2024年のデビュー作はETAでの演奏を再構築した内容で、チュウの瞑想的なシンセ、ジョンソンの実験的サックス、アフロビートやテクノの要素が混ざり合い、クラブリスナーからも高評価。マイルス・デイヴィスの名盤『オン・ザ・コーナー』で、プロデューサーのテオ・マセロがジャムセッションを切り貼りして再構築した手法を進化させたプロダクションも各方面から大絶賛されました。特に、「オン・ザ・コーナー」を彷彿とさせながら、より没入感を深めた収録曲「Industry」は人気。SMLは2025年に、さらにダンサブルに進化した2ndアルバム『How You Been』を発表しています。
また、ニコラス・ジャーとのユニット“ダークサイド”での活動でも知られるマルチ奏者のデイヴ・ハリントンも、「ETA」では名演を披露していました。ETAカルテットのベルローズに加え、グラミー賞ノミネート経験もあるベーシストのビリー・モーラーとのトリオで発表した『“First Set” Live At ETA』は、ここれまで紹介してきた作品と同様、「ETA」サウンドを支えた名エンジニアのブライス・ゴンザレスが録音を手掛けています。店の名物「オイスター」をタイトルに冠した4曲目では、6月にFRUEZINHOフェスで来日するマーク・リーボウを彷彿とするハリントンのギタープレイを聴くことが出来ます。
■サム・ウィルクス × サム・ゲンデル:『ミュージック・フォー・サクソフォーン&ベース・ギター』
最後に、バー「ETA」の録音ではありませんが、ETAカルテットのサム・ウィルクスと、笹久保伸や星野源、折坂悠太とのコラボレーションで日本では最も知られているLAジャズ・シーンの才人サックス奏者、サム・ゲンデルとの共作も触れておきたいところです。同じ地元大学出身だという2人が2018年に発表した“サックスとベースのための音楽”『ミュージック・フォー・サクソフォーン&ベース・ギター』は名盤として知られ2022年には続編もでたほど。ファラオ・サンダースを取り上げた「GREETINGS TO IDRIS」は、静かに心を鎮めてくれるような音の流れが心地よく、雨も多くなる5月にもよく合う雰囲気を持っています。