ミニ・レビュー
TV-CF で使われたスタイリスティックスの「愛がすべて」が話題になったシカゴ出身、日本在住シンガー。日本制作によるもので、ジョージ・マイケルやクリスマス曲ほか、有名曲を取り上げる。話題曲(1)はファルセットだが、他は柔和な地声でしなやかに歌っている。
ガイドコメント
木村拓哉出演「GATSBY」のCFで注目を集めた、ゲイリー・アドキンスのカヴァー・アルバム。新旧の名バラードの数々を、独特のみずみずしい歌声で見事に歌い上げている。
収録曲
01CAN'T GIVE YOU ANYTHING (BUT MY LOVE)
70年代の人気ヴォーカル・グループ、スタイリスティックスのヒット曲をカヴァー。木村拓哉出演の男性化粧品「GATSBY」CMで注目を集めたこの曲は、軽快なストリングスのループと透明感あるヴォーカルが現代的でお洒落だ。
02ENDLESS LOVE
ライオネル・リッチーとダイアナ・ロスがデュエットし、81年に大ヒットしたバラード。この曲でゲイリーとのデュエットに挑戦しているのは“未来-MIKU-”こと中村未来。堂々とした力強い歌唱で見事に歌い上げている。
03CARELESS WHISPER
ウイスキー・グラスと薄暗いバーが似合うような大人の歌謡曲。サックスの音色がいかにも、という雰囲気のアレンジで、80年代の風合いを感じることができる。ゲイリーのクセのないヴォーカルとアレンジの相性が抜群の、ワム!の代表曲のカヴァー。
04TEARS
X JAPANが遺したロック・バラードの名曲をR&Bに再アレンジ。クラップとソウル風のコーラスにより、原曲とはまるで違うムーディな曲へと生まれ変わった。アレンジは違っても原曲の哀しいメロディを違和感なく堪能できるナンバーだ。
05TEARS IN HEAVEN
エリック・クラプトンが亡くなった愛息に捧げた感動的なバラード。アコースティック・ギターとオルガンが静かに奏でられ、普遍の美しさを持ったメロディは色あせない。愛でるように大切に歌うヴォーカルが涙を誘う佳曲だ。
06WHAT A WONDERFUL WORLD
かつてはルイ・アームストロングが歌って大ヒットしたジャズの名曲。御大サッチモ独特の濁声とは対照的に、スウィートな歌声で聴かせるアドキンス・ヴァージョンまた違った魅力がある。だが、子守唄のような優しいムードはしっかりと継承している。
07DANCE WITH MY FATHER
“ブラコン”シーンでその美しい歌声で人気を博したルーサー・ヴァンドロスの名バラードをカヴァー。ほとんど原曲そのままだが、じっくりと聴かせるゲイリーのヴォーカルとの相性は抜群で、オリジナルにアドキンス風の新しい表情を加えている。
08AMAZING GRACE
ジャジィなピアノ1本によるシンプルなアレンジが特色の合唱曲。ゴスペル調のコーラスや力強さを増していくピアノ、また澄み切ったヴォーカルが、一切の無駄を省いた純粋な演奏として際立つナンバーだ。
09LAST CHRISTMAS
ワム!のオリジナルよりもややテンポを落としながら、軽やかで透明感のある印象。どこかほっこりとした温かみのある原曲に比べ、ヴォーカルがより輪郭がはっきりし、雪や冬空をイメージしやすくなっている。鈴の音はお約束だが、効果的だ。
10THE CHRISTMAS SONG
重厚なウッド・ベースにエレガントなピアノ。お洒落で、落ち着いていて、子どもたちのお祭り騒ぎからは一歩離れた大人のためのクリスマス・ジャズ。ネオン輝く夜の街の片隅で、二人きりの聖夜を上品に楽しんでいる。そんな曲だ。
11WHITE CHRISTMAS
誰もが知っているであろうクリスマスのスタンダード・ナンバーをア・カペラで歌う。数多くのアーティストによってカヴァーされている曲だが、自分なりのアレンジを加えて熱を帯びるゲイリーの歌唱は、限りなくオリジナルだ。