1999年にともさかりえに提供した「カプチーノ」では心の鐘を鳴らすかのようにチューブラーベルをチャイムマレットで叩きながらホーンセクションと合奏。コケティッシュでチャーミングな歌唱で観客の心も弾ませると、同年リリースの1stアルバム『無罪モラトリアム』収録の「茜さす 帰路照らされど…」では一転して、アーバンソウルのようなムードの中で、恋に落ちた喜びではなく、切なさを表現。そして、石若によるドラムソロから、再び、ともさかりえ「少女ロボット」のセルフカバーは、アップテンポのジャズへとアレンジし、椎名は扇で口元を隠しながら囁くように歌唱。ハードバップ時代のジャズメンのような熱い演奏からアフロキューバンのリズムを挟み、東京事変「化粧直し」は、アコギとオルガン、コントラバス、ブラシ奏法のドラムがボサ・ノヴァのリズムを奏で、スタンダードナンバー「cry me a river」では、孤独感の際立つピアノの独奏に哀しく唸るようなヴォーカルを重ねると、ストリングスとホーンも加って、サウンドのスケール感はダイナミックに拡大。椎名は床にペタンと座り込んで歌い切ると、一旦ステージを後にした。川ができるくらい泣き明かした失恋ソングをもって第一幕は終了した事になる。
バンドメンバーとホーン隊がステージを去ったあと、椎名はパウダーピンクのガウンを羽織ってピアノの前に座り、バレエダンサーの首藤康之に密着したドキュメンタリー映画のテーマソングとして書き下ろしたインストナンバー「Between Today and Tomorrow」を演奏。ストリングスとの会話を楽しむかのようにピアノを弾くと、「はぁ……」というため息とガウンを残してステージから姿を消した。赤いジャージに着替えたバンドメンバーによる「覚め醒め」を挟み、ライブは第2幕から第3幕へと突入していく。