2006/01/18掲載(Last Update:08/03/31 17:57)
プレスティッジといえば、
マイルス・デイヴィスの
『ウォーキン』や
ソニー・ロリンズの
『サキソフォン・コロッサス』などモダン・ジャズ不朽の名盤で知られる名門レーベル。このレーベルの創設者のボブ・ワインストックが、1月14日、糖尿病の合併症により米国フロリダ州のホスピスにて死去しました。77歳でした。
10代の頃からジャズ・レコードの熱狂的収集家だったワインストックは、1940年代、ニューヨーク西47丁目にあったジャズ・レコード・センターの一角を借りてレコードの通信販売を開始。そして彼が20歳の時の1949年1月11日、自らレコード制作を手掛けるべく、レニー・トリスターノ・クインテットの5曲を録音。この時よりプレスティッジ・レーベルをスタートさせました(そのうちの4曲と、リー・コニッツ・クインテットによる6月および9月録音の各2曲を収録した『Lennie Tristano & Lee Konitz』がこのレーベルにおける10インチLPの1作目。CDでは
リー・コニッツ『サブコンシャス・リー』などに収録)。特に若きマイルス・デイヴィスに注目したことはワインストックの大きな功績のひとつ。51〜56年にプレスティッジに残されたマイルスの初期リーダー作群は、いずれもモダン・ジャズの重要作です。
ワインストックは58年に制作の第一線から身を引き、72年にプレスティッジをファンタジー・レコードに売却。その後はフロリダに移り、家族と暮らしていたそうです。彼がプレスティッジを保有していた間に、ほぼすべてといっていいジャズの巨人たちが、このレーベルに録音を残しました。ボブ・ワインストックの名は、ジャズの黄金時代を創出した立役者の一人として、ジャズ史の中に永久に刻まれることでしょう。ご冥福をお祈りします。