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メモリアルデー~4月1日 “アーバン・ソウルの申し子”マーヴィン・ゲイを歌った邦歌手たち

マーヴィン・ゲイ(Marvin Gaye)   2026/04/01掲載
J-POPでマーヴィン・ゲイについて歌ったアーティストはいますか?
 ポピュラー・ミュージックの歴史を振り返る際に、その歴史に深く刻まれているソウルシンガーといえば、マーヴィン・ゲイ。60年代から80年代にかけて美しい曲調と赤裸々な詞世界でニュー・ソウルの時代を切り拓き、“アーバン・ソウルの申し子”として名を馳せました。45歳の誕生日の前日となる1984年4月1日に父親に射殺されるという悲劇的な最期を迎えてしまいますが、死後もレジェンドとしてリスペクトされ、多大な影響を与え続けています。

 マーヴィン・ペンツ・ゲイ・ジュニアとして1939年4月2日にこの世に生を受けたゲイは、地元ワシントンD.C.の教会で聖歌隊に参加したことから、シンガーとしての道が始まりました。ドゥー・ワップ・グループなどの活動を経て、〈モータウン〉レコードの社長ベリー・ゴーディ・ジュニアに才能を見出されると、ソロ・シンガーとしてのキャリアをスタート。特にタミー・テレルとのデュエットで人気を博し、「エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ」や「ユア・プレシャス・ラヴ」、「君との愛に生きて」(If I Could Build My Whole World Around You)、「恋はまぼろし」(Ain't Nothing Like the Real Thing)、「ユアー・オール・アイ・ニード」などを次々とチャート上位に送り込みました。

 1968年にソロとして放った「悲しいうわさ」(I Heard It Through the Grapevine)は、7週連続全米1位と大ヒットし、ゲイの最大のヒット曲となっていますが、やはり代表曲の極北といえるのが「ホワッツ・ゴーイン・オン」でしょう。1971年の同名アルバム『ホワッツ・ゴーイン・オン』に収録されたこの曲は当時の社会情勢や政治的な意識が色濃く反映され、レーベル・オーナーのベリー・ゴーディは意図とは異なるとして難色を示しましたが、全米2位、全米R&Bチャート1位を記録。同アルバムからは「マーシー・マーシー・ミー」「インナー・シティ・ブルース」などもヒットしました。

 その後も『レッツ・ゲット・イット・オン』『アイ・ウォント・ユー』など愛や性への欲求を表現したアルバムなどで評価を高め、77年にも全米1位の「黒い夜」(Got to Give It Up)を出しましたが、70年代後半は先妻だったゴーディの妹アンナとの離婚調停や薬物依存、破産などの問題で私生活に破綻をきたし、低迷することに。

 それでも、82年に〈コロンビア〉から発表した『ミッドナイト・ラヴ』が全米7位、全米R&Bチャート1位となり、「セクシャル・ヒーリング」というヒット・シングルを生み出しました。

 日本でもその影響を受けたアーティストは数知れず。さまざまな楽曲のなかで“マーヴィン・ゲイ”が登場しています。

 ジャパニーズR&Bのパイオニアで“King of J-Soul”とも称される久保田利伸。1995年リリースの全米デビュー・アルバム『SUNSHINE, MOONLIGHT』収録の「Get It Together」でその名に触れるほか、2014年のシングル「Free Style」(翌年のアルバム『L.O.K』にも収録)では“ありがとう Marvin Gaye”と歌唱。“鼻息荒いシマウマ”ことヒップホップ界の重鎮のZeebraの楽曲では、「Save The World」「運命」などに登場。特に「運命」では“俺と同じバースデイ”(Zeebraの誕生日は1971年4月2日)と、その縁のようなものをフロウしています。

 久保田やZeebraといったソウル・ミュージックに直接的な影響がうかがえるアーティストに限らず、さまざまなジャンルのアーティストに用いられているのも、ゲイの影響の大きさが感じられます。佐野元春の5thシングル「ダウンタウン・ボーイ」(1981年)やB'zの「Crazy Rendezvous」(1991年の5thアルバム『IN THE LIFE』収録)をはじめ、DEEN「君のいないholiday」(1998年の4thアルバム『The DAY』収録)、RCサクセション仲井戸麗市とザ・ストリート・スライダーズの土屋公平が結成した麗蘭の「今夜R&Bを…」(1991年のデビュー・アルバム『麗蘭』収録)、レゲエ / スカロック・バンドのROCK'A'TRENCHのシングル「Music is my Soul」(2010年)、モデルや歌手として活躍する紗羅マリーの4thシングル「ROCK'N'ROLL IS HERE TO STAY」(2012年)、GRe4N BOYZのHIDEが“GReeeeN”時代に発表したソロ曲「stillll」などの歌詞に、愛すべき存在としてその名が刻まれています。

 ゲイの曲名をリリックにしのばせた楽曲も少なくなく、EAST END×YURIは「denim-ed soul」で「マーシー・マーシー・ミー」を、餓鬼レンジャーは「バンドワゴン」で「アイ・ウォント・ユー」を、どついたるねんは「danjil」で「ホワッツ・ゴーイン・オン」のフレーズを組み込んでいます。I Don't Like Mondays.は「ホワッツ・ゴーイン・オン」のタイトルをそのまま拝借し、オーストラリア出身のセリーナ・シャーマを迎えた「What's going on? feat.Celina Sharma」として発表しています。

 そのほか、WAY WAVE「Hello New Wave」、CREAM「BANANA」、LOCK DOWN「Have a Nice Day!」、Michael Kaneko「Tides」、Nulbarich「TOKYO」など多くの楽曲で、マーヴィン・ゲイの名が息づいています。

(写真は、2020年11月リリースのマーヴィン・ゲイのアルバム『ホワッツ・ゴーイン・オン[+26](デラックス・エディション)』)
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