最新作
『グッバイ・ララバイ』を引っさげ、
アヴリル・ラヴィーン(Avril Lavigne)が実に3年半ぶりとなる単独来日公演<AVRIL LAVIGNE〜The Black Star Tour2012>をスタート! 初日となった2月4日(土)、さいたまスーパーアリーナ公演の模様をお届けします!
AVRIL LAVIGNE〜The Black Star Tour2012
2012. 2. 4 さいたまスーパーアリーナ
〜 オフィシャル・レポート 〜 <SUMMER SONIC 2011>で入場規制となるほどの観客動員を記録してから半年、最強無敵のロック・プリンセス、アヴリル・ラヴィーンが、アルバム『グッバイ・ララバイ』を携えた<The Black Star Tour>で日本に帰ってきた。
そのツアー初日。会場は約1万5000人のファンでギッシリ。ツアー名にちなんで販売されている星形ライトが人気のようで、アリーナ全体がまばゆいグリーンの光できらめいている。そこにフレンドリーな笑顔で登場したのが、オープニング・アクトをつとめた
阿部真央。まずは彼女の堂々たるステージに拍手を送りたい。ハートフルにしてロックな気概を伝える見事なパフォーマンスで、巨大な会場の温度を一気に上げてくれた。
そして悲鳴のような大歓声が巻き起こる中、いよいよアヴリルの登場だ。この日は、Abbey Dawnの黒のタンクトップに、黒のスキニーなパンツ、スタッズがあしらわれた黒のロング・ブーツというスタイル。ロックです。クールです。
ツアーはまだ続くので、セット・リストの詳細を明かすことは避けるが、ライヴ本編は大きく分けると、シング・アロング&ジャンプで会場がひとつになって盛り上がるアッパーなセットと、対照的にじっくりしっとり聴かせるバラード・セット、その両極端な楽曲を交互に繰り出し、ジェットコースターのように感情を揺さぶるトドメの(!?)セットの3部構成。『グッバイ・ララバイ』の楽曲を軸に、過去作の代表曲、さらにはカヴァー曲が絶妙に織り交ぜられていて、攻撃モードのアヴリル、ハッピーなアヴリル、切ないアヴリル、恋焦がれるアヴリル……と、彼女のアーティストとして、またいち女性としてのあらゆる魅力がたっぷりと堪能できた。
加えてこの初日は、ビッグなサプライズが用意されていた。大ヒット曲「ワット・ザ・ヘル」を、アヴリルは日本が誇る和太鼓パフォーマンス集団、“無限-MUGEN-”の演奏に乗せて歌ったのだ。前日にTV番組の企画で、“無限-MUGEN-”の指導のもと和太鼓に挑戦し、その勇壮な響きに魅了されたアヴリルが、自ら交渉して実現したのだとか。“「ワット・ザ・ヘル」に和太鼓?”と思うかもしれないが、これが何とも素晴らしいマッチングで、ちょっと泣きそうになってしまった。アンコールでは、アヴリルが「緊張するなあ」と言ってアカペラを披露し、ファンもアカペラの大合唱で応える感動的なシーンも。そして最後にはなんと、アヴリルが客席に降り、次々にファンと握手しながら歌うという、さらなる感動が待っていたのだった。日本語MCもすっかり上手になったアヴリルだが、英語でも日本語でも、日本のファンを愛する気持ちと、熱いサポートに対する感謝の気持ちを、何度も何度も口にしていたのが印象的だった。とりわけ、「シーッ!」と言って会場が静寂に包まれる中、わざとマイクから離れて大声(日本語)で「ミンナサイコー!」と叫んだ場面には、彼女の文字通りの真心が込められていたように思う。
あっという間の90分。デビューから10年間の軌跡がギュッと凝縮された、観ごたえのある濃密なライヴだった。美しい進化を遂げ続けてきたアヴリル・ラヴィーンが、次にどういう姿で日本に戻ってきてくれるのか、早くも楽しみで仕方がない。(文:鈴木宏和)