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吉川晃司×奥田民生やTUBE×聖飢魔II 異色タッグも生まれた2025年のコラボ作品

2025/12/12掲載
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2025年に発表されたコラボ・ソングにはどんな作品がありましたか?
吉川晃司×奥田民生やTUBE×聖飢魔II 異色タッグも生まれた2025年のコラボ作品
 『FNS歌謡祭』や『18歳』など年末を彩る音楽番組の中でも、定番となっているのがアーティストたちが一夜限りの共演を披露するコラボレーション企画。異なる魅力を持つもの同士が放つ予想外の化学反応は、新たなインスピレーションを得るアーティストにとっても、音楽の趣味が広がるリスナーにとっても楽しいもの。2025年も興味を引くコンビネーションが多数生まれました。
 
 まずは、今年2月に突如発表された、吉川晃司奥田民生による異色ユニット、Ooochie Koochie。ともに80年代にデビューしながら、全くタイプの異なる魅力で住み分けてきた2人の組み合わせに、ロック・リスナーの多くが驚嘆。6月には、広島東洋カープ公認応援歌「OK」や広島弁で歌いきる「ショーラー」など、2人を結び付けた故郷・広島への愛あふれる楽曲が詰まった『Ooochie Koochie』もリリースされています。


 楽しい異色コラボが目白押しのアルバムとしては、TUBEのコラボ・アルバム『TUBE×』も外せません。“夏vs冬”が実現した広瀬香美との「ロマンス・イン・ザ・サン」や、往年のハードロック・マナーにのせて、前田亘輝デーモン閣下が“サメとかけて夏ととく”聖飢魔IIとの「No Shark No Surf -夏地獄-」など、遊び心あふれる楽曲が満載。『Ooochie Koochie』『TUBE×』ともに、年季のこもった個性のぶつかりあいが楽しめ、まさにコラボレーションの醍醐味が味わえる作品と言えるでしょう。

 大きな注目を浴びたのは、米津玄師宇多田ヒカルとの大型コラボでしょうか。劇場版『チェンソーマン レゼ篇』のEDテーマとして、9月に配信リリースされた「JANE DOE」はストリーミングの累計再生回数が1億回を突破。GLAYのデビュー30周年記念ベスト・アルバムに収録された小田和正とのコラボ曲「悲願」やimase松任谷由実による「文通」も、ビッグ・コラボとして話題に。そして、ミッキーマウスの新公式テーマ・ソング「What We Got 〜奇跡はきみと〜」の歌唱を務めることになったKing & Princeとミッキー&フレンズがMVで共演するという、まさに夢のコラボレーションも実現しました。


 演歌界では、三山ひろしDJ KOOによる“けん玉賛歌”「KENDAMA DO DANCE!」や、氷川きよし小室哲哉と組み、氷川きよし with t.komuro名義でリリースした「Party of Monsters」など、相変わらずジャンルを超えたマッチングが人気。

 お笑い界では、チョコレートプラネット×渡辺直美によるユニット“n-choco”とm-floによるコラボ・シングル「ELUSIVE」や、ダウンタウン・浜田雅功湘南乃風がコラボした「人生爆笑」など、フェス映えしそうな楽曲が生まれました。ちなみに、浜田雅功が歌った小室哲哉プロデュースの90年代クラシック「WOW WAR TONIGHT」は、今年、小室哲哉とラッパーのt-Ace、新世代シンガーのAICOのコラボにより公式カヴァーもリリースされています。


 日本人アーティストの国境を超えたコレボレーションにも目を向けてみます。米国のヘヴィメタル・バンド、ファイヴ・フィンガー・デス・パンチが、20周年を記念してBABYMETALとのコラボで再録した「ジ・エンド (2025 Version)」は世界中で大ヒットを記録。新しい学校のリーダーズと韓国のクリエイター集団Balming Tigerとのコラボ・ソング「Narani Narani」も、日本において韓国オルタナ勢の人気も定着してきた2025年を象徴する一曲。日本のシティ・ポップに影響を与えた伝説的グループ“ザ・フィフス・アヴェニュー・バンド”のピーター・ゴールウェイ佐橋佳幸のコラボ・アルバム『EN』のリリースも、70年代シンガー・ソングライター・ファンにとっては嬉しい事件でした。近年静かに盛り上がるアンビエント〜ニューエイジ・ブームを象徴するように、作曲家・打楽器奏者の高田みどりと、ECMの看板ギタリストのヤコブ・ブロによるコラボ作『あなたに出会うまで』もリリース。幾田りらが、スペインのシンガー・ソングライター、パブロ・アルボランのアルバム『KM0』とフランスのラッパー、オレールサンのアルバム『La Fuite En Avant』にそれぞれ客演参加したニュースも記憶し新しいところです。

 海外シーンでは、エアロスミスと英国の若きロック・スター、ヤングブラッドとのコラボEP『ワン・モア・タイム』が大きな話題に。スティーヴン・タイラーとヤングブラッドの圧巻のハーモニーで幕開ける「マイ・オンリー・エンジェル」は、今後もアンセムとしてスタジアムを揺らし続けるでしょう。一方、ジャズ界の至宝ノラ・ジョーンズと現行ソウル・シーンを代表するジョン・レジェンドのデュエットにより、美しいアーリー・サマー・ソング「サマータイム・ブルー」も誕生。タイトルのフレーズをリフレインしながら、2人が交互にリード・ヴォーカルをとり、暑い夏が来るのに失った恋愛に思うメランコリーを、軽やかにホロ苦く歌った大人向けの名曲です。


 また、ポール・マッカートニーボブ・ディランらとのデュエットを収めたバーブラ・ストライサンドの『パートナーズII:ザ・シークレット・オブ・ライフ』や、エルトン・ジョンブランディ・カーライルとのコラボ・アルバム『天使はどこに』といった、往年の音楽ファンにとっては豪華すぎるコラボ・アルバムにも注目です。そのほか、マルーン5BLACKPINKLISAによる「プライスレス」、自伝的映画も話題を呼んだニーキャップオービタルによる「サヨナラ」、トーキング・ヘッズ時代に数々の革新作を放ったデヴィッド・バーンブライアン・イーノのタッグによる「T Shirt」なども話題を呼びました。

 最期に挙げるのは、11月に発売された、松任谷由実が自身の声とコラボレーションを繰り広げる40thアルバム『Wormhole / Yumi AraI』です。2022年には、AIで作られた荒井由実とのデュエットも披露したユーミンが、本作では、ユーミンの過去〜現在の声をもとにAIで生成した“第三の声=Yumi AraI”とともにレコーディング。生の歌唱とAIヴォーカルが自然に調和する楽曲が、アルバムのテーマ“AIとの共生”を体現しており、生成AIがますます身近になっていった2025年らしいコラボ・ソングと言えます。

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