年末になるとやたらと耳にするベートーベンの第九。もはや日本の歳末風物詩として有名オーケストラもこぞって演奏会を行ない、1万人で“第九”を歌うコンサートまで繰り広げられ、山下達郎の「クリスマス・イブ」と並んで12月を彩る名曲ですが、そもそもどうして“第九”が歌われるのか……そんな素朴な疑問にCDJournal.com的考察をまとめてみました。
まず手始めに、日本で年末になると歌われる、いわゆる“第九”とは?という単純な疑問から検証してみましょう。
クラシックの曲は色々な楽章から成り立ち、“第九”はベートーヴェン「交響曲第9番ニ短調作品125」の中の第4楽章で、合唱および独唱が導入されている“歓喜の歌”とよばれるパートのこと。4人の独唱と混声合唱で歌われ、ドイツ劇文学作家フリードリヒ・フォン・シラーの詩「歓喜に寄せて」がアレンジされた歌詞になっています。学校の「音楽」の時間に「晴れたる青空〜♪」というフレーズで習った記憶が残っている方も多いのでは?
ではそもそも、誰が年末に第九を歌うことを始めたのでしょうか。実は現在のNHK交響楽団にあたるオーケストラに音楽監督として来日したヨーゼフ・ローゼンシュトック(ジョゼフ・ローゼンストック)が“ドイツでは大晦日に第九を演奏するのが習慣”と紹介したことに端を発し、クラシックの楽曲の中でも特に日本人に人気が高く、演奏会での集客効果が高かった演目だったこともあり、いわゆる“正月の餅代稼ぎ”として定着したとかしないとか。ちなみにドイツでは確かに大晦日に“第九”を演奏しているオーケストラも存在していますが、ヨーロッパではクリスマスの風物詩として人気の高いチャイコフスキー「くるみ割り人形」の方が定番曲されているそうですよ。
また一部では第二次大戦末期に芸大の学生たちが学徒出陣で戦地に赴くことになった人々に向けて歌ったのが12月であり、終戦後に戦没した仲間のレクイエムとしてその後も戦地から帰還した学生たちが歌い続けた、という説もあるようです。
今年も残すところあとわずか。この6月に急逝した指揮者の
岩城宏之氏が、大晦日にチャレンジしていた『もはや、運命。岩城宏之べートーヴェン第一から第九まで振るマラソン。』では深夜0時をまたぐ頃にちょうど“第九”が演奏されていたとか……。今年は岩城氏の追悼公演として、ベートーヴェンの連続演奏会が開催されるそうです。(写真は岩城宏之/N響メンバーによる管弦楽団
『ベートーヴェンの1番から9番までを一晩で振るマラソン』)