『盗んだバイクで天城越え』!!!! ロマンポルシェ。6年ぶりのニュー・アルバムが到着!

ロマンポルシェ。   2010/04/27掲載
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 結成10周年記念ベスト・アルバム『もう少しまじめにやっておくべきだった』から2年、待望のニュー・アルバム『盗んだバイクで天城越え』をリリースしたロマンポルシェ。。1981年のヒット曲であるイモ欽トリオ「ハイスクールララバイ」のカヴァーで幕を開ける今作は、ハイクオリティな楽曲と掟ポルシェ書き下ろしの歌詞が見事な化学反応を起こした最高傑作に仕上がった(ウソだと思うなら、どうか騙されたと思って聴いてほしい!)。80年代パンク / ニューウェイブの“精神”を真摯に体現する2人に話を訊いた。
――オリジナル・アルバムとしては実に6年ぶりです。
掟ポルシェ(以下、掟)  「ええ、地味に嫁と子作りしてるうちに6年が過ぎてたんです。竜宮城から帰ってきたみたいに。そのウラシマ効果がこのアルバムには出ています」
――1曲目から松本隆×細野晴臣コンビの名曲「ハイスクールララバイ」のカヴァー(サウンドプロデュースはNEW DEAL)。しかも話題のアイドルユニット、バニラビーンズがゲスト・コーラス参加と、かなり攻めてますね。楽曲提供陣も豪華な顔ぶれで。
 「基本は丸投げです(キッパリ)。自分たちがいままで頑張ってきた結果、これじゃダメだと分かったので。だったら他の人が一生懸命やった方がいいに決まってる!」
――タイトル曲「盗んだバイクで天城越え」は、「全裸で書いたラブレター」「男は橋を使わない」に続き、おなじみサワサキヨシヒロ!さん作曲の歌謡ポップです。
 「いまやSMAPさんのシングルにも楽曲提供したサワサキ先生の入魂作ですから。盗んだバイクで走り出されても、じゃあ盗まれた人の気持ちはどうなるの? どうせ盗むなら天城越えぐらいしないと僕たち許しませんよという思いを歌詞に込めました」
――「The Park」は、ドラマ『深夜食堂』やアニメ『はなまる幼稚園』の音楽でも注目を集めるNarasaki(Coaltar of Deepers)さんが作曲したニューウェイブ・ポップ。
 「今回NARASAKIくんからの歌唱指導で一点だけ指示があったんですよ。“いい男風に歌ってください”と。いい男といえば俺の中ではSOFT BALLETの遠藤遼一さんしかいないってことで全面的に遠藤さんっぽく、口も“イ”の形にして歌いあげました」
――1973年公開の映画『非情学園ワル』主題歌「ワルのテーマ」のカヴァーは、Captain FunkことTatsuya Oeさんがダンサブルなトラックを手がけています。


 「原作の真樹日佐夫先生には常日頃お世話になってますからね。これは今の音になってるし、フロアでも使えます。ただ、Oeさんにヴォーカルの大きさを倍にミックスし直してもらったから俺の声で床が震える! オリジナル歌手である尾藤イサオさん自体、バックの音に埋もれる感じの歌い方じゃないから、そこにちゃんとリスペクトの意味も込めて」
――そのあとに続くのが「一杯のかけそば」というのもドラマ性を感じました。
 「作りとしては6曲ずつでレコードのA面 / B面ってイメージですけど、B面の2曲目って大概アルバムで一番侘しい感じの曲が配置されるものなんです。侘しいといえば、一杯のかけそばを親子3人で分けて食べる話。あれが座右の銘にしてるくらい大好きで……」
ロマン優光(以下、ロマン) 「作曲の大森琢磨くんはこれまでも<ハンバーガー・レディ>や<チャップリンの女>も手がけてる、近年のロマンポルシェ。サウンドの立役者なんですけどねぇ」
 「すごく良い曲いっぱい作れる人なのに、今回は“一杯のかけそば”って歌詞付けられちゃったがためにB面の2曲目に甘んじる結果になったという。申し訳ない!」
――このアルバムのコンセプトにも通じる「100%他力本願宣言」と「24時間プロレスショップ」は、ニュー・ウェイヴ・ロックンロール・アイドル、risuさんが作曲。
 「今回risuさんにはジャケットのデザインもやってもらってるんです。アイディアはこちら発信なんですけど、“猫の衣装は誰が作るの?”って顔を凝視しながら言ったら、私がやりますって。いい人ですね。もともと彼女の本業はグラフィック・デザイナーなんですけれど、いま自分のソロ・バンドやってるし、なんだ曲作れんじゃんと思ってお願いしました」
――そして「珍・ポタージュ」と「ハガキスターの悲劇」は掟さん自身の曲です。
 「<珍〜>は子供たちが大好きな二大要素が入ってますよ。“ポタージュスープと、さてもうひとつはなあに?”って。真面目な話、これは冬場に嫁と散歩中、自販機の前でコーン・ポタージュのボタンを押そうか迷ってる嫁に、横から俺が“ち〜んポタージュ”って妨害し続けたら“やっぱコーヒーでいいわ”という冷めた会話が曲の基本になってます」
――「愛の面白半分実験料理」と、ラストを飾るエレクトロ・パンク「男は薄着」はロマンさんの楽曲。特に後者はライヴで観たいと思わせるインパクト抜群なナンバーです。
 「ロマン優光はローランドのMC303で曲を作るんですけど、ロマンポルシェ。用に歌モノを意識すると何故か泣きのメロディを必ず加えてくるんです。これをどうしたら泣かせないようできるか考えた結果、<愛の〜>はマリア観音っぽく、ちょっと怖い歌い方で」
ロマン 「手癖みたいなもんで、意図的に明るくしようとしても暗い曲調しか作れないんですよ。そもそも楽しそうなものが好きじゃないし、だったら暴力的な方がいいんで」
 「<男は〜>はロマン優光のソロ・ユニットであるプンクボイ用だった曲ですね」
ロマン 「この曲はコーラスがあった方がいいと思ったんだけど、一人じゃコーラス入れられないからプンクボイだとどうもしっくりこなくて」
 「80年代の日本のハードコア・マインドを受け継ぐバンドとして目指したのは、とりあえずリヴァーブかけて全部ごまかす的な当時の自主制作ソノシートの音質!」
――ひと通り収録曲を解説していただきましたが、正直これは売れると思います。初回盤には秘蔵映像DVDも付いてますし、ぜひ多くの人に聴いてみてほしいですね。
 「なんとダウンロードでの販売も始まったんですよ。ビリー・アイドルが1993年に『サイバーパンク』を出したぐらいのサイバー感に17年かけてようやく追いつきました!」
――発売記念ライヴも目前に控えていますし、今年はガンガン活動されることを期待してます。
 「いまのところ東京と大阪の2ヵ所だけですが、ガン(東京)、ガン(大阪)とね!」
ロマン 「でも、初めて観るお客さんはジャケットの猫の格好した2人組だと思ってたらガッカリすると思いますよ。俺たちデミ・アンドリックスみたいなバンドですから(註・つのだじろう先生の恐怖漫画『デスマスクの旋律』に登場する悪魔的ミュージシャン)」
――あの、最後なのでもうちょっとわかりやすいアピールをしていただけますか?
ロマン 「じゃ、男二人のユニットってことでペットショップボーイズみたいなもんです」
 「お店で飼われる方のね。ブンブンサテライツと間違えて買ってくれる人も大歓迎!」


取材・文/秦野邦彦(2010年4月)



『盗んだバイクで天城越え』発売記念ライヴ
●日時:4月29日(木・祝)
●会場:東京・新宿LOFT
●時間:開場18:00 / 開演19:00
●料金:前売2,500円 / 当日3,000円
●出演:ロマンポルシェ。 / バニラビーンズ / マーシー☆ポルシェ(田代まさし+掟ポルシェ)/奇形児


『盗んだバイクで天城越え』発売記念ツアー@大阪
●日時:6月20日(日)
●会場:大阪・十三ファンダンゴ
●時間:開場18:00 / 開演18:30
●料金:前売2,500円 / 当日3,000円
●出演:ロマンポルシェ。 / neco眠る
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