6月17日は、全米1位をはじめとする数多くのヒット曲を放ち、グラミー賞に名を刻んだ世界的なアーティスト、
バリー・マニロウのバースデーです。“ザ・ヴォイス”こと
フランク・シナトラがイギリスのメディアの前で「オレを継ぐのは彼だ」(He's Next)と語り、マニロウの才能を高く評価した逸話もよく知られるところ。その後、シナトラの“予言”は的中し、マニロウはプラチナディスクやゴールドディスクとなるベストセラー・アルバムを量産し、全世界で通算7,500万枚超のセールスを記録。シナトラに優るとも劣らないアメリカを代表するエンターテイナーとしてその名を馳せています(のちに、マニロウは1998年にトリビュート・アルバム『
マニロウ・シングス・シナトラ』をリリース)。
1943年にアメリカ・ニューヨークにて、ロシア系ユダヤ人にルーツをもつバリー・アラン・ピンカスとして生を受けたマニロウは、1960年代前半からキャリアをスタート。当初はケンタッキーフライドチキン、ペプシコーラ、マクドナルドなどの有名企業のCMソング、ジングルの作曲や歌唱を務めるなど、ピアニスト、編曲家、プロデューサーとしての仕事を軸に、
ベット・ミドラーや
ディオンヌ・ワーウィックらのアルバム・プロデュース、ミュージカルや映画の音楽を提供していました。
ソロ・アーティストとしては、1973年の『恋はマジック』(Barry Manilow)でアルバム・デビュー。翌年に発表した2ndアルバム『
哀しみのマンディ』(Barry Manilow II)が全米9位となり、シングルとなった「哀しみのマンディ」(Mandy)は、マニロウにとって初の全米1位をもたらしました。以降、再発した「恋はマジック」(Could It Be Magic)、2度目の全米1位となった「歌の贈りもの」(I Write the Songs)をはじめ、「想い出のなかに」(Looks Like We Made It)、「涙色の微笑」(Can't Smile Without You)、「コパカバーナ」(Copacabana (At the Copa))などのトップ10ヒットを生み出しました。
そのなかでも、全米8位を記録した「コパカバーナ」は、マニロウの代表曲のなかでも特に人気の高い楽曲として広く親しまれています。もともとはアメリカのサスペンス・コメディ映画『ファール・プレイ』のテーマ・ソングとして書き下ろされたこの曲は、全米3位となった1978年の5thアルバム『
愛と微笑の世界』(Even Now)に収録され、翌年のグラミー賞最優秀男性ポップ・ヴォーカル・パフォーマンス賞を受賞しました。ブラジルのリオデジャネイロにある海岸の名前をタイトルに冠し、跳ねるようなダンサブルなラテンのリズムが走る作風ゆえ、さぞかし陽気な楽曲だろう思われがちですが、実は「コパカバーナ」はリオの海岸ではなく、それを店名にしたニューヨークのナイトクラブが舞台。毎晩ショーが繰り広げられ、熱気と音楽にあふれたナイトクラブでショーガールを務めていたローラが、バーテンダーの恋人を失い、30年経った今では様変わりしたディスコで酒に溺れ、恋人と若さと正気を失くしてしまった。コパカバーナで恋したらいけないんだ……という悲しきストーリーを描いています。
人気曲ゆえアーティストによるカヴァーも多数。
ライザ・ミネリや
カイリー・ミノーグらがパフォーマンスしたほか、日本でも
野口五郎や
岩崎宏美、最近では
藤井風がカヴァーしたことでも知られ、2006年には携帯電話で話しながら歩く
キャメロン・ディアスに街中の男性たちが釘付けになるというソフトバンクモバイルのCMソングとしても注目されました。吹奏楽やブラスバンドのアレンジも映えるこの曲は、智辯和歌山、習志野、木更津総合など高校野球の応援曲としても高い人気を博しています。
ちなみに、「コパカバーナ」の主人公が“ローラ”だったから……なのかはわかりませんが、1975年に「傷だらけのローラ」をヒットさせた
西城秀樹も「コパカバーナ」や「歌の贈りもの」をカヴァーしています。それだけではなく、西城は1985年にHideki Saijo & Barry Manilow名義で「腕の中へ -In Search of Love-」というデュエット・シングルを発表。
ワム!(厳密には
ジョージ・マイケルのソロ)「ケアレス・ウィスパー」をカヴァーした西城の「抱きしめてジルバ」を聴いたマニロウが感銘を受けたの機にデュエットが実現し、マニロウの来日時には『夜のヒットスタジオ』などの音楽番組でデュエット・パフォーマンスを披露したことも話題となりました。
マニロウの誕生日に、多くのリスナーを魅了した名曲の数々を聴いてみてはいかがでしょうか。
(写真は、2015年12月リリースのバリー・マニロウのベスト・アルバム『
歌の贈りもの~ベスト・オブ・バリー・マニロウ』)