2025年1月に幕張メッセで開催された〈rockin'on sonic〉のヘッドライナー公演を大成功させ、大きな話題を呼んだ
パルプ(Pulp)。この度、マーキュリー賞に輝き全英1位を獲得した1995年作『
コモン・ピープル(原題:Different Class)』のリイシュー盤を10月24日(金)に発売することを発表しました。
4LPと2CDの各フォーマットでリリースされる今回のパッケージには、アルバム本編に加え、語り草となっている1995年の〈グラストンベリー・フェスティヴァル〉での演奏も完全収録。グラストンベリーでの彼らのパフォーマンス全編が音盤化されるのはこれが初めてとなります。
パルプは、最近でもアルバム『
モア』を全英1位に送り込み、イギリスとアイルランドでのアリーナ・ツアーも成功させました。さらには、ヨーロッパのいくつかのフェスでヘッドライナーを務めたほか、今年の〈グラストンベリー・フェスティヴァル〉でもイベントのハイライトとなるパフォーマンスを見せたばかり。すでにこの1年はグループにとって非常に特別なものとなっていますが、それに加えて『コモン・ピープル』のリイシューという嬉しいニュースが舞い込んできました。
ジャーヴィスは、この新たなパッケージでのアルバムの音質の向上ぶりについてこう説明しています。「45回転盤2枚から成るこのヴァージョンは、『コモン・ピープル』の音質を大幅に向上させる。当時の僕らは、これがパルプの“ポップ・アルバム”だということにこだわっていた(シングル〈コモン・ピープル〉がヒットして、僕らはようやくある程度“ポピュラー”になっていた)。そしてご存じの通り、ポップ・アルバムというのは総じて各面6曲ずつの計12曲で構成されるものだ。そこで1つ問題が生じた――そうすると、レコード1枚の再生時間が53分になってしまう。この長さだと、アナログ・レコードの音質を損なうと僕らは忠告された。だが当時の僕らにとっては、ようやく掴みつつあった“ポップ・ドリーム”の質を損なうことの方が問題だったのだ。だがそれから30年が経った今回、ようやく『コモン・ピープル』を最高の形でお聴かせできるときが来た。まさに“別格(different class)”の仕上がりである」。
「1995年6月のグラストンベリーでのパフォーマンスは、これからもパルプ史上もっとも重要なコンサートとして語り継がれていくだろう。あれは〈コモン・ピープル〉が全英チャートで2位になって3週間後のことで、僕らは急遽ストーン・ローゼズの代役で出演することになった。〈ソーテッド・フォー・イーズ・アンド・ウィズ〉、〈ミス・シェイプス〉、〈ディスコ2000〉はどれもあのときがライヴ初披露だった。今回のパッケージには、そのコンサートの(ドローン音が鳴り響く長いイントロも含めて)全編が初めて収録される。歴史的瞬間を追体験できるというわけだ」。
パルプは1978年、シェフィールドの学校に通っていた当時15歳のジャーヴィス・コッカーが結成したグループ。1983年から1992年までのあいだにファイア・レコードから3作のアルバムをリリースしたのち、90年代半ばにアイランド・レコードから発表した『
彼のモノ♥彼女のモノ(His 'n' Hers)』(1994年)で知名度と商業的成功を手にしました。
それに続くアルバム『コモン・ピープル』(1995年10月30日発表)は、批評面・商業面で大成功を収め、1996年のマーキュリー賞を受賞したほか、全英アルバム・チャートで初登場1位を獲得。これによりパルプは世界的な称賛を浴びることとなりました。また、同作からは「コモン・ピープル」、「ミス・シェイプス / ソーテッド・フォー・イーズ・アンド・ウィズ」(いずれも全英2位)、「ディスコ2000」(同7位)という4曲のトップ10シングルも誕生。このアルバムはこれまでに英国内で140万枚以上、その他のヨーロッパ各国で100万枚以上を売り上げています。
そして、同アルバムがリリースされる約4ヵ月前の6月24日土曜日、グループは〈グラストンベリー・フェスティヴァル〉のピラミッド・ステージでヘッドライナーを務め、圧巻のパフォーマンスを披露していました(直前になってストーン・ローゼズの代役で出演することになった)。今回、当時を代表する名作として名高いアルバムの30周年を記念して、その伝説的なライヴの音源がアルバム本編のリマスター版とともに初収録されます。
頑丈なスリップケースに収納される4LPのデラックス・エディションには、28ページの充実したブックレットが付属。そこにはバンド・メンバーへの新規インタビューを中心とした書き下ろしエッセイのほか、写真家のランキンやドナルド・ミルン(オリジナル盤の写真を撮影)、グループのアーカイヴから提供された多数の未公開写真が掲載されます。他方、もともとオリジナルのアナログ盤のジャケットは、“アパーチュア・スリーヴ”仕様のデザインになっていました。日常の様々な場面を切り取った写真の中にメンバーたちの白黒パネルを配置した“別ジャケット”のインサート / アート・カードが両面刷りで6枚付属することで、購入者が“自分で表ジャケットを選べる”ようになっていたのです。この4LP版ではそのデザインが完全再現されているほか、白黒パネルのミニチュアがデザインされた12x12インチのポスターも付属。ファンはそのミニチュアを切り取って、好きな背景に配置することもできます。また、デジスリーヴ仕様の2CD版にも28ページのブックレットが付属します。
ジャーヴィス・コッカーとマーク・ウェバーの監修のもと、本パッケージのリマスタリング / マスタリング(及びラッカー盤へのカッティング)を担当したのは、アビイ・ロード・スタジオのジェフ・ペッシュ。彼は30年前にケヴィン・メトカーフとともに『コモン・ピープル』のマスタリングを手がけていた張本人です。
2013年、NMEは「史上最高のアルバム500選」でこのアルバムを6位に選出。ローリング・ストーンは同じく「史上最高のアルバム500選」の2020年改訂版でこれを162位に据えています。
“僕らは揉め事を起こしたいわけじゃない。他人と違うことをする権利がほしい、それだけだ。(We don't want no trouble. We just want the right to be different. That's all.)”
“滑稽で、驚くほど猥褻で、まったく罰当たりで、そしてもちろん、とてつもなく、強烈なほどポップ!……『コモン・ピープル』は巧みに作り込まれ、ムード満点で、時に密やかで、概ね騒がしく、自信に満ちた作品だ”――NME©Mark Rankin