【大井 健 Takeshi Oi】メジャー・デビュー・アルバムは美しいタッチが織り成すやさしい響き

大井健(p)   2015/07/17掲載
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 メジャー・デビューとなる『Piano Love』をリリースしたピアニスト、大井 健。バラエティ番組「関ジャニの仕分け∞」出演も話題になったイケメン・ピアニストは、すでに10年近い活動実績を重ねるオペラユニット“レジェンド”の専属ピアニストとしても多くのファンを獲得している。デビュー盤は、クラシックの名曲からポップスのカバー、オリジナル曲まで、美しいタッチが繰り出すやさしい響きにあふれたイージーリスニングだ。
――幅広いジャンルの曲が並びましたね。
 「ピアノの音が好きな人のために、肩肘張らないで楽しく聴けるアルバムが作れたらいいなというコンセプトです。子供の頃にピアノを習っていた人はたくさんいるし、映画やドラマのBGMなどいろんなところでピアノの音が流れている。生活の中で、いつ、どんな場所でも聴けるようなやさしい音楽が詰まったアルバムになったのではないかと思います」
――クラシックではショパンドビュッシー、そしてホルストの編曲が選ばれています。
 「一般の方がよく知っていて、ロマンティックなイメージの作曲家を選ぼうと考えました。バッハベートーヴェンという選択もありましたが、ちょっとイメージが硬派になってしまうので今回は外しました。ホルストの〈ジュピター〉は、“鍵盤男子”という連弾ユニットでよく弾いているレパートリーです」
――その“鍵盤男子”の相棒の中村匡宏さんの作品や、作曲家・新垣 隆さんの新作も弾いています。
 「同時代の作曲家の作品はどうしても入れたかったんです。いつの時代も、その時代の“現代音楽”を、同時代の演奏家が紹介することで音楽史に残っていったわけですよね。それはとても大事だと思います。新垣さんのお名前はもちろん以前から存じあげていましたけれど、テレビ番組でご一緒させていただいたのが初対面でした。とても気さくな方で、お願いしたら快く引き受けてくださいました」
――新垣作品は「ヒマワリの旅」。“レジェンド”の今夏の全国ツアー・タイトルも〈ひまわりの旅〉で、6月には同名のテーマソングCDもリリースされていますね。
 「神戸から新潟、宮城と巡ったヒマワリの種が、各地の震災の被災者の方々を勇気づけているという実話から生まれたのがレジェンドの〈ひまわりの旅〉です。それを新垣さんにもお話しして依頼しました。だから内容的なテーマは共通していますが、音楽的にはまったく別の作品です。できあがった曲をいただいて、新垣さんに“シューマン的ですね”と言ったら、“パクりました”と冗談を言って笑っていましたよ(笑)。とてもきれいな曲で、やっぱりクラシックの作曲家だなとうれしくなりました」
――ご自身も、軸足はあくまでクラシックということになるのですね。
 「僕はもともと、大学を卒業するまでほとんどクラシックしか聴いたことがなかったぐらいのクラシック・マニアなんです。毎月、クラシックのレコード雑誌の発売を楽しみにしていたような小学生だったので」
――メンデルスゾーンの子孫にピアノを師事していたとか。
 「母がピアノ教師だったので、気がついたらピアノを弾いていました。小6の時、父親の転勤でドイツのニュルンベルクに引っ越したのですが、その当時、現地在住の日本人は全部で100人ほど。日本の勉強が遅れてしまうので、中学からイギリスの立教英国学院という日本人学校に入って寮生活を送りました。そこはロンドンのロイヤル・アカデミーの先生が教えに来ていたり、音楽に力を入れている学校で、その音楽部長がブレンダ・メンデルスゾーン・ター先生という、大作曲家フェリックスの直系の方だったんです」
――高校からは日本に戻って、国立音大附属高校に入学しました。
 「そのままイギリスで勉強してロイヤル・アカデミーを受験しなさいと勧められたのですが、どうしても日本の空気を吸いたくて(笑)。普通校の受験準備を進めていた頃、音楽高校への進学を決心したきっかけが、ピーター・ケイティンという英国のすごいピアニストのリサイタルでした。ショパンの〈舟歌〉にとても感動して。それまで、はっきりプロの演奏家になろうと意識したことはなかったのですが、演奏後のあたたかい拍手を聴いて、“自分もこうなりたい”と、急遽進学先を変更したのです」
――あこがれのピアニストは?
 「グリゴリー・ソコロフさん!今たぶん世界で3本の指に入るんじゃないでしょうか。ロシア・ピアニズムというのは独特ですよね。最近の流行はもっときらびやかな方向にいっていたりしますが、あの重みを持ったピアニズムはこれからもずっと継承されていくと思います。 僕はロシア音楽も、ロシア自体も大好きで、大学の卒業旅行はひとりでシベリア鉄道に乗りに行こうと計画していたぐらいです」
――コンサートではどんなレパートリーを?
 「いろいろです。このCDのように、さまざまなジャンルの音楽を並べることもあるし、全曲クラシックだけだったりもします。でもそれは必ずしもロシア音楽ではありません。好きなものと、表現者として得意なものはちがったりしますから。自分のテクニックや音の響きには、シューマンがしっくり来ると感じています。夏からはレジェンドのツアーが始まるのでしばらくソロ・コンサートがありませんが、レジェンドのコンサートではソロ曲も弾きますので、ぜひお出かけください。CDは会場でもお求めいただけます!(笑)」
取材・文 / 宮本 明(2015年7月)
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大井 健
concert schedule


■ First concert PIANO LOVE
www.opera-legend.jp/concert/150720.html
2015年7月20日(月・祝)
東京 築地 浜離宮朝日ホール

開演 13:30
※お問い合わせ: ザ・カンパニー 03-3479-2245
www.company.co.jp




■ レジェンド
ふるさと訪ねてコンサート2015 〜ひまわりの旅〜
2015年7月29日(水)山口 下関市生涯学習プラザ 海のホール
2015年9月5日(土)愛知 名古屋 三井住友海上しらかわホール
2015年9月6日(日)広島県民文化センター 多目的ホール
2015年9月7日(月)島根 大田市民会館
2015年9月11日(金)北海道 札幌コンサートホール Kitara 大ホール
2015年9月12日(土)山形テルサ テルサホール
2015年9月19日(土)山梨 甲府 コラニー文化ホール 小ホール
2015年9月21日(月・祝)宮城 仙台 日立システムズホール 仙台 コンサートホール
2015年9月25日(金)福岡シンフォニーホール
2015年9月27日(日)長崎 西彼杵郡 長与町民文化ホール
2015年10月11日(日)東京 赤坂 サントリーホール 大ホール

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