2007年のカンヌ映画祭でグランプリを獲得した『
殯の森』や、
樹木希林主演の『
あん』などで知られる映画監督の
河?直美が、オペラ演出に初挑戦。「妙なる調和」「歌に生き、恋に生き」「星は光ぬ」ほかの美しいアリアがちりばめられたプッチーニの『トスカ』を、舞台をローマから古代日本の雰囲気が漂う“牢魔”という名の集落に移して描きます。河?が製作する映像と、ニューヨークを拠点に活躍する気鋭の建築家・重松象平による舞台美術のコラボレーションも見どころのひとつです。
公演は10月15日(日)新潟 りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館を皮切りに、27日(金)・29日(日)東京 東京芸術劇場、11月8日(水)石川 金沢歌劇座、12日(日)富山 魚津 新川文化ホール大ホール、12月7日(木)沖縄 宜野湾 沖縄コンベンションセンターの5都市6公演。
大勝秀也(新潟・魚津・沖縄)と
広上淳一(東京・金沢)が指揮を務め、ルイザ・アルブレヒトヴァ(トスカ)、アレクサンドル・バディア(カヴァラドッシ)、三戸大久(スカルピア)らが出演。全三幕、日本語字幕付きのイタリア語による上演です。
オペラ演出の経験がないわたしにプッチーニのトスカを演出しないかというお話。ああ、オペラはそれほど自由なのかと畏れ入った。「自由」ほど難しいものはないが、演出依頼の理由はこうだ。「主人公初め、主要人物がみんな死んでしまう救いようのない悲劇」そんな異名をもつ本作品に「希望」を与えられる作家だと思うから。大役を仰せつかった。けれど、物怖じしてはいられない。初挑戦に心はたかぶる。そんなこんなでお引き受けしたオペラ演出のお仕事。お仕事とは思えない感情。創作というものの原点に立ち戻るような感覚の中で初めての事柄に右往左往しながら、それでもかの「希望」に向かって突き進むのである。――河?直美Photo by LESLIE KEE