デビュー5周年を迎えた
1000say、11月17日(火)に行なわれた東京・高円寺「HIGH」公演にはじまり、大阪(11月24日 北堀江「club vijon」)、名古屋(12月1日「ell.SIZE」)と3ヵ所を廻る東名阪ワンマン・ツアー〈NONZOの逆襲〉を開催。これまでの総括にして、これからの意欲をも見せてくれた渾身のステージをレポートします!
-1000say 5th anniversary-
東名阪ワンマンツアー[NONZOの逆襲]
2013年11月17日 高円寺HIGH
〜 オフィシャル・レポート 〜大盛況だった東名阪ツアー
逆襲はまだ始まったばかり 今夏は〈JAPAN EXPO USA〉に招聘されて初のUS公演を実現したほか、大阪、名古屋、仙台など首都圏以外でも精力的なライヴ活動を展開してきた1000say(ア・サウザンド・セイ)。MAN(vo、g)、API(vo、b)、MICHELLE(syn)、NON(ds)からなる男女混合バンドは、着実に活躍の場を“BORDERLINE”を越えて拡げつつある。デビューから5周年を迎えた2013年、彼らは初の〈東名阪ワンマン・ツアー[NONZOの逆襲]〉を行なった。11月17日(日)高円寺HIGHを皮切りに、24日(日)大阪北堀江club vijon、12月1日(日)名古屋ell.SIZE公演で白熱のステージングを披露。さらにツアー前には待望の新曲「SPECTRUM」を、OTOTOYより年内期間限定フリーダウンロードというかたちでリリースしたことも話題となっている。“最近ライヴから足が遠のいている人にも、今の1000sayの音を聴いてほしい”という想いで、あえてフリー・ダウンロードという大胆なリリース形態にしたという。
東名阪ツアーのスタートとなった高円寺HIGH公演は、オープニング・アクト公募で選ばれた
Daft Pixyがホットなステージングで盛り上げた後、ステージ転換中のスクリーンに、昨年秋に〈JAPAN EXPO BELGIUM〉でベルギーに渡った際のドキュメンタリー・フィルムが上映される。MANの「出逢いと感謝に満ちた旅だった」という発言でフィルムが締められた後、本編が「ONE STORY」で幕を上げた!
タイトなNONのドラミングとMICHELLEのシンセが絡み、MANとAPIのツイン・ヴォーカルによるカラフルなメロディが繰り広げられていく。MANのリフ・ワークがインパクトたっぷりの「BORDERLINE」は、まだレコーディングされていない楽曲だが、イントロから“Hi! Hi!”というオーディエンスの掛け声が巻き起こっていた。MCではオーディエンスからの「5周年おめでとう」の声に対して、MANが「音楽でみんなの期待を確信に変えていきたい」という強い言葉を語ったが、着実に1000sayの新たな音は浸透しつつあるのを体感。
さらに「BRAND NEW WORLD」「PHANTOMAGIC」「HANE」と、現時点での最新アルバム『APOLLON』のキラー・チューンを立て続けに披露。その熱狂の後はニューウェーヴィな変拍子リフが炸裂する新曲「FIFI」をプレイ。赤一色に染まった情熱的な照明演出の中、MANのカッティングとヴォコーダー処理されたヴォーカル、MICHELLEのモジュレーション・シンセ、API&NONの女性リズム隊によるアグレッシヴでトリッキーなリズムが放たれる。
「WONDER」では、日本初のアプリ・シングルとなった「HANE」のPVを手掛けたスギモトトモユキのVJが加味された。ステージのスクリーンに12星座が浮かび上がり、APIがスタンド・マイクで透明感あふれる歌声を披露。そこにMANのラップが絡み、NONのどっしりとしたドラミングが重なると、それまでの軽やかな音世界が一変する。また「CANARY -KAZE NO TANI Remix-」、アンコールの「FREEZE」などでは、ベースを置いてステージを舞うように歌うAPIの姿も印象的だった。
「サジタリウス」でもスギモトトモユキのVJにより射手座の映像が映し出されて、MANの愛器ジャズマスターによるトレモロリフや刻み、柔らかなアルペジオのフレーズが連なり、ファンタジックな物語が紡がれていく。シンプルながらもブリッジを担うギター・ソロの色彩感も印象的だった。そしてMANとAPIのデュエットが魅力の「BASKET SHOES」でフロアはジャンプ大会へ。みんなタオルを振り回し踊りまくる! 間奏におけるMICHELLEのオカリナ・ソロも大きな見せ場に。
終盤の「SPECTRUM」ではサプライズ・ゲストのコーラス隊として、レコーディングで参加した天田優子(joy)、MAYUMI YAMAZAKI、KOHJIRO(The KAH)、Shingo Maeda(
birds melt sky)、ナガオ タツキ(
nano sound museum)という、1000sayとリスペクトし合うミュージシャンが集結。コーラス・パートで華を添えた。さらにアンコールの「PRIZM」もゲストでTadahiro(HANABI / ex-Addy)が登場。彼のギターをフィーチャーしてMANはスタンド・マイクで歌い上げた。そしてスクリーンには近年の1000sayの足取りが確認できる、様々なライヴ写真やオフショットが次々に映し出されていく。その中で巻き起こったラララ……の大合唱に“「PRIZM」は1000say流のゴスペルなんだな”という感想を抱いた。
終演後、MANに話を聞いたら「〈SPECTRUM〉をレコーディングしたことで、制作意欲に火が付いちゃって。『APOLLON』から2年経っちゃったし、2014年は制作の年にしようと思うんですよ」との発言が。デビュー5年における総括とともに、東名阪ツアーはまさにこれからの1000sayが向かう道も垣間見せてくれた。1000sayは“BORDERLINE”を超えて、ロックシーン、ポップフィールドにおける“BRAND NEW WORLD”を確実に具現化しようとしている。(text:Player 北村和孝 / photo:奥 世紀人)