■Cruyff In The Bedroom「clear light,white cloud」 ギター/ヴォーカルのハタユウスケがご長寿イベント〈Total Feedback〉を主催するなど、日本のシューゲイザー普及にも貢献してきたバンド。初期はトレモロアームを揺らしまくる王道スタイルでしたが、2000年代後半からは多様なジャンルを取り込み、ライドのような蒼い衝動で疾走するロックも持ち味に。「clear light, white cloud」はその過渡期にあたる2008年作『saudargia』収録曲で、揺らめくギターが水面の光やジャケットの乱反射を思わせる美しい一曲です。
■COALTAR OF THE DEEPERS「GOOD MORNING」 91年の結成以来、メタルやジャンク、インダストリアル、ドラムンベースなど多彩な要素を取り入れ、唯一無二の“轟音サウンド”を築いてきたCOTD。中期の99~2001年は特にシューゲイザー色が強く、2001年作『NO THANK YOU』はファン人気も高い名盤。収録曲「GOOD MORNING」は、圧倒的な重さと揺らめくギターリフ、そしてフロントマンのNARASAKIと当時ヴォーカルを務めたイチマキが囁く“希薄な現実感と生への諦念”が心の隙間に入り込む名曲です。
■sphere「long time will tell…」 ZEPPET STOREのギタリスト・五味誠が率いるユニット。2022年にCOLLAPSEのShoko Inoueを新ヴォーカルに迎えて制作した『A Fusion Of Two Hemispheres』のリード曲は、時の移ろいをドリーミーに描いた楽曲。重厚な轟音パートと、水面のように揺らめくサウンドに包まれた歌メロの対比が、強風や寒暖差で揺れる春の空気に寄り添い、不安になりがちな季節にそっと逃避の余白を与えてくれます。
■burrrn「something good」 “和製ソニック・ユース”と称されたデビュー作『blaze down his way like the space show』では、「coming place」や「picture story show」など、ザラついたノイズとトリプルギターの轟音による恍惚感に満ちた名曲を放ちました。長い休止期間を挟み、2024年にはマーク・ガードナーのマスタリングによる13年ぶりの新作『without you』を発表。2025年の配信EP収録のVenus Peterカヴァー「something good」は、原曲の多幸感にMBV「アイ・オンリー・セッド」を思わせる揺らめきを重ね、新たな魅力を引き出しています。
■softsurf「Blue Swirl」 マーク・ガードナーがマスタリングを手がけた1stアルバムで高く評価される名古屋発の5人組。メランコリックなメロディと、無垢で儚い男女ヴォーカルがもたらす陶酔感はこのバンドの大きな魅力です。初期の名曲「Blue Swirl」は、揺らめく轟音ギターと歌メロの調和が美しく、2017年のEP『Into the Dream』に収録。2022年にはSatomiによる新バージョンも配信されています。
■DEATH OF HEATHER「Pretty Things」 バンド名はペール・ウェーヴスのヴォーカルと、ポストパンク・バンド“デス・オブ・ラヴァーズ”に由来するというインディ・ファン心をくすぐる、タイ・バンコク発の4人組。2023年の初来日では解散直前のFor Tracy Hydeとの対バンも実現し、両者のスプリット7インチも話題に。For Tracy Hydeの「Milkshake」がシューゲイズを超えた名曲である一方、DEATH OF HEATHERの「Pretty Things」は、歌詞の“絶望”に呼応する深く揺れる轟音リフが印象的で、一瞬で耳を奪う力を持つ楽曲です。
■COMMEMORATE「See You Again」 昨年来日したbabychairをはじめ、近年盛り上がるマレーシアのインディ・シーン。その中でも2023年にクアラルンプールで生まれた5人組は、澄んだアルペジオと轟音ギターを使い分けた幻想的なサウンドと、Sashaの淡く幽玄な歌声が魅力。1stアルバム収録の「See You Again」は親しみやすいメロディながら、全編を覆うグライド奏法が不安定な揺らぎを生み、幻惑的な音像を形作っています。