エレファントカシマシのヴォーカル・
宮本浩次が、カヴァー・アルバム『
ROMANCE』に収録された12曲の中から「異邦人」のミュージック・ビデオをYouTubeにて公開しています。
カヴァー・アルバム『ROMANCE』の構想は、ソロ活動をスタートさせた時点で既に宮本の中では固まっていたと言います。そして2020年、新型コロナウイルスの蔓延に伴い、初のソロ・アルバムを披露する場であった全国ツアー〈宮本、独歩。〉が無念の中止。さらに緊急事態宣言が発令され、自粛生活を余儀なくされる中、宮本は独り自身の作業場で歌っていました。エレファントカシマシとしてデビューするよりもさらに前、歌が大好きな“少年・宮本浩次”が親しんでいた楽曲を弾き語り、1日1曲をカヴァーすると自身に課す宮本。作業に没入する中、オリジナルの歌のもつ力、そして歌に登場する主人公たちを愛するあまり、時に号泣しながら歌っていたそうです。
緊急事態宣言が明け、宮本は録りためた弾き語り音源から精選した10数曲を携えて、信頼するプロデューサー・
小林武史のもとを訪れました。これを受け小林はわずか数日で、ほぼアルバム1枚分のアレンジを完成。歌に向かう宮本と小林の、極めて純粋でひたむきな意志に貫かれたコラボレーションとなりました。
さらに、宮本が大好きな歌と公言する「赤いスイートピー」を、やはり信頼を寄せる音楽プロデューサー・
蔦谷好位置にアレンジを依頼。こうして信頼する人たちと厳選と研鑽を重ね、カヴァー・アルバム『ROMANCE』は形となっていきました。収められた楽曲のオリジナルは、すべて女性が歌った楽曲で、1リスナーだった少年時代の宮本が親しんだ楽曲から、今回新たに出会った楽曲までをも含む、いずれも宮本が愛してやまない楽曲が揃っています。
オリジナルの歌に最大限のリスペクトを払いながら、1曲1曲を歌い込んだカヴァー・アルバムは、宮本のもつ歌い手としての力、魅力が、最大限に発揮されたものとなり、プロデューサー陣のアレンジ、ミュージシャンの演奏と相まって、カヴァー・アルバムの最高峰と呼べる作品となっています。
今年3月に発売した1stソロ・アルバム『
宮本、独歩。』には、30年を超えるバンドとしての活動では、やらなかったこと、できなかったことが詰まっていましたが、その意味では本作もその延長線上にあります。“宮本浩次”という、ひとりの歌い手として挑む、初めてのカヴァー・アルバムは、30年を超えるキャリアにしての初挑戦であり、金字塔です。