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スーパー・バンドTHE WINERY DOGS、間もなくジャパンツアー・ファイナル

2016/04/21 13:39掲載
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 元POISONMR.BIGRichie Kotzen(g)、元MR.BIGのBilly Sheehan(b)、元DREAM THEATERMike Portnoy(dr)というロック界のヴィルトゥオーソ3名によって結成されたスーパー・バンド“THE WINERY DOGS”が、4月15日の大阪公演より昨年リリースされた2ndフル・アルバム『Hot Streak』を携えてのジャパン・ツアーをスタートしました。

 4月15日の大阪・浪速 Zepp Nambaからスタートしたツアーは、17日は広島・BLUE LIVE HIROSHIMA、18日には愛知・名古屋 BOTTOM LINEを回り、20日には東京ドームシティホールでの公演を開催。残すところ東京・三軒茶屋 昭和女子大学 人見記念講堂での公演のみとなっています。当日券情報等、詳しくはウドー音楽事務所オフィシャル・サイトにてご確認ください。

[オフィシャル・ライヴレポート]

 THE WINERY DOGS2回目のジャパン・ツアー。アルバム『HOT STREAK』を引っさげての凱旋ツアー。公演は初来日時、まさかのライヴ初演だったことが当日発覚した記念の地、大阪からスタート。短期の休みが入ったため、休み明け一発目ギグだったこともあり、若干様子見モードからスタートし、途中から全開モードに突入。初来日、大阪公演の3人揃っておっかなびっくり感は全くなく、余裕かました爆音サウンドが鳴り響く、いい感じの仕上がり具合を見せた。

 来日した日に起きた熊本での震災を受け、移動スケジュール等に大きな変更はあったものの、来日経験豊富な3人は落ち着いたもので、17日、日曜日には舞台を広島に移し、まだ陽に高いうちからShow#2。会場の天井が低めなせいもあり、観客の歓声がひときわ大きく響く構造に影響されたか、出だし思い切りつんのめった、走り気味でスタート、中盤はちょっと乱れる場面もあり、逆にあんまり観ることのできない、アップ・ダウン両方ありのショウとなった。

 オープニングの「オブリヴィオン」のフラッシーなイントロは軽く合わせるくせに、高校生バンドでもしっかりキメられそうなところで、ズルッと乱れるなど、いやぁ、おぢさん達、一瞬も眼を離せないっすね。毎公演ちょこちょこキメのパターンを変えるマイク・ポートノイに起因するところが大きいのだが、何が何でも全部同じの演奏よりはるかにスポンテニアスで、こういう部分が、基本、毎日同じのセットリストで通しても、その印象は微妙に違うTHE WINERY DOGS固有の面白さを支えているように思う。

 スパークしたのは名古屋公演。決して大きな会場ではなかったものの、サウンドは張りも弾力も申し分ないトップ・ギア・サウンド、ビリーとマイクのアイコンタクトもしっかり機能し、ほぼ全開。好調維持で東京入りした次第。

 
 てなわけで、上り調子で東京入りしたTHE WINERY DOGSは、ビリーさんいわくOne Of The Bestという名古屋公演のノリをそのままにドームシティ・ホールのステージに登場となった。

 各パートのトップ・アーティスト揃いのバンドだけあって、US以外はバックライン機材現地調達となるが、その辺のインフォもちらっと紹介しておこう。ビリーさんは2011年のMR. BIGツアーからエンドースを受けているHARTKEのLH1000(ヘッド)と15inchのスピーカーが1発のみのユニットを使用。Midi音源のフットコントローラー(重低音およびキーボード代わりの部分をフォロー)、ペダル類は最近ビリー・シーン・シグネチャー・モデルを連発中のEBSで固めております。HARTKEのエンドースが始まった頃はサウンドが結構コロコロと変わっていた時期もあったが、ついにベストなセッティングを見つけ出した感じの高音から低音まできっちりと、しかもストレートに出るYAMAHAベース x HARTKEアンプの必勝パターンを体得した模様。迫力はあるが実は全部それだと意外とコントロールしづらい15inchスピーカーのみの壁から自在なサウンドを叩き出す様はさすが!

 一方のリッチーはアメリカで使っているマーシャルと若干トーンが異なっていたらしいアンプに最初の2公演くらいちょっと手こずっていたようだが、この問題も名古屋あたりでほぼ解決。こちらも鳴りの良いサウンドメイクをしっかり確立していた。

 毎回、セッティングが微妙に変わるマイクは、インチとしてはあまり大きくないが、胴は深めのバスドラ、タムの数は一時期減っていたが、再びメロタムも登場し、賑やかなセッティングに回帰。ライヴを観た人の中にはカウベルが鳴っているけど手が動いていなくて変だと思った人もいるかと思うが、足元をよく見ると、フットペダルが付いているカウベルがあったりと、相変わらず色んな仕掛けを用意していた。

 ドームシティ・ホールは、ほぼ定時開演だった前3公演と異なり、珍しくちょっと押して始まった。今回はフィックスされたセットだったため、オープニングは他公演と同じく「オブリヴィオン」でスタート。ツアー初期段階にアメリカで見た時はあのフラッシーなイントロ部分、特に弦楽器の分離が悪くドよ〜んとした音色だったが、ジャパン・ツアーではしっかり改善され、アルバム・ヴァージョン同様、切れ味鋭いがヘヴィなグルーヴを放射していた。間髪置かずになだれ込む「キャプテン・ラヴ」。オープニングとは正反対にこちらは沈み込むグルーヴ感と叩き付けるかのようなストロークが魅力。対比の妙を見せると同時に、オーディエンスを序盤でしっかり掴む。1stからの「ウイ・アー・ワン」リッチーのMCを挟み、2ndアルバムのタイトル・チューン、ズシリとくるメテル・ファンク「ホット・ストリーク」へと展開。後半の各人ジャブの応酬の中にフックやカウンターをかます後半のファンク・ジャム・パートもしっかり再現。小技のキレも天下一品のマイクの細かい煽りが光った。これもTHE WINERY DOGSらしさ満載の変化球ファンクでは、リッチーのワウ・ペダル・コントロールの妙、エモーショナルなヴォーカル・ワークの妙がしっかりと噛み合い、名古屋同様非常に良い感じのプレイが聴けた。アメリカでは受ける「タイム・マシーン」を挟み今度はマイクのMCタイム。ある程度パターン化しているのだが、人懐っこいMCは良い感じ。

photo ©斉藤美香

 そのマイクのMCに導かれなだれ込むのが、これまたグイグイ前に進むグルーヴ感が気持ち良いファンク混じりの「エンパイアー」。切り返しの小技が効いたサビとの対比、そして最大の聴きものである、リッチーのエモーショナルなソロも日に日に切れ味が増している。おなじみリッチー独り舞台パート、今回のツアーでは「ファイアー」が選ばれた。続く「シンク・イット・オーヴァー」はリッチーのエレクトリック・ピアノをフィーチュアしたソウル・ナンバー。初来日初日の大阪のリハーサルでは「あんた、それで人前で弾くんかい!」と突っ込みどころ満載だった、ピアノの腕前も大幅に向上。ただ、リッチー、エレピに専念のため、アルバムで聴ける切れ味は後退し、ちょっともっさりしたサウンドになっていたし、何回か観ていると、ベース、ドラムが持て余し気味で、耐えきれず小技入れ込もうとして玉砕するシーンもあったりして、逆に突っ込みどころ満載の聴きどころポイントとなっている感じがちょっと楽しかったりするのだ。「ドラム・ソロなんか退屈だから俺はやんねぇ!」と公言して憚らないマイクのスピード感マックスのちょうど良い尺のドラム・ソロ(そうじゃねぇ!とマイクは言うが)がリズムをキープしたまま、1stからの「ジ・アザー・サイド」へと曲はシームレスに切り替わる。これも「エンパイアー」同様、リッチーのエモーショナルかつミステリアスなムードを秘めたギター・ソロが魅力のナンバーだが、ライヴではスタジオ・ヴァージョン以上に強弱を強調し、見せ場を作っていたのだが、あえて苦言を呈せば、ここ、数公演観るとフォーミュラが定着していて、結構、同じパターンだった。こういうところをもう少しフレキシブルかつスポンテニアスに拡大し、各公演独自のジャム展開が見られるようになると良いのだが正直思った次第。CREAMとは時代が違うと言われるだろうが、実はあの「クロス・ローズ」は毎回スピード、グルーヴが異なっていたわけだが、そこまでとは言わないが、毎公演違うパートというのがあっても良いのではないかと思う。今日まで、演奏は非常に安定感があるけども、安定感ってとこにどっかり腰を据えてしまうにはまだちょっと早いように思うのだが……。

 パワーはあるがコントロールが難しい15inchスピーカーという荒馬を上手く乗りこなすようになったビリーさんの貫禄のベース・ソロ(今回は最近開眼したローポジションのソロ・パートあたりに新味ありだった)からショウは終盤。小気味よく拡散して行くビートが心地よい2ndアルバムの人気曲「ゴースト・タウン」から、すでに風格さえ感じさせる、怒涛のロック・タイムに突入する。1stきってのパワー・バラード「アイム・ノー・エンジェル」、マストの一発「エレヴェート」で本編を閉める。

 アンコールは「この人は本当にピアノ弾けるの?疑惑」を呼んだ、1stからのピアノ・バラード「リグレット」。ピアノも歌いっぷりも成長したのう!と思わず納得のパフォーマンス。ラストはこれもやらないと問題が多い「デザイアー」。最初の日本ツアーで形作った途中にSLY & THE FAMILY STONEの「ハイアー」をちらっと挟み込むスタイルを踏襲した拡張ヴァージョンになっているのだが、先に書いたようにここももう少し自由度加えて、毎日変わるアクセントみたいなものがあると更にコクが増すように思うのだが・・・。

 ドームシティ・ホール公演はマイクの誕生日だったため、アンコール終了後、スタッフが用意したドラム型のケーキがステージに運び込まれ、ファンからハッピー・バースデイの大合唱を受けるシーンのおまけつき。マイクは後で結構喜んでいたが、意外と照れてしまうし、リッチー・コッツェンにその場を仕切るというサービスを求められるはずもなく、ビリーさんも演奏を終えた直後で余韻に浸っていたのか、意外とあっさり誕生日セレモニーは終わっちまった! エリック・マーティンならこの場を完璧に仕切るだろうな、と一瞬思いましたね。

 今後の展開はちょっと分からないが、気持ち心配なのは、今回のツアー観ていると安定感みたいなものがでてきてしまったところ。もう少し弾けても良いんじゃないかと思う部分も見受けられた点だ。これだけの芸達者が揃うバンドはそうないわけだし、ファンとしてはもう一歩先の世界を見たいという欲があるだろうし、実際そこに到達してもらいたいものだ。

 そんなこと言っても、リッチー・コッツェンのヴォーカルはさらに進化しているし、今回は出音も良く、充実感はしっかり保証されているし、メイデンもディランも行かん、というならここを観るしかないだろう! と断言できる完成度もそこで乱れるか!と唖然とする茶目っ気もある。良い感じに仕上がってますぜ!


THE WINERY DOGS
Japan Tour 2016

udo.jp/Artists/TheWineryDogs/index.html

2016年4月21日(木)
東京 三軒茶屋 昭和女子大学 人見記念講堂
開場 18:30 / 開演 19:00
前売 S 8,500円 / A 7,500円(座席指定 / 税込)
一般発売: 10月24日(土)〜

※お問い合わせ: ウドー音楽事務所 03-3402-5999
udo.jp
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