全国の劇場・音楽堂、芸術団体等が連携し、単館では成しえない、独創的かつ高いレベルのオペラを新演出で制作するプロジェクト「全国共同制作オペラ」。2009年以来、さまざまな作品を上演してきたこのプロジェクトが2026年度に取り組むのは、
ヴェルディの歌劇『イル・トロヴァトーレ』です。演出は、繊細な心理描写で作品世界を立ち上げる髙岸未朝。イタリア語で上演され、日本語・英語の字幕が付きます。上演日程は、10月18日(日)石川・金沢歌劇座、11月8日(日)大阪・枚方市総合文化芸術センター、11月21日(土)東京・池袋 東京芸術劇場、11月29日(日)新潟・新潟県民会館。髙岸未朝からのメッセージが公開されています。
ヴェルディ:歌劇『イル・トロヴァトーレ』は高度な歌唱力が要求されるため、国内での上演が比較的少なく、貴重な機会となります。吟遊詩人マンリーコ、彼を愛する貴婦人レオノーラ、そしてレオノーラに執着するルーナ伯爵。壮絶な過去を背負うジプシーの女アズチェーナ。身分や運命に翻弄される人々の愛と復讐を描いたドラマティックな物語が展開され、複雑に絡み合う運命が思いもよらぬ悲劇へと導いていきます。
指揮には、経験豊富な飯坂純と、若手世代を代表する実力派指揮者・熊倉優が登場。本作はヴェルディ中期の代表作として知られ、情熱的で劇的な音楽が連続することから、世界中の歌劇場で繰り返し上演されてきた人気作です。とりわけ有名な合唱曲「鍛冶屋の合唱(アンヴィル・コーラス)」をはじめ、オペラ史に残る名曲の数々が物語の世界へと引き込みます。愛と復讐、そして運命が交錯する壮大なドラマと、心を揺さぶるヴェルディの名旋律を楽しめます。
[メッセージ] ひと言で〈オペラ〉といっても様々ありますが…『イル・トロヴァトーレ』は「血湧き肉躍る」タイプの最高峰、間違いなし!オペラ王とも呼ばれた巨匠ヴェルディは、力強い旋律を駆使して深い人間ドラマを描くことを得意としましたが、この作品を作曲した頃には怪奇的な事柄にも魅了されていた模様~。話の筋は強烈な愛憎劇ですが、ちょっぴり不気味に異国風で、ちょっぴり新しかったこの作品は、当時のイタリアで大喝采を浴びてブレイクしたそうです。結末では、あえて僅(わず)かな謎をそのままに、音楽を味方として突然の衝撃を喰らわせます。このことによって、観客を茫然と劇世界にとり残す~という新手の技をやってのけたのです。さすが巨匠です!
今回は、これ以上望めないという素晴らしいソリストの皆さんが集結しました。巨匠の音楽の真髄を力強く披露してくれることでしょう。それぞれの会場で彩りの異なるオーケストラ&合唱団にもご期待ください。そして、芸術的センスあふれるスタッフと共に、この名作の「素顔」を、決して厚塗りで変貌させるのではなく存分に活かした拵こしらえで装ってみたいと思います。170年以上前に作曲され、いまなお全く色褪せない『イル・トロヴァトーレ』…オペラならでは、というワクワクする舞台になること、請け合いです。愛の旋律と憎しみの炎が交錯する、血の宿命の物語!
~ぜひ、目の当たりにしてください。劇場にてお待ち申し上げております!!――髙岸未朝