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ボディ・ミュージックとは?

2006/09/01掲載
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WIRE06に出演するニッツァー・エブが紹介される際、よく使われる“エレクトロニック・ボディ・ミュージック”ってなんですか?
ボディ・ミュージックとは?
 “エレクトロニック・ボディ・ミュージック”とは、電子音楽シーンが停滞していた80年代半ば、電子音楽を躍動する肉体へと引き戻したムーブメント/ジャンル。最近ではDJ HELLのmixCDでこの言葉を知った方も多いかもしれません。“EBM”“ボディ・ミュージック”とも呼ばれますが、“ボディ”で通じるので大丈夫! 技術の進歩により強靭さを手に入れたマシーン・ビート、メタル・パーカッションに叩きつけられるパッションと飛び散る汗、アジるダミ声ヴォーカルのシャウトとまるでゲッターロボ。音の筋肉が硬い「肉体派の音楽」として知られています。(写真は、DJ HELL『Electronic Body House Music』
 


 ルーツを遡れば、スロッビング・グリッスルSPKキャバレー・ヴォルテールなどのインダストリアル・ミュージックや、DAFディ・クルップスアインシュテュルツェンデ・ノイバウテンなどのジャーマン・ニューウェイヴ(ノイエ・ドイチェ・ヴェレ)勢、はたまたキリング・ジョークジョイ・ディヴィジョンスワンズなどのパンク・バンドが挙げられます。中でもDAFがコニー・プランクとともに築き上げた、いわゆるハンマー・ビートの筋肉感は多大な影響を及ぼしたと思われます。DAF直系と言えるディ・クルップスは、電気グルーヴ「オレの体の筋肉は…」の元ネタとして有名ですものね。

 しかし“EBM”への直接の足掛かりを掴んだ作品としては、やはりミニストリーの86年作『トゥイッチ』が挙げられます。後に“EBM”の人気プロデューサーとなるON-U総帥エイドリアン・シャーウッドの変態的なテープ処理が強烈な印象を残すこの作品をきっかけに、世界中で似たスタイルのグループが名乗りを挙げ始め、ついには88年、それらが一堂に会したコンピレーション『THIS IS ELECTRONIC BODY MUSIC』がドイツで発売されます。このタイトルは、同コンピレーションの冒頭を飾った「Body To Body」を演奏するベルギーのフロント242が「肉体大好き、思い切り体を動かそう!」とひろみちお兄さん張りに提唱したものと伝えられています。

 同年、フロント242は“EBM”を確立させた金字塔アルバム『フロント・バイ・フロント』を発表。“EBM”の代表的なレーベルとして挙げられる、ミニストリーのアルやスティーヴ・アルビニなどが出入りしていたことでも知られるシカゴのレコード店WAX TRAX!からのライセンスリリース、日本盤も発売、と盛り上がりを見せ、前年にイギリスのニッツァー・エブが歴史的名作『That Total Age』をヒットさせていたこともあり、シーンが活性化します。第一線では、カナダの悪の化身スキニー・パピー、その元メンバー率いるフロントライン・アッセンブリー、クルト・ヴァイルの三文オペラも演奏する知性派として知られるスイスのヤング・ゴッズ、楽天的なビートが特徴のイタリアのパンコウ、ちょっと稚拙なヤケクソポリティカル歌詞のKMFDM、いち早くブレイクビーツを導入したミート・ビート・マニフェストビョークで知られるONE LITTLE INDIANからリリースしていたイギリスの動物愛護派フィニトライブ、ご存知ナイン・インチ・ネイルズや、ソフト・バレエなど個性的な面々が活躍。次第に方向性も拡散していきます。

 
 また、ジェフ・ミルズケン・イシイ、前出の電気グルーヴ、リンキン・パークなどが公言しているように“EBM”に影響を受けたアーティストは数多く、マリリン・マンソンBUCK-TICKなど直接の関わりのあるものから、90年代以降のいわゆるインダストリアルや、ジーザス・ジョーンズEMFジグ・ジグ・スパトニック、「ロマンポルシェ。」に至るまで、サウンドの根底に流れる“肉体性”において、影響下にあると言えるかもしれません。

 
 “EBM”はロックのスタイルをとってはいますが、エレクトロニクス主体の本格的なダンス・ミュージックを推し進めたという点において、テクノ・ファンも無視できない存在。未体験の方も、今回のニッツァー・エブ来日でそれが体感できるはず。先日のヤング・ゴッズ来日キャンセルにガックシしたアナタも、WIRE06へレッツゴー!です。
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