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鞘師里保、全国ツアー・ファイナル公演にて新曲を初披露 「自分が信じたものをちゃんとやっていこう」

鞘師里保   2023/11/06 18:00掲載
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鞘師里保、全国ツアー・ファイナル公演にて新曲を初披露 「自分が信じたものをちゃんとやっていこう」
 2023年9月から、全国7都市9公演で行なわれた鞘師里保の全国ツアー〈RIHO SAYASHI 3rd LIVE TOUR 2023 whynot?〉が、11月3日、東京・豊洲PITにてファイナルを迎えました。

 スペシャルな演出も用意された最終公演では、ツアー中に発表された2曲の新曲とはまた別の未発表曲「Hi(gh) Life」もサプライズで披露され、鞘師は約1時間45分にわたって約1000人の観客を魅了し続けました。

[ライヴ・レポート]
 今回のツアータイトルとなっている「why not?」とは、「なんでダメなの?(もちろんやるでしょ!)」という意味合いのフレーズ。これまでツアー各公演のMCにて「いくつもの選択肢の中から選んだものがよかったかどうかは、その後の行動で決まることのほうが多い。選んだことを自分がどう形にしていくかだと思うんです。だったら、やりたいことを選んだほうがいいじゃん?……というのを自分のパフォーマンスで表現して、みなさんに届けられたら」と本人が発信していたように、「自分の気持ちに正直なもの」「やってみたいもの」「自分が納得できるもの」を自分の基準で選択していく、という鞘師の決意も同時に表していた。

 そんなツアーファイナルのオープニングを飾ったのは、2022年11月にリリースされた3rd EP『UNISON』から「Stupid」だった。白いシャツにジレを合わせた衣装に身を包み、「why not?」の一言とともにファイナル仕様のステージセットに姿を現した鞘師里保。挨拶代わりに現在の彼女の音楽活動の根本にあるR&Bテイストを全開にした楽曲でクールにタイトにキメつつも、疾走感あるアップテンポなナンバー「Take a Breath」へとつなげて、会場のボルテージをしっかり引き上げていく。ダンサー陣と息の合ったパフォーマンスを見せながら、「ツアーファイナル!みなさん盛り上がってますか!」と呼びかけると、観客もそれに歓声で応える。フロアは冒頭からファイナルにふさわしい熱狂が渦を巻いていた。

 「ついにツアーファイナルです。ここにすべてを置いていかないと後悔してしまう。だから、すべてを出し切ろうと思います。みなさんも同じように楽しんでほしいです。みなさん準備はできてますか?『whynot?』ツアーのラスト。ライブというものはみなさんの協力あってこそ完成するものなので、ぜひ一緒に、私とライブを創ってください!」

 「Melancholic Blvd.」を披露した後、客席に向けてそう軽く挨拶して、レーザーがドラマティックにフロアを切り取る「LAZER」へ。1stライブでのラストソングにもなっていたこの曲を鞘師が熱唱すれば、文字通り熱の入ったパフォーマンスを見せつけられたオーディエンスから思わず声が漏れる。続く「BUTAI」では、ダンサー陣と一糸乱れぬダンスを披露しながら歌唱するという身体能力の高さで客席を圧倒。高みを目指してひたすらに研ぎ澄ますような鞘師里保のステージングを目の当たりにすると、こんなふうに我々は彼女のライブに引き込まれ、いつの間にか彼女から視線を外せなくなってしまう。

 さらに事前にアナウンスされていたとおり、本公演ではツアーファイナルにふさわしいスペシャルな演出も用意されていた。ライブ中盤、鞘師が一度ステージを降りると、代わりに登場したのは、DJ BUDDHAHOUSE。本ツアーでもメドレー(DJ mix)コーナーの音源制作を行なっている彼は、5月にEX THEATER ROPPONGIで行なわれた『RIHO SAYASHI BIRTHDAY Fan Meeting -PLAYGROUND!- vol.2』で、会場をクラブのフロアに変貌させたことも記憶に新しい。そんなDJ BUDDHAHOUSEが本ツアーファイナルのステージにも降臨すると、さっそくクラブ仕様となった「Simply Me」「Melt」でダンサーたちとともにフロアを温める。

 さらに、MA-1をアレンジしたような、オレンジの生地が印象的なアシンメトリーな衣装に着替えた鞘師里保が、シルエットの状態でステージセットの2階部分から再び登場する。そして彼女はステージをところ狭しと動き回りながら、DJ BUDDHAHOUSEのプレイをバックに「MERGE」「Go-by」「Find Me Out」のメドレーでオーディエンスを沸かす。最後の「Baby Me」では、サビの振りを一緒に踊る観客の姿も見られるなど、気づけば鞘師を中心として多幸感に溢れた光景が繰り広げられていた。

 後半に差し掛かり、本ツアーにて発表された2つの新曲から「ラッセ!」が披露される。全体を支配するアッパーなサウンドと、サビの「ラッセ!ラッセ!ラッセ!」というキャッチーなフレーズ、そしてパワフルな振り付けの組み合わせが強烈なインパクトを与えるライブ映え必至な作品だ。この曲でオーディエンスもガッツリと巻き込んで、カラフルな照明に染められた会場はまるで“御祭り騒ぎ”のような盛り上がり。これこそまさに鞘師が本公演に求めていた一体感の具現化といったところで、本人もパフォーマンスをしながら、ついつい笑みがこぼれてしまっていた。

 ライブで鉄板曲となっている「DOOM PA」でもうひと盛り上がりをしたのち、鞘師は今回のツアータイトルに込めた想いについて語り始める。ツアータイトル『why not?』とは、「なんでダメなの?」という直訳的な意味のほかに、「なんでダメなの?……もちろんでしょ!」「そんなの聞くまでもなくOKだよ」というようなポジティブにもなる要素を持った言葉であること。そして今、鞘師里保としてファンに見せたいもの、聴いてほしいもの、チャレンジしたいものの幅が確実に広がっていること。同時に、自分の新しい表現やチャレンジに対して、みんなからどう思われるか不安になることもある、ということ。

 「この言葉(=『why not?』)は、私自身が何か選択に迷った時に、『誰かがどう思うとか、そういうのを考えすぎずに、自分が信じたものをちゃんとやっていこう』という、自分自身の背中を押すような言葉になってくれるのではないかと思います。同時にみなさんにも、『鞘師がそんなふうに考えているんだったら、自分もやってみたいことに対して、鞘師と同じようにやってみよう』って背中を押せるような、そんなアクションを送ることができればいいなって思っています。そういう心持ちだというのを、私の言葉でも、パフォーマンスでもみなさんにどんどん届けたい。そういう姿を見てもらい続けたいし、せっかくみんなで歩くなら、せっかく時が進むなら、一緒にいい方向に進んでいきましょう」。

 本編ラストに用意されていたのは、そんな鞘師の新しいチャレンジともいえる、ピアノと鞘師のボーカルをフィーチャーしたパフォーマンス。本ツアーでピアノアレンジを手掛けたピアニストの鈴木瑛子をゲストとして呼び込むと、鞘師はダンスを封印し、自身の歌声だけを使った表現に挑む。ステージ下手に設置されたキーボードで鈴木が奏でる流麗なピアノの音色。センターでスポットライトに照らされた鞘師は、客席を端から端まで視線を配りながら、鈴木の音の上に自信の歌声をそっと乗せるように丁寧に歌い始める。そうして披露された「あの日約束したから」と「Winding Road」は、歌声という武器のみを手にした表現者・鞘師里保の生き方や覚悟を体現していたかのよう。歌というものに真正面から対峙し、感情や想いをぶつけるパフォーマンスに、オーディエンスは息を呑む。

 そして次の瞬間、割れんばかりの拍手と歓声が、鞘師里保に贈られていた。

 本編が終了し、ステージが暗転するやいなや、即座にアンコールが巻き起こる。そしてツアーTシャツに着替えた彼女たちが披露したのは、松隈ケンタが提供したというもうひとつの新曲。飛んで跳ねて歌い踊る鞘師のシャウトが客席を煽れば、4人のダンサーたちもキレッキレのダンスで楽曲をアグレッシブに彩っていく。なお、これまで「タイトル未定の曲。ツアーファイナルまでにはタイトルを決めようと思っています」と紹介されていたこの楽曲だったが、口から「タイトル、決まりました。こちらの曲は『DARK SIDE』という曲になります」と明らかにされると、観客は曲中に出てくる“Welcome”ポーズを形作ってタイトル決定を喜んでいた。

 さらに鞘師は、「みんなでぶち上げて終わりましょう!」と客席に呼びかけて「WE THE ONES」を披露する。ツアー全体を締めくくる最後の曲ということで、鞘師もダンサーも悔いのないよう激しく体を揺らして力の限りのパフォーマンスで魅せる。そして3rdツアーに対する手応えを確かめるように手を振る鞘師里保に向けて、観客からの称賛と喝采がシャワーのようにいつまでも降り注がれていた。

 なお、本ツアーでは各地アンコールで公演は終了だった。だがしかし、そこはツアーファイナル。アンコールが終了しても鳴り止まない拍手とコールに応えるために、ダブルアンコールのサプライズが準備されていた。

 暗転していたステージに再び照明が灯り、鞘師がもう一度姿を見せる。ただ、そこにあったのは、錚々たるアーティストや俳優を手掛けるスタイリストの藤本大輔氏がスタイリングした、大胆なステッチが入ったジャケットと形は歪だがドレッシーなオーガンジーのシアジャケットを組み合わせて“脱皮への渇望”をイメージしたという衣装をまとった鞘師の姿。想定外の展開に観客からはざわめきが起こり、彼女の口から何が語られるのかに注目が集まる。

 「みなさんに感謝の気持ちを込めて、もう1曲、新曲を歌います。新しい挑戦の始まりを告げる1曲になると思います。みなさん、スマホ持ってますか?スマホのライト、点けられますか?ライトで照明を作ってほしいんです。私が歌っている間、その光を灯しておいてほしいんです。みなさんの光の中で歌わせてください」

 鞘師からのお願いに応えるように、オーディエンスはそれまで手にしていた赤いペンライトの光から、スマホの白い光へと持ち替える。観客もまた、ライブを構成する重要な要素のひとつ。昔から言われ続けてきたそんな言葉の意味を強く意識せずにはいられない、観客のスマホライトによるライブ空間の構築というチャレンジだ。

 ダブルアンコールで突然披露された新曲「Hi(gh) Life」は、日本および日韓のトップグループにも楽曲を提供するなど音楽シーンで注目を集め、DURDNのメンバーでもあるトラックメイカー・SHINTAとトップライナー・yaccoからなるプロデュースユニットtee teaによる提供となっている。そんな彼らが鞘師に用意したのは、これまでの彼女の楽曲ラインナップにはなかったチルな1曲。鞘師は、真新しい洋服に袖を通すようにこの曲に心地よく身を任せながら、ステージセットの階段に腰を下ろして歌い上げる。トップライナーのyaccoが紡いだメロディーラインは、鞘師里保のエモーショナルな側面を引き出して、薄暗いステージのライトとレーザー演出の中でドラマティックな音の響きを残り香のようにオーディエンスに記憶させる。そんな印象的な1曲になっていた。

 これまでとは違う幕の下ろし方を見せた、鞘師里保の全国ツアー『RIHO SAYASHI 3rd LIVE TOUR 2023 whynot?』ファイナル公演。新鮮な感覚と、彼女から「why not?」の意味を受け取った観客からは、いつまでも惜しみない拍手が寄せられていた。

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RIHO SAYASHI 3rd LIVE TOUR 2023 whynot?
[セットリスト]
OP SE
M-1 Stupid
M-2 Take a Breath
M-3 Melancholic Blvd.
MC
M-4 LAZER
M-5 BUTAI
DJ/DANCERインターバル
M-6(メドレー) MERGE 〜 Go-by 〜 Find Me Out 〜 Baby Me
MC
M-7 ラッセ! ※新曲
M-8 DOOM PA
MC
M-9 あの日約束したから(ピアノver)
M-10 Winding Road
EN1 DARK SIDE ※新曲
MC
EN2 WE THE ONES
W-EN1 Hi(gh) Life ※新曲(初披露)
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