザ・クラッシュは、レゲエやスカ、ロカビリーなどを取り入れ、パンクの枠を超えた音楽性で人気を獲得。2002年にはロックの殿堂入りも果たしました。彼らの多様な音作りを象徴するのが、1979年末の3rd『ロンドン・コーリング』。パンクの形骸化に新たな方向性を示しつつ、反体制や人種問題など社会的テーマに向き合った歌詞で、後続バンドに大きな影響を与えました。

 5曲目「しくじるなよ、ルーディ」は、陽気なホーンが彩るレゲエ調の一曲。“ルーディ”=不良少年を主人公に、「真面目に働け!」と説教する大人たちに向けて、威勢よく言い返すも人生の目的を探す若者の姿が描かれます。ジョー・ストラマーの歌詞からは、勤勉を美徳とする社会に挑む彼らの自由で明るいライフスタイルへの共感と、温かい励ましが感じられ、特にこれから成人を迎える人たちの背中を軽やかに押してくれるでしょう。




バズコックス「エヴリバディーズ・ハッピー・ナウアデイズ」
 バズコックスは、ポップでクセになるメロディとスピード感、そこに弱気な主人公の心情が重なる“屈折した明るさ”が魅力のバンド。1979年のシングル「エヴリバディーズ・ハッピー・ナウアデイズ」は、オルダス・ハクスリーのSF小説『すばらしい新世界』を引用し、“みんな幸せ”という表向きの明るさの裏に潜む皮肉を描いた名曲です。欲しいものは手に入らずうんざりしているのに、周囲は妙に幸せそうに見える――そんな違和感をポップなサウンドにのせて歌い、最後には「人生は幻想ではない 愛は夢ではない」と本当の幸せに気づく瞬間で唐突に終わります。日々にくじけそうな時でも、少し斜めから自分を眺める余裕をくれる、ひねくれた前向きさが魅力です。同曲はシングル集『Singles Going Steady』やベスト盤『バズコックス・ベスト』などに収録されています。

 なお、ダムド同様、バズコックスも今月ニュー・アルバム『アティチュード・アジャストメント』をリリースします。




ブラック・フラッグ「ライズ・アバヴ」
 アメリカでは1976年、ブラック・フラッグが誕生。名門「SST」の設立でも知られるリーダーのグレッグ・ギンのもと、ノイジーなギターと実験性を武器に、社会への怒りを攻撃的に表現するUSハードコアを確立しました。ヘンリー・ロリンズを迎えた1981年のデビュー作『ダメージド』は歴史的名盤で、その冒頭曲「ライズ・アバヴ」はジャンルを超えて無数のアーティストに着火。シック・オブ・イット・オールMxPxといったハードコア勢は勿論、イベイーらクラブ系アーティストまでがカヴァー、さらにはダーティー・プロジェクターズが独自解釈のアルバムを制作するなど、多くのミュージシャンに影響を与えています。

 ほとばしる怒りをのせて突進してくるイントロのギター、重く速いリフ、そして押さえつける社会に「ぶち破れ」と叫び続けるロリンズ。魂を直接つかんで揺さぶる、圧倒的なエネルギーを放っており、年の始めに自分を奮い立たせたい時に最適な一曲です。








リチャード・ヘル&ヴォイドイズ「タイム」
 テレヴィジョンハートブレイカーズを渡り歩き、ツンツン尖った髪型や安全ピンで留めたシャツなど、パンク・スタイルの先駆者としても知られるリチャード・ヘルが1976年に結成したバンド。代表作である1977年の1stアルバム『ブランク・ジェネレーション』は、ニューヨーク・パンクを象徴する名盤として語り継がれています。

 一方、1982年の2ndアルバム『ディスティニー・ストリート』も人気が高く、ロバート・クインの独特のギターが作品全体を彩ります。中でも「TIME」は、明るさの裏に影を落とすギターと、“パンク詩人”ヘルが“時間”について哲学的に綴った歌詞が魅力の隠れた名曲。「時間だけが本当にリアルな歌を書くことができる。人間にできるのは演奏している時の気持ちを伝えることだけ」という一節は、人間の無力さを静かに突きつけ、“時間”という存在に思いを巡らせずにはいられません。前向きな曲ではないものの、“自分を本当に語ってくれる時間をどう過ごすか”を考えさせてくれる、年の始まりに耳を傾けたい一曲です。なお、2ndアルバムは、ニューミックスや修復版をまとめた完全版『Destiny Street Complete』として2021年にリリースされています。






 パンク・シーンはロンドンを中心に1976年後半から1977年にかけて一気に世界へ広がりました。1975年のセックス・ピストルズをきっかけに、1976年には多くのパンク・バンドが誕生します。次回は、その中でも女性メンバーに注目したバンドを紹介します。
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