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リー・“スクラッチ”・ペリー、マウス・オン・マーズとコラボレーションした最後の公式アルバムがリリース

リー・ペリー(リー・スクラッチ・ペリー)   2026/03/30 13:20掲載
リー・“スクラッチ”・ペリー、マウス・オン・マーズとコラボレーションした最後の公式アルバムがリリース
 リー・“スクラッチ”・ペリー(Lee Scratch Perry)の最後の公式アルバムとなる、マウス・オン・マーズ(Mouse On Mars)とのコラボレーション・アルバム『Spatial, No Problem.』が6月5日(金)にCD、LP、配信で世界同時リリースされます。これに先駆け、シングル「Rockcurry」がミュージック・ビデオとともに公開されています。

 2021年のリー・ペリーの死後、「最後の作品」「最終プロジェクト」と銘打たれた録音は数多く世に出ましたが、彼の正式な最終アルバムと呼ぶべき作品は、ドイツ・ベルリンでの出会いから生まれています。電子音楽の先駆者マウス・オン・マーズ(ヤン・セント・ヴェルナーとアンディ・トーマ)のスタジオで制作された『Spatial, No Problem.』は、その成果であり、ペリーが晩年に到達した創造の核心を刻んだ一作。

 2019年12月ベルリンのスタジオに到着したペリーは、スタジオ空間を自らの儀式の場へと変え、スーツケースから取り出した小物やイメージ、言葉を壁や機材に書きつけ、チャントし、ささやき、笑いながら音を重ねていきました。言葉は解体され、同時に新たな意味を帯びていきます。ミュージシャンたちはその流れに身を委ね、録音はほとんど対話を介さず、直感的に進行しました。

 マウス・オン・マーズは「私たちは自分たちが何をしているのか、ほとんど言葉を交わさなかった。ただ集まって作業を始めただけだ。彼はよく笑い、私たちもそれにつられて笑った。料理を作ったり、魚のスープやパパイヤを食べながらの作業だった」とこの時のことを振り返っています。

 このセッションで明確だったのは、彼らがレゲエを作ろうとしていなかったという点。ペリーはレゲエの体現者であり、その影響から逃れることはできないものの、モーターリックなリズム、フリー・インプロヴィゼーション、デジタル・グリッチ、ダダ的言語感覚、そして彼が語る「機械に宿るブードゥー」が交錯し、ジャンルの境界は解体されました。

 その象徴的なエピソードが、「空間」をめぐるやり取り。空間オーディオやマルチチャンネル音響について問われたペリーは、「Spatial?問題ないさ」と笑って答えたと言います。この言葉は、そのままアルバムのタイトルであり、制作理念にもなっています。

 本作は単なるコラボレーションではなく、空間と文化が混ざり合い、異なる時間軸が交差する中で、新たな音楽の可能性が立ち上がる瞬間のドキュメント。リー・“スクラッチ”・ペリーが最後に示した、ジャンルや形式を超えた自由そのものが記録されています。

 今回公開された、アルバムのオープニング曲「Rockcurry」は、リー・スクラッチ・ペリーがベルリンで過ごした時間を如実に反映したもの。MVは、スタジオ・スパークスが監督を務め、レコーディング・セッションの写真や手描きのイラスト、様々なオブジェをコラージュ。リー“スクラッチ”ペリーとマウス・オン・マーズがスタジオで過ごした時間を、躍動感あふれるエネルギッシュな賛歌として表現しています。

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Photo by Constantin Carstens

■2026年6月5日(金)リリース
Lee “Scratch” Perry & Mouse on Mars
『Spatial, No Problem.』

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