今年発売された最新作『プルソ・デル・アセロ:新幹線』では、収曲曲「Por un perro」で日本語ネタが炸裂。2009年作『Pulsion』収録の「JAPO」では2007年の都知事選の政見放送からの言葉を引用し話題を呼びましたが、本楽曲でも「攻撃」や「ゲームオーバー」などの不穏なワードが高揚感を煽ります。
■ハルコとフランシス『ハモンハモン』 THE COLLECTORSの元ベーシストにして、コーヒーゼリー・マニアとしてTVにも出演した小里誠のフレンチ・ポップ+ニューウェーヴなユニット“Francis”と異彩を放つ電子音シンガー・ソングライター“田島ハルコ”が2017年に発表したコラボEP。表題曲では、ハードなエレクトロ・ビートの上で、小里がD.A.F.のガビ・デルガドばりに妖艶な語り口で“生ハム”を描写。その挑発的なムードに、田島ハルコのノイエ・ドイチェ・ヴェレ的な鋭い奇声が重なり、強烈なコントラストを生み出しています。Francisも、今回のフェリックス・クービンの来日ツアーに出演します。
■クルックス『カネよこせ!』 クラフトワークなども手掛けた、デュッセルドルフのデザイン事務所「インク・スタジオ」を率いたマイク・シュミットが中心となって結成されたバンドの2ndアルバム。パンキッシュなタイトルとは裏腹に、ポップさと無機質さが同居するシンセ・ビートが魅力です。CD化にあたり追加収録された「Mensch und Ton」は、エレクトロなベースラインが光るキラー・チューン。
■ディー・テートリッヒェ・ドーリス『日常における七つの死亡事故』 1980年に旧西ベルリンで結成されたパフォーマンス集団、ディー・テートリッヒェ・ドーリス(“致死量ドーリス”)。日本では86年に2枚組LP『致死量ドーリス』が発売され、漫画家・楠本まきの同名作品の由来としても知られています。『日常における七つの死亡事故』は、81年のデビューEPをSUEZAN STUDIOが世界で初めてCD化したもの。奇妙な死亡事故をモノローグ調で語る表題曲が代表作ですが、スカスカの電子ビートに合わせて機械的にタイトルを叫ぶ「Tanz im Quadrat」も、不気味さを漂わせながら踊れる中毒的なナンバーです。
■VA『クリスマス、おぼえてろ!』 ZEのクリスマス・アルバムや『薄明のクレプスキュール・クリスマス』など、ニューウェイヴ系クリスマス・アルバムにはマニア心をくすぐる良作が多くありますが、80年代ドイツのアーティストが参加した本作も強烈。デア・プランやクルックス、S.Y.P.H.らが参加し、ドイツならではの多彩な質感・色合いを取りそろえた電子音が、聖なる夜を彩ります。D.A.F.~デア・プランに在籍したピロレーターの「Ein Weihnachtsmann Kommt In Die Disco(サンタクロースがディスコにやってきた)」は、ベルの音もメルヘンで特にキッチュ。
■マウマウ『クラフト』 最後にSUEZAN STUDIOが誇る「SUEZAN オンデマンド」サービスの第1弾作品をご紹介。本作は、D.A.F.創設メンバーのヴォルフガンク・シュペルマンスとミヒャエル・ケムナーらによるユニット“マウマウ”の唯一作。可愛らしいジャケットとは裏腹に、タイトでミニマルなドラミングとエレクトロニクスが反復する、ポストパンク志向のサウンドが魅力です。「Rhythmus der Trommel」ではトロピカルなギターも加わり、現代的な感覚にも通じる要素が凝縮。なぜこれまでCD化されなかったのか不思議なほど、粒ぞろいの内容です。